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三種の神技

「いや〜それにしてもスゲー強そうな人だったなルーザーさん!」


 カイゾウ王国で必要な物資を調達し、早々に次の目的地へと向かう道中、思い出したかのようにディバイドが言った。


「キレた時の人を寄せ付けないあのオーラ! あれって確かあれだよな、三種の神技の一つで武術を極めた人が使うことのできる力、『波動力』! あそこまで強烈なのはロゼロゼのお母さん以来だな!」


 確かにお母さんも怒った時に異常なプレッシャーを放っていた。

 その威圧を拳などの一点に集中させて相手にぶつけることで、何倍もの威力を生み出すことのできる力、それが波動力だってシシマル先生が話していた。

 だから強力な波動力を手にしている人は、お母さんやルーザーさんのように威圧だけで相手を制圧することができるらしい。


 ちなみにお母さんが怒る時はだいたい僕に不利益を被るようなことをした人に対してのみだ。

 僕自身が怒られたことは一度もないし、基本的に全ての人に対して優しい。

 ただ、お父さんと結婚する前のことを聞くと震え始める先生が多いのは気になったけど…………。


「ロゼのお母さんはもちろんのこと、【一将】っていうと戦争時代は魔王の右腕だった人だものね。あれぐらいできて当然じゃない」


「波動力は自身の闘気を練ることで使えるんだよね。僕はまだ全然使える気がしないなぁ」


「波動力もそうだけど、ロゼの場合は他の二つも使うことができるかもしれないじゃない。そっちの方が羨ましいよ絶対」


 ティムが羨ましがるように言った。


 他の二つとは、三種の神技に数えられる『波動力』を除いた残りの力のことだ。

 波動力は誰しもが使うことのできる可能性を秘めているが、残りの二つは違う。

 選ばれた者のみしか使うことのできない、まさしく神に等しき技。

 それは『光力こうりょく』、『冥力めいりょく』と呼ばれている。


『光力』とは光の力を剣のように形成することもできて伸縮自在、さらには木の枝のように何本にも分けたりすることができる。

 ただし耐久性は脆いため、普通の剣と打ち合うと簡単に割れてしまうみたいだ。


 また、この光力は光の加護によって守られている人しか使うことができず、僕のお父さんである勇者や、光の巫女と呼ばれている人達にしか使うことができない。

 本来光力は光の巫女達しか使うことができなかったが、お父さんは何故か光の加護によって守られており、使うことができたのだ。

 これもまた、お父さんが勇者と呼ばれるようになった理由の一つでもあるらしい。


 そして光の加護はその子供へと及ぶため、お父さんが使える以上、僕にも使えるのではないかと噂されている。

 ただ光の巫女とあるように本来は女性しか使うことができず、光の巫女から生まれてきた男の子に光の加護が宿ることはなかった。

 そもそもお父さんが例外であるため、女性しか使えないという常識も僕に当てはまるのかは分からないけど、現時点で僕が使える気配は微塵も感じない。


 そして『冥力』とは、魔王のみが代々使うことのできる力のことだ。

 孔力のようにそれ自体が剣を成すことはできないけど、冥力を纏わせることで適当に落ちている木の棒すらも、名刀と同じ斬れ味にすることができる。

 つまり、物体自体の斬れ味を格段に上昇させるということらしい。


 さらに冥力は手元から離れていても長く効力を発揮するため、歴代の魔王は戦争時に弓や剣に冥力を纏わせ、それを部下に分け与えることで優位に立っていたそうな。


 これら三つの魔法とは違う力のことを総称して『三種の神技』と呼ばれている、とシシマル先生が言っていた。


「でも未だに使えたことなんてないし、お父さんもお母さんも僕のこの歳には三種の神技は使えてたっていうから……自分の才能の無さにヘコむよ」


 僕は深くため息をついた。

 お父さんやお母さん、それに各先生方は僕のことを褒めちぎるけど、やっぱりティムやディバイドと比べても僕は劣っていると感じる。

 きっと世界にはもっと凄い人達がいるんだろう。


「まぁ焦る必要はないんじゃね? 俺だって剣術以外はからっきしだしな!」


「そうね、ディバイドは頭も空っぽだものね」


「おいおいねーちゃんそれはひでーよ! これから沢山詰め込める証拠だって!」


「モノは言いようよね」


「そういうティムは頭の中ピンク色だけどね」


「ありがとう!」


「褒めてない」

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