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幕末京都の御伽噺  作者: 鏑木桃音
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将軍家茂の上洛


土御門家にて

「お姫さん、お父上さんがお呼びです。」

清子は、日当たりのよい縁側で読書をしていたところだ。庭の桜が青空に映えて美しい。

読んでいたのは易経。儒教五経の一つである。眠くなってきたところだったので丁度よい。

葛の葉を膝からそっと降ろす。


父の部屋に行く。

父晴雄は、神妙な顔をしているが、何か面白い物でも見つけたような、つまり何か企んでいるような顔をして清子を見ている。

「何のご用でしょうか。」

「来る三月四日、大樹公が主上さんに拝謁するため京においでになるのだが、私に占筮(せんぜい)をせよと申されるのだ。

二条の城に行くことになった。

そこでだ、これからそなたも貴人の前で占術を披露することが少なからずあるであろうから、私の供をしてはどうかと思ってな。」父はにこやかに笑う。そこに拒否権はあるのだろうか。

でも、これは面白い!大樹様(徳川家茂)はまだ17歳。日の本を背負って立つ若き貴公子をこの目で見ることができるのだ。

「是非、ご同行させてくださいませ。」

「では、決まりだ。」

満足そうに父は言った。

満足そうに清子も微笑んだ。


実は、父と大樹様は初見ではない。以前、父は大樹様の将軍就任式に、勅使として江戸城に派遣されている。それで思い出していただいたのだろうか。まぁ当家は名前だけは有名だけれども。

大樹様は、公武一和のための和宮様ご降嫁に対し、主上さんに謝意を申し上げるため上洛なされる。

建前は、である。

実際は、主上さんから降嫁の条件であった攘夷の実行を迫られているにもかかわらず、一向に実行に移さないことに対する申し開きをなさりにいらっしゃるのだ。異国と条約を結んでしまったのに攘夷などできるはずがない。苦しいお立場である。


毎度思うのですが、旧暦の日付と季節のずれが気になります。

将軍家茂の章は我ながら面白く描けたのではないかと思うので、引き続き読んでいただけるとうれしいです。

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