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ある日、俺は殺し屋になった。  作者: タスク
第一章
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十話

 路地裏に連れて行かれ、待っていたのはもちろん私刑(リンチ)だ。


 殴る蹴るは当たり前だが、ヒョウ柄の男の命令で、その辺に落ちてる鉄パイプやら空き瓶やらでぶん殴られ、たぶん顔の形も変わってるんだろう。


「へぇ~鉄パイプで殴られても腕一本折れへんって、ごっついなぁ~にいちゃん。もしかしてにいちゃんもコッチ(・・・)側ちゃうんか?」


「ふざ……けんな……俺が、ヤクザなわけねぇーだろ」


「ヤクザには見えんなぁ~そうやなくて、能力者って意味やったんやけど……まぁええわ」


 そう言って俺のブレザーから無造作に学生証を取り出し、しげしげと眺めている。


「えぇ~マジか……にいちゃん、允人(まさと)のとこの(せがれ)か! ってことは、親ゆずりで頑丈なだけかい」


 親父(アイツ)を知ってる……ってことは、今さらながらコイツらはヤクザか。


「違う……俺はあんなカス野郎とは違うんだ!」


「あぁ、たしかに允人とにいちゃんはちゃうな。にいちゃんの方が断然弱い!」


 そう言って傍観していたヒョウ柄の男は、蛇皮の靴を鳴らしながら近付いてくる。


 手足の感覚がなく、全身の痛みでマトモに動けない。首だけを上げて、ヒョウ柄の男を睨んだ。


「さてと、リンチにも飽きたしそろそろケジメつけようか!」


 そう言ってヒョウ柄の男はジャケットの内側から、大型のサバイバルナイフとカランビットを取り出した。


「親父! ()るんなら俺たちに殺らせてください!」


 意気揚々と名乗り出るチンピラ二人。今沸々と奴らに対する怒りが湧いてくる。


「アホ。何勘違いしとんねん……──」


 ヒョウ柄の男が俯き、俺と目が合う、すると徐々に男の瞳に小さな光が集まっていき、虹彩に赤い光が宿った。


「ケジメ取るんは、ヤクザの本懐やろ」


 歪に口角を吊り上げ、赤い光がテールランプのように、ヒョウ柄の男は一瞬で二人のチンピラの首を跳ねた。


「いやぁ~やっぱ弱いなぁ~全然おもんない、へへっ」


 返り血すら浴びず、一瞬で俺の眼前まで戻ってくると、ニヤニヤ笑いながら俺の顔を覗き込んできた。


「允人に聞いたら分かるやろーけど、俺の名前は羽籠(はごもり) 隆義(たかよし)って言うんや。いつかやり合うかもしれへんし、ハンデのかわりに教えたるわ」


そう言うと再び目に赤い光が集まっていく。


「俺の異能(いのう)は『リフレイン』って言って高速反復ってヤツや珍しいやろ?」


 それだけ言うと俺の生徒手帳を投げ捨て、三人連れ立って立ち去ろうとする。


「あ、せやせや……おーい、殺し屋のねぇーちゃん! 允人の倅、アソコに連れてったってくれや」


 誰に言うでもなく、羽籠はその場で叫ぶと「ほな行こかぁ~」っと言って去っていった。


 そして音も無く現れた女に驚く暇もなく、俺を軽々と肩に乗せてどこかへ連れて行った。

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