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ある日、俺は殺し屋になった。  作者: タスク
第一章
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十七話

「さっき話してた新羅(しらぎ)カンパニーって、兵器開発もやってるのか? それって違法じゃねーの?」


「えへっ、細かく言うなら、武器の設計、開発は違法じゃないよ? 違法なのは武器の国内製造、建造そして、それを一般販売するのは違法なの」


「ほー、詳しいんだな」


「一般常識だよ♪ でも、恭一くんが言うように実は結構、暗い話もあるよ」


 そう言ってテーブルに置いてあるマガジンの抜かれた大型自動拳銃(ラドムVIS)を見せてきた。


「コレ、私が使ってた銃。実はそこのバーのマスターが懐に仕舞ってた銃なんだけど、このwz1935モデルって結構珍しいんだぁ~」


「ふーん……」


「反応薄いよ! こんな珍しい銃、日本の暴力団! しかも下っぱの構成員が携帯してるのって、おかしいと思わない?」


「まぁたしかにな。暴対法も今はかなり厳しいって聞くし」


「実はコレ! 防衛装備庁って省庁が流したって噂の銃なの」


「それヤバくねぇのか?」


 国の内部事情、簡単に漏らす久世も相当ヤバいがな。


「ヤバい……って言いたいところだけど、日本は数年前から戦争がしたくて仕方ないって状態だったんだよ?」


 久世いわく、噂の範囲と自分がリベレーターに所属していたのが根拠らしい。


 防衛省が秘密裏に若者を海外派兵しては、特殊部隊を作り上げようとしていた事実。


 そしてもう一つは異能力を持った『超兵』を軍事利用しようとしているという事。これに関しては久世は詳しく知らないらしい。


「なんでそんな話を俺にしたんだ」


 かなり重大な秘密に聞こえたが、興奮気味に話す久世に割って入る事が出来ず、一通り聞き終えて質問した。


「長尾組が新羅カンパニーか、防衛装備庁に繋がるキッカケがある筈って読みと、恭一くん『止まれ』って言った瞬間に現れた鎖……あれって異能ってヤツじゃないのかなって」


「話をしてくれて申し訳ないが、二つとも俺は初耳だ。第一に長尾組の内部事情なんて、正直まったく知らない。第二にあのチカラは俺にも何が何だか分からないんだ」


「そっか……そうだよね。ありがと♪ 愚痴聞いてくれて」


 そう言って左の頬を擦りながら痛々しく笑う久世。


 そしてその直後に聞こえてくる機械の轟音と、男の叫び声がバックヤードから聞こえてきた。


「な、何の音だ!?」


「あ~恭一くんは気にしないで、最後に捉えた構成員に質問してるだけだから」


 質問にしては話し声なんて一切聞こえず。


 終始機械の駆動音と肉を引き裂く音と男の掠れた悲鳴、そして聞き覚えのある男の笑い声だ。


 それが数十分続く中、久世は俺の隣で銃を手入れし、エドゥアルドと呼ばれる巨漢は黙々と死体袋に詰めていく。


 コイツらの様子を見れば、これが日常風景なのだと思わざるおえない。俺は改めて、とんでもない世界に片足を突っ込んだのだと、少しだけ後悔をし始めた。



***



 機械音と悲鳴と怒号が止み、男の笑い声だけが谺するバックヤードの扉が開かれ、最初に出てきたのは黒いロングコートを着た炎髪(えんぱつ)の男──赤井(あかい) 龍一(りゅういち)だ。


「いやぁ~相変わらずお前らぶっ飛んだ趣味してるなぁ!」


「尋問と拷問は、数少ないストレス発散場所だからねぇ~♪」


 龍一に続いて出てきたのは緑髪の一ノ瀬だ。


「ハハハ!! サイコーだぜぇ!!」


 そしてその次に出てきたのは、血だらけのチェーンソーとノコギリや斧が飛び出た工具箱を持った金髪ピアスの佐野。


「ホント、あんたはサイテーね。品性っていうのが無いわよね」


 最後に出てきたのは、ライダースジャケットを着たやたらと日本語が流暢(りゅうちょう)な金髪の外国人女性だ。


「おっ! キョウ! 目が覚めたんだな!!」


 そう言って駆け寄ってきては、タバコ臭い身体を寄せて無理矢理肩を抱かれる。


 龍一の黒いロングコートにこびりついた酒とタバコの匂い、そして強烈な血と硝煙の香りが殺人者特有の怪しい気配を感じさせた。

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