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ある日、俺は殺し屋になった。  作者: タスク
第二章
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十八話

 12月24日、世間はクリスマスイブでこの日は街にカップルが溢れかえっており、イルミネーションの豊かな電飾が綺麗に彩られている。


 なぜ俺が次の日を迎えられたのかと言うと、昨日の会議には続きがあり。


 俺の裏切りに関しては龍一しか知らなかったようで、俺は氷華先生に唆されて一時的に協力していたとして、普通に一ノ瀬の部隊へ復帰が許された。


 想像するに俺が相場と関係があることを、龍一しか知らないために混乱を起こさないよう、情報統制されていたと考えるのが自然だろう。


 そして復帰した『第十四番特殊分隊』に挨拶へ行くと、全員固まっていた。


 久世や佐野はさほど驚いてはいなかったが『まさか』と憮然とした様子で、アイリスは声を荒げてオーバーリアクションを取っていた。


 また挨拶の際に知らない黒人の少年兵が居たことに、驚きを隠せない。


 俺のかわりを務めていたという少年兵の名はコニー、ウガンダ出身の生粋のテロリストだったらしく。


 薬物による洗脳を解くために治療中だったところを、一ノ瀬の計らいによって召集されたようだ。


 あと因みに潰れた俺の左腕は、二番目のクローンの余った左を移植している。


 今回はクローン製造施設がある組織・・の本部で行った為に短期間で済んだ。


「お~い日向くぅ~ん!」


「ひ、ひゃい!」


 間抜けな声で突然横から声を掛けられ、思わず変な声を上げながら答えてしまった。


「どうしたの? ぼぉ~っとしてぇ」


 考え事をしていたせいもあるが、今ある現実を簡単に受け止められないという本音もある。


 目の前の少女──一ノ瀬(いちのせ)とは一昨日まで協力してい、昨日は本気で殺しあって、今は二人きりでデートをしていた。


「俺たち昨日は殺しあってたよな?」


「う~ん、そうだねぇ~? でも昨日の日向くんからは、私に対して殺気を感じなかったよ?」


 殺気の有無で真剣な殺し合いか判断するのかと思ったが、たしかに昨日の一ノ瀬は攻撃的ではなく、なにかを探っているように見えた。


 本来の一ノ瀬の戦闘スタイルは知らないが、常に受け身で俺の動きの緩急を見極めて攻撃を繰り出していた。


 俺自身に戦う意思がなかったように思われるのは心外だが、結果的に俺の命が紡がれているのであれば、声を荒げて否定することじゃない。


「俺はわりと真剣だったんだが……それより、今の状況はどういう事だ」


「うぅん? 今はお洋服を買うためのショッピングだよ?」


 そう。そうなのだ。


 俺は生まれて初めて入るようなアパレルショップの前で、ショーウィンドウに飾られたセットアップを眺める一ノ瀬に付き合わされていた。


 これは制服を着た学生二人がショッピング、これはある種のデートだよな?


「そこ! 一ノ瀬の服を買いに来たのならまだしも、俺の服だと?」


「うん! いっぱいオシャレしないとね!」


 若者向けのファッション雑誌片手に鼻息荒く言い寄られる。


「いらないって言ってるだろ……」


 まずクリスマスイブの日に連れ出された時に一度言って、移動中の車のなかでも言い、そして今三度目の辞退を表明するが鼻歌まじりに拒否され、腕を引っ張られるままに店へ入った。


 店内では最近流行りの曲らしきものが流れ、柔らかい匂いに包まれており、目を引く冬物の女性服が前面に押し出されている。


 そして店内に貼られた外国人モデルの女性が、トレンドのセットアップを着ている写真たちの中でも一際異彩を放つ金髪の白人女性の姿があった。


「あのモデル、セレナに似てないか?」


「え? あれはセレナさんだよ? 世界的に有名な女優さんで、たまにモデルもやってるんだぁ~♪」


 普段の短気な姿からは想像できない洗練された美しさに、思わず息を飲んだ。


 そんな感想を周りも抱いているのか、一ノ瀬を見る老若男女は小さなため息を漏らして見惚れている。


「さぁさぁ! 今日は日向くんのお洋服だよぉ~……あっ! この服、雑誌に載ってた今年のトレンド!」


 俺を引っ張っていたかと思えば、今度は普通に婦人服に目移りして物色をはじめている。


 あれもこれもと買い始めたと思ったら、満足そうに店を出た一ノ瀬がハッとした様子で、俺を見つめる。


「ひ、日向くんのお買い物……忘れてた」


「あぁ」


 俺が両手いっぱいに持っている紙袋に入っているのは全て女性ものだ。


「そもそもなんで俺の服が必要なんだよ……」


「えぇ~……」


 チラチラと周りを窺いながら、こっそりと俺に寄ると小さな声で耳打ちする。


「返り血がついたら、捨てないといけないから……ねっ♪」


 そういえばこの間のラブホテルでの戦闘、返り血がついた服は全て組織が引き取って処分したんだった。


「私たちは任務の性質上、みんな私服で活動してることが多いから、使い捨ての服が多いんだよ」


 一ノ瀬の講釈が終わると別の店へ向かい、今度は一ノ瀬の買い物ではなく俺の服を数着買うことに成功した。

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