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夜通し木材を運び続けた俺。肩は上がらなくなり、全身が筋肉痛である。最後の方は身体強化を行い突破したが、体が限界に近かった。なんだかんだ言ってダンジョンマスターになってから一番働いた気がする。
「おや、殿。こんな朝早くから息を切らして何をしておいでで?」
「たまには体を動かしておかないとなって思って。前回のカメ型魔物が来た時にも俺あんまり動いてなかったし。正宗は二階層へ何しに行くん?」
「拙者は夜番が終わったので二階層に行こうかと」
そう言った後、正宗は俺にお辞儀をし、浮足立った様子で階段を下りていく。
「じゃあ、次は俺が防衛する番かな」
重くなった腰を上げ、仮防衛拠点に向かおうとするが腰が上がらない。仕方なく身体強化を発動し、腰を上げる。なるべく腰の負担にならないような姿勢で歩きつつ、早く到着できるような歩き方を模索する。
向う途中に夜番が終わり生活拠点に帰ろうとしているビックに遭遇し、腰が動かないことを説明しマッサージをお願いする。スライムによる巧みな触手捌きにより、俺は腰がなくなったのではないかと勘違いしてしまうほど腰が軽くなる。
その後俺は襲撃に対応しているセバスチャンの手助けを行う。セバスチャンの顔には隈が出来ており、明らかに疲れている。
セバスチャンに負担をかけすぎてしまっている様だ。ここで俺はセバスチャンの部下を召喚し負担を分散させることを決める。
「正直、今のままだとお前が過労死しちまうからな。部下を召喚しようかと考えている」
「はい、ありがとうございます。さすがの私でも少々疲れが見え始めましたので」
俺はダンジョンブックを召喚し、セバスチャンの役に立ちそうなモンスターを探す。前回執事としてセバスチャンを召喚した時とは異なる中級執事を5人程召喚する。セバスチャンは下級執事で召喚したが、すでに中級執事に進化している。
上級執事を召喚してもよかったのだが、それだと魔素をすべて消費してしまうため今回はお預けだ。二階層が開発し終わっていない状態で魔素を空にするのはよくないと考えた結果だ。
召喚の光が収まるとそこには上級貴族の執事と同じ風貌の執事が10人。子供や、青年、おばちゃんから美女までいる。
「お前たちにはこのセバスチャンの下に入り、サポートを行ってもらう。しばらくは、ここ仮防衛拠点で学ぶこと。いくら中級といっても浮かれたらすぐに死ぬからな、気をつけろ」
そういうと召喚された10人は俺に頭を下げた後、セバスチャンにお辞儀をする。しばらくの間、教育の為の時間で今以上に忙しなると思うが、これでセバスチャンの負担は軽減されたと考えていいだろう。
早速俺は俺の部屋に入りさんジョンブックを見ようとするが、魔物の襲撃を知らせる鐘が鳴る。少し早いが職場体験と行こうか。仮防衛拠点から踊り出る12人の影。楽しい、楽しいダンジョン防衛線が始まる。