75じいじと遊びましょう。
「じいじい~、どこでしゅかあ?」
「おお、ユーキこっちじゃこっちじゃ。」
「じいじ、だっこしてくだちゃい。」
「良いぞ。いくらでも抱っこしてやろう。」
僕は抱っこしてもらってニコニコです。
じいじは毎日、いろいろお話してくれます。おじいちゃんが小さかった頃のカージナルの事とか、他の僕が知らない街の事、たくさん教えてくれます。お花ばっかり売ってる街や、冒険者さんしか居ない街。海が目の前にあって、いろんな所からお船が集まって来て、とっても賑やかな街。じいじは全部、行ったことがあるんだって。
僕が1番気になった街は、お菓子をいっぱい売ってる街。お菓子!!そんな街があるんだね。僕その街行きたい!
じいじのお話聞いて、いいなあいいなあって言ったら、今度皆んなでお泊りしながら、遊びに行こうって約束してくれました。やったあー!!
僕はお部屋の中、ぐるぐる走っちゃった。だって、お菓子の街だよ。それに皆んなでお泊まりで、遊びに行くんだよ。嬉しいなあ、嬉しいなあ。
ばあばも、じいじに負けないくらい、お話してくれます。ばあばは、魔獣の事とか、森の生き物に海の生き物、動物さんのお話を、いっぱいしてくれました。
どうしてそんなにいっぱい知ってるのか聞いたら、ばあばもお母さんと一緒で、冒険者さんだったんだって。お父さんが、とっても強いんだぞって。ばあばもお母さんも凄いね、カッコイイね。
「ばあば、今度かあしゃんといっしょ、もりいくでしゅ。カッコイイばあば、ぼくみたいでしゅ。」
「あらあら、そう?じゃあ、久し振りに今度、森に行こうかしらね。ユーキちゃんに喜んで貰えるように、ばあば張り切っちゃうわ。」
やったあー!ばあばも約束してくれたよ。楽しい約束いっぱいです。
僕が喜んでたら、お父さんもじいじも、何かしんって、静かになっちゃった。どうしたのかな?ま、いっか。
今日はばあばは、お友達のお家に行くから、じいじと2人でお庭で遊びます。何して遊ぼうかな?僕はマシロに乗っかったまま、いろいろ考えます。
僕ね、だんだんマシロに長く乗れるようになって来たよ。うんと、3階からお庭までは1人で乗れるよ。ね、長く乗れるようになったでしょ。前は、廊下の端っこから端っこだったもんね。
「ユーキはマシロに乗るのが上手いのう。」
「えへへへ。…およよ。」
褒められて笑ったら、転がって落ちそうになっちゃった。エシェットが僕のお洋服掴んで、キャッチしてくれました。へへへ、失敗。
お洋服掴まれてぷらぷらしながら、お庭で1番大きな木の生えてる所へ。
「この木はな、じいじが生まれる前から、ここに生えてるんじゃよ。じいじのお父さんも、そのじいじも生まれてない、ずっと昔に植えられた、とっても古い木なんじゃ。皆んな、大事に育ててきたから、ここまで大きくなったんじゃ。ユーキも大事にしてくれるかのう?」
「このきは、とってもじいじでしゅね。ぼく、たいせちゅにしゅるでしゅよ。」
「じいじか、そうだな。確かにじいじじゃな。ははははは。」
今日はこのじいじの木の所で、何して遊ぼうかな。木を見てたエシェットとシルフィーが登ってみるって、2人でさっさと木に登っちゃった。それに続いて、ディルとリュカも。
そのうち、シルフィーがマシロのもふもふの毛に向かって、ジャンプして木から降りる、ディルもリュカもそれ真似して、ジャンプしてもふもふに降りるっていう、遊び始めちゃった。いいな、楽しそう。僕もやってみたい。
そうじいじに言ったら、あんなに高い所からはダメだって。僕はそれ聞いて、しょんぼりです。
そしたらじいじが、ううむって言って、1番下の太い枝から、エシェットに風の魔法で、ゆっくり降ろしてもらうなら良いよって、言ってくれました。やった!やっても良いって。ちゃんと良いって言われたよ。これなら大丈夫だね。
エシェットに抱っこしてもらって、1番下の枝に登ってもらいました。そして、
「マシロ、じいじ、いくでしゅよ!とう!でしゅう!!」
僕はジャンプしてマシロの所に。エシェットの風の魔法で、ふんわりマシロの背中に着地です。
「…?」
「どうしたんじゃユーキ?」
「むうう…。」
皆んなと何か違う。皆んなヒュンって感じで、楽しそうだったのに、僕はふんわり。僕もう少しヒュンが良かったなあ。でも、それだとじいじもダメって言うよね。そしたらもう遊べなくなっちゃうし、どうしよう。
僕がじいじにそう言ったら、それじゃあ、もう少しもうちょっとだけ、早く降りてもいいよって。それとね、エシェットが面白い事してくれるって。
僕はエシェットに抱っこしてもらって、もう1度木に登りました。そして、
「マシロ、じいじ、もういっかい、いくでしゅ!とう!でしゅう!!」
僕がジャンプしたら、あんまり速さは変わらなかったけど、
「ふお?ふおおおおお!!」
クルクル回って、マシロに着地しました。面白い!これなら早く降りなくても、周りがクルクル変わって見えて面白いです。キャッキャッて喜んでる僕見て、シルフィー達も僕もって言って、同じ事してます。
クルクル、ぽすん。クルクル、ぱしゅ。楽しくて何回もやりました。じいじもニコニコ笑って、自分も小さい子供なら、一緒に遊ぶのにって。今度、じいじも一緒に出来るお遊び考えよう。
「な、何をやってるんだ!!」
突然お父さんの声が聞こえました。後ろを見たら、お父さんがびっくりした顔して立ってました。僕は駆け寄って、お父さんの足に抱きつきます。そんな僕をお父さんが抱き上げてくれます。
「とうしゃん、おしごと、おわったでしゅか?」
「ああ、それにもう夕方だからな、呼びに来たんだが。それよりも今のは何だ?」
「ぴょん、クルクル、ぽん、でしゅよ。じいじがいいでしゅ、いいまちた。たのちいでしゅよ!」
「父さん、一体これは?」
お父さんとじいじ、休憩のお部屋行ってから、ずっとケンカしてたよ。お父さんは、何で危ない事させたんだとか、止めるのが大人だろとか言って。じいじは最初、子供はこれくらい元気な方がいいとか、エシェットもマシロも居るんだから大丈夫だとか言ってたけど、でもね最後に、
「楽しそうではないか、わしが、やりたいくらいじゃ!」
そう言ったら、お父さんがっくりしてたよ。それから、だから嫌だったんだって、何かぼそぼそ言ってたけど、お父さん達のケンカ、やっと終わりました。
ケンカが終わって、夜のご飯の時に、皆んなにぴょんクルクルぽんのお話したら、今度はばあばが、じいじの事怒ってたよ。
皆んなやれば良いのに。楽しいよ。




