579お話しできるもん!
「ちゃんと、とってきたでしゅ!!」
『あのね、ぷにが凄かったんだよ。最初みんな光が見つけられなくて』
『でもぷにちゃんだけ、見つけたなのぉ!!』
「しょれで、しょれで、みんなでせいれいのいしのとこちゅいて」
『ふわふわ浮いてたんだよ』
『それで僕達は触れるんだけど取れなくて』
『待て待て、お前達。とりあえず皆で話すのを止めろ。そしてモリオン、取り敢えず先に精霊の石を出せ。誰も持っていないと言う事は、モリオンがしまって持って来たのだろう?』
みんなで精霊の石さんのお話ししようとしたら、マシロに止められちゃいました。精霊の石さんとお話し出来たことお話ししたかったのに。あっ、でも。霧の精霊お兄さんに精霊の石さんを渡したら、ゆっくりお話しすれば良いよね。それに精霊の石さんも、マシロやハロルド、アンドレアスとお話ししたいかも。うん、先に精霊の石さん渡しちゃおう!
『石を持って来たのは僕じゃないよ』
『じゃあ誰が持って来たんだ?』
『持って来たのはユーキ。石がユーキが良いって言ったんだ。それにユーキにしか石を動かせなかったし。今言ったじゃん、僕達じゃ石を動かせなかったって』
『主が持って来たのか。お前達が一斉に話すから聞き逃した。主、良く持って来てくれたな。石を渡してくれ』
「はいでしゅ! えと、せいれいのいししゃん! ちゅいたでしゅよ、でてきて!」
僕がそう言ったら、マシロもアンドレアス達も、とっても不思議な顔をしました。それでカバンに入れて来たんじゃないのかって言われて。でもお話ししてる時でした。お外に出てきたら僕のお体はもう光ってなかったんだけど、また中にいた時みたいに、お体が光り始めて。
マシロもハロルドもとっても慌てて、アンドレアスはちょっとだけお目々を大きく開いて。霧の精霊お兄さんは…、何か固まってました。みんな大丈夫だよ。今から精霊の石さんが出て来るだけ。
僕のお体の光が、だんだんと胸の所に集まってきます。それからすぐに僕のお体の中から精霊の石さんが出てきて、僕の周りをぐるぐるふわふわした後、ディル達の周りもふわふわ。それが終わったらマシロ達の方にふわふわ飛んでいって。
マシロ達は、今度はみんなビックリ。いつもすんってしてるアンドレアスも、いつもよりもビックリしてて。いつもより? 僕、ビックリのお顔初めて見たかもです。それから霧の精霊お兄さんが1番ビックリしてました。
精霊の石さんはみんなの周りをふわふわした後僕の所に戻ってきて、僕が両方のお手々を出したら、その上でふわふわ止まったよ。それから僕はマシロ達にはいって、精霊の石さんを見せました。ね、ちゃんと取ってきたでしょう。
「せいれいのいしさん、もってきまちた!! おからだではこんできちゃの」
ん? どうしたのみんな? マシロもハロルドも、アンドレアスも霧の精霊お兄さんも何も言いません。ビックリのお顔から、そのままみんな何にも考えていないお顔?で、固まってました。ディル達が近づいて行って、マシロのお毛々を引っ張ったり、おしっぽを引っ張ったり。
ハロルドの髪の毛を引っ張ったり、お顔をバシバシ!叩いたり。アンドレアスと霧の精霊お兄さんは、洋服を引っ張ったり。最初にお話ししたのはハロルドでした。
「いやいや、俺だけ激しいだろう。何で他は洋服を引っ張るだけなのに、俺はバシバシ叩かれてるんだよ。いやそうじゃなくて、体の中に入れて運んでくるって」
『ハロルド落ち着け』
「いやマシロ、お前だってその顔、驚いてるだろう!!」
『主、体の中に入れてきたとはどういう事だ?』
「えちょ、せいれいのいししゃんは、ぼくしかとれなくて、それでぼくがしゅきで、だからおからだにはいったでしゅ」
『…そうか』
ん? マシロのどうしたの? マシロは僕の頭をおしっぽでふさってした後、リュカ達にお話を聞きました。僕はその間に霧の精霊お兄さんの所に行って、何か困ってるお兄さんに、精霊の石さんを渡そうとしました。
「おてて、だちて」
『あ、ああ』
お兄さんがお手々を出したら精霊の石さんは、僕とお兄さんのお手々を行ったり来たり。それから僕のお体に入ったり出たり。その後は僕達の周りをふわふわ飛んでました。
少ししてマシロ達のお話が終わって、マシロはハァ~って。いつもより大きいハァ~でした。それからアンドレアスは一瞬だけニコってなって、でも後はいつものすんってお顔だったよ。ハロルドは…。ハロルドは大きな声で笑ってなかったけど、でもお腹を抑えてくくくって笑ってました。何で笑うの? 僕達精霊の石さんをちゃんと取ってきたのに。
「いや、石が話すって。そんな事はじめて聞いたぞ」
だって本当にお話ししたもん。それに他にもお話しする石あるよ。前に僕見たもん。えと前に黒服に森に連れて行かれて、それで初めてエシェットとお友達になって。それからお父さん達が迎えに来てくれて。
その時に遊びに行ったお家に石があったの。えと剣に石が付いてて、ジョンお兄ちゃんが石が生きてるって言ってました。それでその剣は銅像の人しか使えなかったって。きっとその石も銅像の騎士さんが好きだから、一緒にいるんだよね。それで多分僕達みたいにお話ししてたはず。
「おはなしできるでしゅ!」
『本当だよね。ねぇねぇ精霊の石、僕達とお話しするよね』
モリオンがそう言いました。




