表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/39

10

 戦闘音が鳴り響く。次々とゴブリンたちが斬られていく。騎士の甲冑を破壊する手段をゴブリンたちは持ち合わせていないのだ。

 

 稀に関節などの甲冑の隙間となる場所を斬って殺すことはできるが、混乱した戦場で隙間を斬るなんて芸当ができるものは俺らの中にはいない。


 土で相手を2つに分散させて倒そうという魂胆だったが、一人一人ぼ武器の熟練度が高く、ゴブリンたちは野党のようにバッサバッサと斬られて死んでいく。


「撤退の鐘を鳴らせ!」


 俺は後方にいるゴブリンに指示を行い撤退の鐘を鳴らす。それを聞いた騎士たちは何が来るのかと少し身構えるが何も起こらない。そして、鐘の音と同時に騎士たちが固まっている場所に俺の特大火魔法を放つ。


 騎士たちの間で動揺が走り、慌てて水で鎮火しよと試みる。その隙を見逃さなかった俺とセバスチャンは二人で負傷しているゴブリンを救助し、負傷している相手の騎士にとどめを刺していく。


 それに気が付いた騎士たち憤怒の表情でが俺たちを追いかける。


「追え!ダンジョンの奴らを許すな‼」

「ビック頼む‼」


 そういうと防衛拠点の上からスライムの溶解液が飛んでくる。まるで雨のように降り注ぐそれは、俺たちと騎士との間に降り注ぎ騎士たちの足を止める。


 そのまま俺とセバスチャンは負傷したゴブリンを床に下ろして回復草から作った回復薬を浴びせる。


「よし、大体の傷もこれで直ったししばらく安静にしてれば勝手に直るだろう。ビック達はもうやめていいよ」


 ビック達の溶解液が止まった瞬間に迫りくる騎士たち。すると突然先頭の騎士の姿が見えなくなる。


「落とし穴があるに決まってるだろボケ。あいつら王国の騎士は脳筋なのか?」

「そういった訓練を受けてこなかったんでしょうね」


 途端に走るのをやめる騎士たち。足元を凝視しながら少しずつこちらにやってくる。


「ゴブリン達~。お前が練習を重ねに重ねた弓矢のじかんやで~」


 騎士たちの頭に矢が刺さる。本来あるはずの輝く兜はスライムたちの溶解液によって溶かされ無くなっており、頭を守るものはすでに亡くなっていたのだ。


 ゴブリンたちによる一斉射撃によって騎士団は慌てて後退する。しかし、途中途中で落とし穴に落ちており、ダンジョンの入り口付近に騎士団が後退したときはすでに壊滅状態になっていた。王国式の撤退合図がダンジョンに鳴り響く。


 俺は騎士たちが撤退し終わったのを見届けて、ダンジョンの入り口に再度土を展開する。


「今のうちに残ったお相手さんの物資奪っちゃって~」


 そうして回収された甲冑は見事に兜だけ無くなっており、その他は磨けば新品同様の輝きを取り戻すだろう。


 ゴブリンたちに必要な分の甲冑を渡し終えると俺は入り口に展開していた土を元に戻した。


 そこに騎士団の姿は無く、テントや物資が無残に散らばっており慌てて帰ったのだろう。その様子がうかがえる。


「あれ?騎士団って俺たちがダンジョンの外に出れないの知っているはずだよな?」

「もしかしたら、知らなかったのでは?ちなみに私は召喚されるまで知りませんでした」

「ふーん、まぁもう少し様子見して、異常がなければ俺たちの勝利ってことでいいかな?」


 俺はそういうと魔法による探知を行い周囲に人らしき生物はいないことを確認した。そして勝利の雄たけびを上げる。


「俺たちの勝利だーーーーー‼」


 大地が壊れるほどの歓声がダンジョンに響く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ