表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、俺は殺し屋になった。  作者: タスク
第一章
19/89

十八話

「コイツら四人も()ったんだってな! 聞いたぜ、キョウ!」


 いつもの調子で意気揚々と話し掛ける龍一。だが俺の思考は そんな事より『なぜ親友が人殺しを』って事ばかり考えていた。


「全員ゼロ距離射撃! おもろしれぇなぁ!?」


「銃なんて撃ったこと無いから、少し離れた相手でも当たる気がしなかっただけだよ……それより龍一──」


 俺の質問を遮るように龍一は、爆笑しながら立ち上がった。


「──ヒヒハハハ! なるほどな! でも銃撃戦の中に突っ込んで暴れるなんて、サイコーにイカれてるよ!!」


 たしかに龍一の言う通りだな。突っ込むキッカケは作ってもらったが、それでも圧倒的に不利な状況に変わりはない。


「龍一くんそろそろ行かないと、アルヴァスさんやセレナさんが怒るよ?」


 一ノ瀬が制し、龍一は腹を抱えながら左手の時計を見る。


「ヒヒ……あぁそうだったな。じゃあ雪子、後は任せたぜ! アディオス! アミーガー!」


 終始テンション高く、意味不明な挨拶をすると嵐のように笑い声と共に店を出ていった。


「やっぱりナンバーズ(・・・・・)って人達はよく分からないわね」


 落ち着いた声音で一ノ瀬の肩を叩いた金髪の外国人と目があった。


「それと、コイツは誰?」


 コイツと呼ばれ指を指された俺は、立ち上がって自己紹介しようとすると、隣に居た久世が笑顔で肩を叩かれ座らされた。


「彼はNo.=2の指示で、ユキちゃんの監視下にいる。日向(ひなた) 恭一(きょういち)くんです。私たちを助けてくれました」


 普段のおどけた口調ではなく、真面目な話口に少し驚いた。


 この外国人は久世の上司なのか?


「って、俺は助けた覚えは無いんだが?」


 俺の反駁に佐野が突然割り込んできた。


「おいおい!! 誰が助けられたって!? むしろ助けてやったんだろーが、チカ!」


「そもそも、ユキちゃんの指示を無視して暴れたのはどこの誰?」


「んぐっ……で、でもなぁ! こんなトーシロのガキに助けられたってのは、冗談でも笑えねぇんだよ!」


 血塗れのチェーンソーと工具箱を無造作に捨て、俺へとズカズカ歩いてくると血のついた手で胸ぐらを掴む。


「テメェな! 調子のって吹いてんじゃねぇぞ!」


 俺はむしろ否定したんだが、コイツにはそんな反論が届く筈がないだろう。ってか、どんだけ気が短いんだ。


「止めなさいよ。相変わらずバカで短気……クスリのキメ過ぎね──」


 金髪の外国人が巨大な回転式拳銃トーラスレイジングブル劇鉄(ハンマー)を起こし、佐野の顳顬(こめかみ)に突きつける。


「──指示も守らず、部隊に泥を塗って雪子に恥かかせた挙げ句に、まだ仕事の邪魔するつもり? アンタ何様なの、ジュン……」


「あぁ? 殺すぞ……レズ女!!」


 額に銃を突きつけられて、尚も怒りを(あらわ)にする佐野の姿に、さっき言われていた薬物使用の疑惑が濃厚になったな。


 一ノ瀬が静かに金髪の外国人の背後に忍び寄り、傍らの久世はアンプルから液体に注射器移していた。


「アイちゃんすとーっぷ!!」


 一ノ瀬が金髪の外国人を羽交い締めにして止めに入り。


「あぁ? チカ、何してんだよ」


 佐野が困惑する中、俺の胸ぐらを掴む腕に止血帯を素早く締め、馴れた手つきで佐野の手首に注射針を刺した。


「ジュンもアイリスさんもやりすぎ!! 取り敢えず、ジュンには筋弛緩剤打ったよ!」


「はぁ!? ふざ……けんなよ」


 即効性のある薬なのか、佐野の腕がぷるぷる震えだしソファーに仰向けで倒れ「しびれりゅ~」っと呂律が回っていない。


「ふんっバカの相手は疲れるわ……それで、日向恭一だったわね。礼を言うわ──」


 少し筋肉質な手を向けられ、遠慮がちに握る。


「──私はアイリス・レイアーチ、No.=2と知り合いって事は組織(・・)の関係者と見ていいのよね?」


 No.=2とは龍一のことを指すのだろうか。


 そもそも俺にはなぜ龍一が一ノ瀬たちと面識があるのか分からない。


「えっと……龍一とはただの友達で、組織(・・)ってヤツに関してはまったく……」


「そう……無関係な人間が雪子に狙われて、生きているなんてあり得ないと思うけど? アンタは特別扱いなの?」


「特別扱いかは分からないが、一ノ瀬が見逃したのは理由があるらしい」


  アイリスは左手を引っ込めると、腰にしがみついている一ノ瀬の柔らかい頬をツンツンした。


「どーゆうこと?」


「うぅ~~り、龍一くんの指示で見逃せって言われたから、一応見張ってただけだよ?」


「ホントに『見逃せ』ってだけの指示なの?」


「うん!」


「じゃあなんで私たちに黙ってたの? チカやあのバカには話してたみたいだけど」


「そ、それは…………」


 助けるように潤んだ蒼い瞳を久世に向ける一ノ瀬に、ニッコリと微笑み返すと、久世は俺の両肩を掴んだ。


「正式に私たちの仲間になるまで、アイリスさんとエドゥアルドさんには内緒って話だったんです」


「アニュスやリヒャルド、コニーみたいにってこと?」


「ざっつらいと! さすがハーバード卒ですね!」


 ハーバードを出てるのか、全くそんな風に見えないが……


 まぁたしかに、これだけ日本語が流暢なアメリカ人ってのも珍しいよな。


 今日新たに知っただけでも、一ノ瀬が隊長として部隊を率いてる事が分かった。


 その部下には、クレイジーサイコの佐野、フライフェイス久世。巨漢の北欧人エドゥアルド、ぶちギレアメリカ人のアイリス。


 曲者揃いの部隊のリーダー──一ノ瀬 雪子。


 連中の仲間になるのは、この俺──ゼロ距離射撃の日向 恭一か。


 なんだよ全員イカれてるんじゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ