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幕末京都の御伽噺  作者: 鏑木桃音
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金魚鉢


文久3年(1863年)1月7日

 土御門清子は目が覚めた。まだ朝早く部屋は暗い。まだ正月は明けていないのに歳神様をお迎えする浮かれた雰囲気は御家にはない。

 代々陰陽寮の陰陽頭を務める土御門家は正月だからといって休みではない。陰陽寮は暦と天文を司るが、天文観測は正月だからといって休むわけにはいかない。また、年初めの筮占の依頼は冬至の時と同じくらい多く稼ぎ時である。冬至時は来年の吉凶を占い、正月は今年の吉凶を占う。近年、内憂外患こもごも起こり、治安も悪化し、皆不安で仕方ないのだ。

 清子の双子の兄泰清が、遊び相手という名目で若宮の側仕えに選ばれたことも、禍除けの意味があると思われる。

 泰清は四日から早々に出仕している。早すぎではないか。清子は寂しく思う。

 朝廷内で尊王攘夷派の長州藩の息のかかった公家の勢力が増しているという。当家は幕府との関りが強く公武合体派である。尊攘公家は狂暴だとお父上さんは仰っていた。泰清は恐ろしい目に遭ってないといいのだけれど。

 昨年は、皇妹の和宮様が将軍家に降嫁されたので公武合体の方向に時運が流れていくのかと思ったが、そうはならなかった。降嫁したにもかかわらず、幕府が攘夷を実行しないので、尊攘公家がますます勢いづいた。

 当家は難しい舵取りを迫られている。少しでも時勢を読み間違えれば、すべてを失ってしまいそうだ。晴明公のような上手であればいざしらず、こんな時に吉凶占いになんて頼ったら後悔するに決まってる。

 陰陽頭の娘がこれじゃぁ、陰陽道も先が知れてるわね。清子はため息をついて金魚鉢を覗いた。



修正をかけたら(小難しい歴史部分の削除)すごい文章量が減ってしまった。いや違うよ、初期のころはもともと分量が少なかったよ。落ち着け落ち着け。

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