598居なくなった黒服達
「マシロ、まだでしゅか?」
今まで聞こえていた、ビルダスとエチゾロスのお声が聞こえなくなって、それから上の方でブワンッ、ブワンッて聞こえていた変な音も聞こえなくなりましたえ。リュカがあいつら逃げちゃんじゃない?って。 確かめようとしたけど、マシロがまだお目々開けて良いって言ってないから見られません。
「マシロ! まだでしゅう?」
もう1回僕は聞いてみました。そうしたらやっとマシロがお返事してくれて、でもやっぱりまだお目々は開けちゃダメだって。何で?って思ってたら、もう少しだから待ってろって。その後に、シュシュッ!! バサササッ!! フシャアァァァッ!!って、またいろんな音が聞こえてきました。
『これって、マシロが魔法使ってるんじゃない?』
『風魔法とか、水魔法とか、土魔法とか。まだ黒服居るのかな?』
みんなが早くってマシロに言います。今度の音はすぐに止まりました。
『皆目を開けて良いぞ』
やっとお目々を開けて良いって。僕はお目々を開けてそれからパチパチ。ギュッと瞑ってたから、最初お目々がしょぼしょぼしてて、でもパチパチした後に擦ったら、ぱっちり周りが見えました。
あれ? やっぱり黒服が全員いません。ビリダスもスピードも、ブレイデルも居ないし、さっき来たエチゾロスも居なくて。他の黒服もみんな居ませんでした。リュカが言ってたよね、逃げちゃったんじゃないって。やっぱり逃げちゃったのかな?
「マシロ、くろふく、にげたでしゅか?」
『ああ、今のところはな』
今のところ? 僕は次にさっきボタッて音がした方を見てみました。そうしたらそこにはちょっとだけ穴が掘ってあって、でも他には何もなかったです。僕達が何か落ちてきた?って聞いたら、側にいたハロルドが何も落ちてないって言いました。でもあの穴は黒服が変な魔法を出そうとしたから、マシロがその魔法を消した跡って教えてくれたよ。どんな魔法だったのかな?
「ふぅ、あんな物見せられるかよ」
「ハロルド、なんていったでしゅ?」
「いや、消せて良かったって言ったんだ」
ハロルドとお話しをしていたら、急に僕達の周りの結界が消えて、中に入ってたモコモコがブワッ!!ってお外に出ました。そうしたらそれがハロルドにいっぱい付いちゃって、ハロルドが転んでたよ。
「うわ!? これってこんなに動きにくくなるのかよ」
『今は結界は良いだろう。それよりも奴等が言っていたように、今のうちにここから出る方法を考えなければ』
マシロとアンドレアスが結界を消して、これから移動するからモコモコを消せって。僕達は立ち上がって、モコモコの海からお外に出ます。そうしたらみんなモコモコだらけで。えと、前にキノコ頭したでしょう? 今度はモコモコ人間とモコモコ精霊、妖精で、あとはモコモコ魔獣になってました。モコモコ…。キミルは本当は最初からモコモコだけど。
ふへへ、面白い。僕達モコモコ。みんなも面白いって笑ってるよ。このまま歩いちゃダメかな? でもハロルドは動きにくいって、それにスピード達も転んだりしてたよね。お体とかのモコモコはとって、頭とかお顔、お尻のモコモコはそのままじゃダメかな?
僕が考えてたら、ハロルドがすぐに取れるのか?って。僕はモコモコが付いてない方のお手々で、足のモコモコを取ってみます。そうしたらすぐにポロって取れて、シュワワって消えました。スピード達の時にはすぐに取れなかったのに、精霊の石さんが取れるようにしてくれたのかな?
そうだ!! 精霊の石さんに、ありがとうしなくちゃ! えとモコモコお邪魔魔法ともやもやお邪魔魔法、僕ができるようにしてくれてありがとうって。
僕はモコモコを取る前に、精霊の石さんにありがとうをしました。みんなも一緒にありがとうします。
「せいれいのいししゃん、ありがとでしゅう!!」
『面白い魔法ありがとう!!』
『僕霧のこんな魔法、初めて見たよ! ありがとう!!』
そうしたら僕のお胸のところがポワッて光って。スッとお胸から精霊の石さんが出てきました。それから僕達の前でとっても楽しそうにふわふわして。その後に僕のお胸に戻ったよ。
『別に気にするなって感じじゃない?』
『な、そんな感じだったよな』
その後はモコモコをまた取って。あのね僕達はすぐに取れるのに、ハロルドはなかなか取れないの。取ろうとするとお手々に付いちゃったり、また別の所に付いちゃったり。それでおっとっとって、向こうにケンケンして転んでたよ。
「ユーキ、精霊の石に、ユーキ達みたいに取れやすくしてくれって言ってくれ!!」
あ~、今度は反対の方におっとっとって行っちゃいました。
「せいれいのいししゃん、ハロルド、とりたいでしゅ。ぽろぽろしてくだしゃい」
精霊の石さんにお願いしたら、すぐに取れるようにしてくれました。それからも僕達はモコモコを取って、お背中はマシロやアンドレアスにとってもらって。
『…それで行くのか?』
『主達は本気だ。まぁ良いだろう。これで少しは気持ちが落ち着けば』
「なんで俺まで…」
『私の石はまだユーキの中にいるのだろうか?』
「みんなしゅっぱちゅでしゅ!! ならぶでしゅよ!!」
『『『おー!!』』』
みんなで1列に並びます。今僕達の頭とほっぺた、それから顎とお尻にモコモコが付いてます。これからお邪魔にならないでしょう? ハロルドも一緒なんだよ。
『はぁ、取り敢えず出発しよう』
「しゅっぱちゅでしゅう!!」




