第三話 スライム狩り
「おっと、スキルの話は置いといてスライムの液体を集めておかないと」
そのモンスターの素材というか、倒した証拠があるとそれとひきかえに賞金がもらえる。基本的には倒した後にモンスターによって決まった部位を切り取りそれを持っていけばいい。モンスターによってもらえるお金も決まっている。このもらえる賞金によって闘士は暮らしているのだ。
実は、市場に行った時に、スライムを入れる用の小さな瓶を買っておいたのだ。
集めていると今度は、レッド・スライムが出てくる。
レッド・スライムの特徴は炎魔法を使う事ぐらいなので、スライムと同じように戦えば、勝つことができる。
スライムの時と同じように切りかかる。しかし、レッド・スライムが地面に向かって炎魔法を撃って、その爆発を利用して跳んでしまったのだ
「なっ、そんなこともできるのか」
スライムという事でみくびっていたが、意外と賢いのかもしれない。が、スライムが落下してきたタイミングで切りかかる。
スライムもその先のことを考えていなかったようで簡単にきることができた。
『死神スキルが発動します』
『ステータスに体力+20、筋力+5、魔力+20、俊敏+15、運+2が加算されます』
スライムの上位種という事もあり少しだけだが、ステータスは高いようだ。ステータスは少しでも高い方が、いいので非常にありがたい。
俺はそれからさらに、スライム×24、レッド・スライム×14を狩った。
持ってきた小瓶はすべて使ってしまった。
最終的にステータスがどれだけ増えたのかを確認する。
・ノワール・モルテ
体力…799
筋力…397
魔力…661
俊敏…557
運…93
スキル…死神
スライム系の特徴の、筋力ステータスが低いというのは残念だが、体力と魔力の伸びがすごいことになっている。
こんな簡単にステータスが増えるんなら、日雇いバイトなんてやらなくてもいいじゃないか。
『あの、ノワール様、ステータスをいただいてもいいですか』
「そうだな、結構戦ったし、いいぞ」
俺がそういうと同時に、体の力が抜けていった。これがステータスを吸われる感覚か。
「今思ったけど俺がシュテルを選んでいてよかったな。だって、ステータスを吸われるのは普通の人じゃ無理だし」
『ノワール様が僕を選ばないはずないじゃないですか。僕は死神スキルのために作られた武器なんですから』
「えっ」
『どうかしたんですか?』
「初めて聞いたんだけど」
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないよ!っていうか死神スキルのために作られた武器ってどういうこと?」
シュテルから話を聞く。死神スキルを持っていた人は過去にもいて、その人のために作られたのがシュテルらしい。それで今では俺が持ち主になっていると。
そこで疑問が湧く。
それならばシュテルは何年前からあるのかという事。本人に聞くのが一番早いのですぐに聞いてみた。
「それならさ、シュテルって何年前からあるのっていうか居るの?」
『数千年前くらいですかね」
シュテルはあっさりというが、かなり凄いことなんじゃ。
「人生においては大先輩じゃん。そんな長い間居るのなら、なんで、俺に敬語を使うんだ?」
『それは、僕が武器だからですね。僕を使うかどうかは持ち主が決めるので』
その言葉を聞いて納得した。道具や武器は人間が使う物だから、道具達からすると、いつか捨てられるんじゃないかとおびえているのだろう。
「俺はシュテルを捨てたりなんかしないよ。だって、俺の相棒はシュテルだけなんだからさ」
『そう言っていただけるとありがたいです」
これは本人が目の前にいるからとかではなく、俺の本心だ。
『おっと話しを続けるのもいいですが、この魔物を狩ってからにしましょうか』
シュテルの話に夢中になっていたので、気付かなかったが、目の前には新たなモンスターが悲しそうにまっていた。
「なぁ、こいつ目がなんか変じゃないか?」
『確かにそうですね。人間でもたまに、持っている、特殊ステータス魔眼持ちのスライムじゃないでしょうか』
「聞いた事はあるけど、こいつが魔眼持ちかー。待てよ、特殊ステータスってことは死神スキルで奪えるのか」
「待って、殺さないで。僕、悪いスライムじゃないよ。僕、知能があるから人を襲うなんて馬鹿なことはしないよ」
「えっ!喋れるの。それはどうでもいいけど、人を襲わないって言われてもなー」
「僕のことを信じて。じゃあ僕はいくよ」
スライムはそう言い残すとすぐにどこかへ行ってしまった。スライムの瓶も全部使ってしまったので一度王都に帰ることに決まった。
『ノワール様、危ないっ!』
なんとなく、予想はしていたがスライムがとびかかって来た。
予想はできていたので、シュテルで振り向き様に切る。スライムは、一直線に跳んで来たので他のスライムと同じく、簡単に倒すことができた。
『死神スキル特殊効果《死神の邪眼》の発動条件を満たしました。死神の邪眼の効果を表記いたします』
『死神スキルが発動します。ステータスに体力+201、筋力+103、魔力+339、俊敏+143、運+7が加算されます』
『ステータスに特殊ステータス魔眼を追加します。』
えっ!ステータスの量が多すぎないか。魔眼を持っているとステータスの値が高くなるのだろうか?それも気になるが、《死神の邪眼》の効果を確認する。
死神の邪眼…相手を見つめることで、ステータスやスキルを見ることができる。夜目が利くようになる。ステータスが格下の相手をひるませることができる。
死神スキルは想像よりも遥かに優秀なようだ。
新しい能力を試したい気持ちもあるが、一度スライムを交換してもらわないと邪魔なので町の方に歩き始めた。
「死神スキルに目覚めてしまったか。死神くんは可愛そうだねえ。今まで呪われたスキルと差別され、いじめられて、頑張ってこの王都まで来たのに、僕に消されるんだから。死神スキルは人間が持っても完全に能力を使いこなせない。よくて、ステータスを奪えるだけ。僕のように神が持ってこそ真の力を使いこなせるんだから。僕の世界に不完全なものはいらない。僕の使い、死者に消してもらうよ。真の死神と戦うけど、先代の死神くんぐらいは超えて楽しませてほしいな。」
「それじゃ、こいつを起動するか。神使いタイプ・剣起動。いつぐらいに戦うことになるかな~。もうちょっと死神くんが強くなってから行ってもらおうかな」
遅くなって大変申し訳ございません。これからの投稿は毎週土曜日か日曜日の週一を目指して投稿します。