プロローグ
「お父さん、お母さん。今日は折り入って話があるんだ」
僕は夕食のテーブルで食事に手をつける前に、お父さんとお母さんの顔を交互に見ながら言った。
黒髪で短髪、キリッとした顔つきに鍛えられた身体をしているお父さん。
金髪長髪で、柔らかい金色の眼をしているお母さん。
そんな二人の息子として生まれた僕は、黒髪の中に少量の金髪が混じり、顔付きはお父さんに似て、眼だけはお母さんに似ているとよく言われた。
「どうしたんだ改まって」
「そうよ。わざわざ改まらなくても、ロゼのためなら人類を滅ぼしてる最中でも聞くわよ」
なんだよその例え。
怖すぎるよ。
「おいおい母さん。そしたら俺まで死ぬことになるだろぉ?」
「あら、もちろんアナタは別に決まってるじゃない。だって私はアナタに夢中、なんですもの」
「ま、母さんに殺されるなら俺は本望だけどな!」
「アナタ…………!」
「ちょいちょいちょい!! 僕の話の腰を折ってイチャつかないでよ!」
隙を見せたらすぐこれだ!!
親がイチャついてる姿を見せられる息子の身にもなってよ!
「もちろんお母さんはロゼの事も愛してるわよ!」
「父さんだって愛してるぞ!」
「あ、僕も…………じゃなくてさ! 僕は真剣な話をしたいんだよ!」
「アナタ聞いて……! ロゼが……私の可愛いロゼが『僕もお母さん大好き!』って返してくれないの! 反抗期かしら……!」
「何年前の話を……」
「心配するな! 俺達の可愛い息子に限って反抗期なんてあるわけないだろ!! な、ロゼ!」
「いや話聞けや!!」
一向に話が進まないよ!
いい加減、僕のペースで話させてくれ!
…………って、なんで2人とも人生に絶望したような表情になってるのさ。
「反抗期よ…………完全に反抗期だわ……」
「一体どこのどいつが俺達のロゼをこんな風にしやがったんだ……! こうなったら……」
「そうね……」
「「世界を滅ぼすしか…………」」
「親バカやめろおおおおおお!!!!」
綺麗な満月の夜に、僕のツッコミが響き渡った。