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俺は今、建設途中である図書室と学び舎にお邪魔もとい建設をしている。向こうの林を見ると簡易的ではあるが机などが並べられて教室が出来ている。そして一番高い机にいるビックが生徒向かって語ったっている。建物が無いため外で勉強しているのだ。青空教室というものである。
「これが「あ」という平仮名ですぅ」
「はい!ビック先生!」
そこには元気に手を挙げる正宗の姿
「はいぃ、どうぞ正宗君」
「平仮名ってなんですか!?」
ほかの生徒たちも教育に触れるのが初めてであり、物珍しさでここぞとばかりに手を挙げている。
そんな微笑ましいシーンが流れて続けている。
「青空教室と元気な生徒、後、必要なのは木々の間から流れる木漏れ日くらいかな?」
いっそのこと魔素を使って木々を成長させるか?そんな考えが頭をよぎるがやめておこう。青空が見えなくなったら青空教室でもなんでもないし、木漏れ日の光も授業の邪魔になると思うし。
「まぁ、青空教室ってよりはダンジョン教室だがな」
自分が育った孤児院で大好きだった晴天下での授業。もうあの頃には戻れないと思うと、少し寂しさを感じる。
「ご主人様。手が止まっていますよ」
「あぁ、ごめんごめん。ちょっと昔のことを思い返してた」
「ふふっ、大事な思い出を思い返すのもいいですが、ほどほどにして下さいよ?」
これから俺とセバスチャンは土台作りを始める。なるべく木材を同じ大きさに整え、組み立てに異常がないか確認しながら進めていく。
工事を安全に行うためにも安定した土台作りをする必要がある。土台が安定しているのと、していないのとでは作業の効率が大きく変わる。
ある程度成形された木材で土台周りを囲うことが出来たら、次は魔素を含んだ土に水を混ぜたものを囲いの中に流し込み乾燥させて固める。そうすることで土の感触を残したコンクリートみたいな肌触りが実現することが出来るのだ。
囲いの中に入れすぎた部分は魔素をある程度流し込むと溶け出すため、何度でもやり直すことが可能なので粘土のように形を成形することも可能なのだ。
しかし、一度固まるとかなりの量の魔素を流さないと溶け出さず、少しでも魔素の放出をやめるとすぐに固まってしまう。なのでなるべくミスをしないように囲いに流していく。
あと一区画土を流し終わったら休憩しようか、このまま終わらせてしまおうか考え、土台作成が終盤に差し掛かろうとしていたその時、魔物の侵入の鐘が鳴る。俺とセバスチャンは一旦作業を中断し、近くにいるゴブリンにヘルメットを投げ、仮防衛拠点目掛け走った。