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 正宗がカメ型魔物を切り落とし、雄たけびを上げている最中にダンジョン核から報告が入る。


『ダンジョンのレベルが上昇しました。現在レベルは2です。なお、多数のダンジョンマスター様から召喚可能な物を視覚化できるようにして欲しいとの要望が寄せられた為、この度ダンジョンブックを作成し、配布することになりました。ご使用の程よろしくお願いします。なお感想などは受け付けておりません』


 確かに今まで、俺の思いついたものを召喚していたが、ほとんどはダンジョンのレベル不足で召喚できなかった。召喚できないのは俺のイメージ不足かと思っていたが、ダンジョンのレベルが足りなかったのか。今まで召喚可能か不可能か分からなかった為、召喚可能な物が記載されているのはとてもありがたい。


 俺は早速届けられたダンジョンブックを開き、召喚可能な物を確認する。


「へぇ~こんなもんまで召喚できるんだ。この世の中にあるほとんどの物召喚できるんじゃねえのか?」


 そこには、単純だが生活の質を上げるのに必要なマッチや蝋燭、下駄のような靴、明らかに分厚い本など多種多様なものが記載されていた。まだ、黒く塗りつぶされているところが殆どだがそれでもかなりの枚数に記載されている。

 

 そのうちいくつかは今にも必要なので、召喚する。蠟燭や剣だ。召喚されたものを確認するとカメ型魔物の防衛のために基地にいたモンスターたちに好きなものを渡す。


「お前ら防衛ご苦労、ここにある好きなもの持っ帰っていいぞ」


 そう言った瞬間、先ほどの騒ぎが小さく思える程、騒ぎが大きくなる。何をそんなに騒いでいるのか、聞き耳を立て聞いていると。


「マスターからの送りものー!?」「それ!俺が取ろうとしてたやつ!」「これで夜寝ながら本が読める..やったっ」


 召喚したものをどうやら贈り物だと感じたらしく、とても喜んでいた。彼らにとって俺からの贈り物はとてもうれしいことなのだろう。なら、これからも難敵撃退の褒美として与えるのもいいかもしれないな。


「これから夜になるだろうし、各自生活拠点に戻って就寝!」


 号令をかけて俺は仮防衛拠点へ戻る。この体は疲れを知らないため、眠ることもないのだ。眠ろうと思えばできるが、必要のないことをわざわざすることはない。非効率的である。


 仮防衛拠点に戻ると、早速ダンジョンブックを確認していく。何か役に立つ物があるかもしれないので、一枚一枚目を通しながら効果などを確認していく。

 

 子供の頃に読んでいた図鑑みたいで面白いかもと考えていると、ドアがノックされ、セバスチャンが入ってくる。

 ドアが開く。


「どうしたセバスチャン?こんな夜中にお前もさっさと寝たらどうだ?」

「ならば、ご主人さまが先に寝て下さい」

「俺は睡眠は不要だと知ってるだろう。俺はしばらくこのままダンジョンブックを眺めているよ」


 セバスチャンはしぶしぶ困った顔で部屋から出ていく。今度は音を気にしてくれたらしく静かに閉じていく。セバスチャンは俺が部屋でおとなしくしているか確認しに来ていたのだ。


 何故セバスチャンがわざわざ基地の一番高い場所にある俺の部屋まで来て部屋にいるか確認しに来ているかというと、俺の最近までの夜遊びのせいだ。

  

 ダンジョンマスターである俺はコアと一心同体。この体になってから睡眠は必要なくなった。そうなると夜の時間が空くのだ。だから俺は遊んでいた。


 最近まで暇つぶしのために、夜間襲撃してくる魔物達を防衛拠点の鐘守の奴らに知られないよう排除していた。襲撃してくる魔物が鐘守に見つかったら俺の負け。無事見つかることなく倒せたら俺の勝ち。


 狩りを楽しんでいる最中、ちょくちょく人間を見つけたがきちんと灰にしている。だがある時、勢い余って火魔法を使用してしまったのだ。勿論、セバスチャンに見つかり怒られてしまったのだ。

 

 それ以来俺の部屋には夜間に見張りが付くようになり、セバスチャンが時間問わず俺が部屋にいるか確認しに来ている。俺は部屋から容易に逃げ出すことが出来なくなってしまった。


 部屋に閉じ込めっぱなしになるとさすがの俺でもやることがなくなり、暇になっていた。そこにダンジョンブック様の登場である。俺はウキウキになってページをめくる。


 夜間に布団に隠れ、図鑑を見ていたあの頃を思い出す。しばらくは暇にならなそうだ。


 

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