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死神の魂刈り  作者: しゃけ
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第一話 世界の仕組み

 この世界には、良くも悪くもスキルが存在する。

 スキルは主に、三つに分けられる。攻撃系スキル、支援系スキル、呪われたスキルだ。

 攻撃系スキルは、魔法や剣術の技が当てはまり、支援系スキルは、回復や攻撃の威力の上昇させる物などが当てはまり、呪われたスキルはメリットもあるしデメリットもあるものが当てはまる。

 呪われたスキル以外はデメリットが無いのだ。


 そして俺は、呪われたスキル保持者。


 呪われたスキルが呪われているといわれるのには理由がある。

 1つ目が、呪われたスキルは一度スキルの発動条件を満たさないとスキルの効果が見れないという物。

 2つ目が、強力な効果もあるがデメリットも大きいという事。

 いくら、スキルが強力とは言え、本来無いデメリットを受けてまで欲しいスキルではないからだ。


 ある意味、スキルというのは神から与えられる最初の試練といえる。


 俺が持つスキルは《死神》。効果は分からないが、生まれ育った村ではスキル差別によっていじめられていた。

 

 この役に立たないスキルのお陰で、たった一人の家族だった母が病死した際に、役に立たない俺は村から追い出された。追い出された俺が最終的にたどり着いた先は王都カントリー。これほど広い都なら、自分でもできることがあるはずだと俺は、希望に胸を膨らませていた。

 しかし、現実はそううまくいかず、毎日を王国が出す様々な日雇いバイトで暮らすのがやっとの生活だった。さらに、自分の持つスキルが【呪われたスキル】と言うのもあってか、扱いはとてもひどく、危険が伴いしんどい物ばかりやらされる。そのうえ、お給金は他の職種と比べても格段に少なかった。


「おい、今日もしっかりやっているか」


 深紅に染まった鎧を身に纏った少し老いた聖騎士様が声をかけてくる。俺の雇い主であり、王都の四分の一を取り締まる聖騎士ティランだ。鎧だけでなく髪色までも血を思い浮かばせるように真っ赤な髪色をしている。彼は、非常に優秀な聖騎士なのだが、その傲慢さなどから王都の民からは【暴君】と呼ばれている。


 聖騎士とは、闘士の中で特に優れたスキルの一つである《聖剣技》スキルを扱える者。かつ王国がその力を認めた者を示す称号だ。

 この世界では、どれだけ強くなれる限界も、スキルで決まるため特に優れたスキルを持つ聖騎士は普通の闘士とは比べ物にならないほど強い存在だ。

 そんな目上の人に失礼なことをするわけにはいかないので、俺は跪き頭を垂らし返事をする。


「はい、問題はありません。ティラン様」

「そうか、ほら今日の分だ」


 そう言いながら俺に銅貨を40枚ほど渡してくる。王都の人は彼を暴君というが、あまり強くないスキルを持つ者やキツイ仕事をする者には優しく接している。これが、彼なりの優しさなのだろう。弱者に対しては本当は優しい人なのだ。


「悪いな、王国が多く渡しすぎだって言ってな。こんな見てるだけで疲れるような仕事をしているというのに」

「いやいや、その言葉をいただけるだけで頑張れますよ」

「そうか、おぬしがそう言うのならばいいんじゃが。そうじゃな、儂にも手伝わしてくれ」


 ティランはそう言うと、俺の返事を待たずに手伝い始める。

 一時間ほど時間がたつと、ティランは聖騎士の職務が他にもあるのだろう。王国の方に戻っていってしまった。

 弱者に対してのみだが彼の優しさはとても尊敬できる。弱者に対してのみ優しくするのは、弱者は常に虐げられているからだろう。そんな事を考えながら仕事を進める。


 * * *


 あれから数時間ほどがたち、今回の仕事である荷運びが終わる。


 さすがに、途中で休憩はあるものの非常にお腹が減り、行きつけの酒場へ向かう。店に入る時には月はとっくに天高く昇りきっていた。

 俺のほぼ指定席となっているカウンター席へ腰をかける。マスターは何も言わずにいつものワインを出してくれた。貯金のために俺がいつも頼む一番安いワインだ。しかし、一番安いとは言ったが味としてはまずまずといったところだ。そこがマスターのこだわりである安くてうまい物を届けるという気持ちなのだろう。


「マスター、パンとスープ。今日は肉もお願い」

「あいよ」


 パンだけでも満足できる大きな焼きたてのパンといろいろな野菜が煮込まれたスープ。そしてメインのステーキ。ワインと合わせてもたったの銅貨が30枚。肉は毎日は頼めないが、さすがはマスターなんて安いのだろう。

 パンが冷めないうちにかぶりつく。口いっぱいに広がる小麦の香り。そのままスープを飲む。これまたうまい野菜のスープに舌鼓を打つ。ステーキにいく前にすでに満足している俺にマスターが話かけてきた。


「仕事の方はどうだい?」

「まーキツイのはキツイですけどティラン様がいますから」

「そうか、じゃあいいけどよ。ステーキは冷める前に食ってくれよ」

「はい!」


 ステーキを食べる前にスープを飲む。スープだけでも満足できる旨さ。ステーキを食べるとどうなってしまうのか。早速、ステーキを切り分け、一切れを口に運ぶ。たった一切れでルンルン気分になる。これでも一番安いのだ。これ以上旨いものがあると言うのだ。マスターは一体何者なんだ。そう思ってしまうほどに旨い。


 あっという間に食べてしまった俺は、店をでて、明日の仕事を探す。が、何も出ていない。明日は募集していないようだ。明日は何をしようかそんなことを考えながら床に就く。仕事の後という事もあってかすぐに寝ることができた。


 * * *


 朝の小鳥のさえずりが聞こえ目が覚めた。

 今日は今まで日雇いバイトをやっていたので考えた事もなかったが闘士になろうと思えばなれるんじゃないかと思い市場の方へ行く。闘士になれるんじゃないかと思った理由は今までキツイ仕事をしていたからだ。

 この世界は魔物を倒して経験値を得てレベルアップする以外にもトレーニングをしてステータスを上昇させる事もできる。

 なら、日雇いバイトのキツイ仕事も、トレーニング扱いになるんじゃないかと考え、市場のほうへ歩く。俺でも闘士になれるのなら日雇いバイトはやらなくていいからな。



明日か明後日に次回投稿します。

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