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4初めてご飯

 何処からともなく、美味しそうな香りが漂って来ました。う~ん、いい匂い。お腹すいたよ、早く食べたいなあ。どんなご飯かな?


 ノアさんが、大きな鍋を運んできました。お鍋の周りに、お椀を並べていきます。騎士団の人達がみんな集まって、いよいよご飯です。


「今日は小さいユーキ君もいるし、温かいスープにしてみました。ユーキ君、さあどうぞ。」


 ノアさんが僕に、お椀を渡してくれようとしたんだけど、僕の手小さくて、お椀を落としそうになっちゃった。

 それを見た副団長さんが、代わりにお椀を持ってくれて、僕は小さい手でスプーンを握ると、あむあむと、何とかスープを、口に入れることが出来ました。

 温ったかいご飯が、こんなに美味しいなんて、僕びっくりだよ。


「おいちい!」


「だろ、ほら、こっちのお肉も美味しいぞ。」


「ありあと!」


 団長さんにもらったお肉を、一生懸命に噛もうとしたけど、なかなか噛めない。どうにか飲み込んだけど、もうそれだけで疲れて、いっぱいいっぱいだったよ。何これ。しかもこのお肉、僕の顔くらい大きんだ。それをみんな、簡単に食べちゃってる。


「ちかりぇた…。」


 せっかく美味しいのに、疲れちゃって、これ以上食べられそうにない、残念だなあ。

 僕の余ったお肉を、マシロが美味しそうに、ひと口で食べちゃいました。いいなあ、マシロ。僕も大きくなったら、もう少し食べられるかな?


「なかなかにうまいな、人の食べ物は。この味は食べたことがない。」


「このお肉は、さっきマシロが倒した、ビックエアーバードだ。」


「ほう、これがさっきの奴か。」


 このお肉、マシロが倒した魔獣だったよ。


「ビックエアーバードなんて、なかなか口にできませんもんね。大体こんな浅い森にいる事自体が稀な事ですし、私たちとしては、とてもラッキーでしたね。」


 団長さん達、喜んでくれてるし、オリバーさんが言った通り、ラッキーだったね。


「ユーキ、パンならどうだ。」


 団長さんがパンを、手渡してくれました。


「貴方は馬鹿ですか。ユーキ君はお肉でも、大変だったんですよ。それよりも硬いパンなんて、食べられるはずがないでしょう。少しは考えて下さい!」


「そんなに硬いかね、私は子供の時から食べていたが。」


「貴方と一緒にしないで下さい。大体あなたは…。」


 うん、何か、副団長さんが、団長さんを叱り始めました。

 僕があんまり、ご飯を食べられないせいかと思ってオロオロしてたら、ノアさんが話しかけてきました。


「うん、あれはね、いつもの事だから気にしなくていいよ。団長はいつも何か、副団長に怒られているからね。僕たちはいつも知らん顔してるんだ。」


 副団長さんに怒られる団長さん…。団長さん頑張れ!!僕は団長さん、応援するよ!

 でもね、あのパンは石だよ。ひと口もかじれなかった。でもそんなパンを、みんな平気で食べてる。やっぱり僕が小さいせい?大きくなったら、本当に食べられるようになるかな?


「無理して食べようとしなくて良いですからね。ゆっくり食べて下さい。」


 副団長さん、僕のお椀持ってくれてるのに、そんなの何でもないように、自分のご飯たべてる。団長さんも、副団長さんも、みんなすごい勢いでご飯食べてて、少しびっくりしちゃった。


 だって、スープだけでもおかわり3杯はしてるのに、その他にお肉もパンも、目の前にあったご飯が全部、無くなっちゃったんだよ。その間に、僕はスープ一杯だけ…、体小さいから仕方ないけど。


 ご飯を食べ終わると、焚き火の周りに座って、それぞれが自分のやりたい事をして過ごしました。

 リアムさんは剣のお手入れをして、ノアさんはご飯のお片付け、マシューさんは夜の偵察に出て行って、副団長さんは、団長さんが言ってた通り、たくさんの紙をチェックして、団長さんに確認してました。

 その間団長さんは、自分の剣の手入れをしてました…。


 ご飯を食べて、お腹いっぱいの僕は…。眠気と戦ってました。初めてたくさんの人達に囲まれて嬉しくて、もう少し起きていたかったんだ。

 それでも、やっぱり新しい世界で疲れていたのかな。コックリコックリしていると、団長さんが抱っこしてくれて、背中をぽんぽんと、リズム良く叩いてくれて。


 あったかい…。今日は楽しかったなあ。

 マシロと友達になれたし、団長さん達にも会えたし、肩車楽しかった!またしてくれるかな?ノアさんのご飯、とっても美味しかったし、明日はどんな事があるのかな。楽しみだなあ。


 神様こんな楽しい世界に送ってくれてありがとう、最高のプレゼントだよ。

 そんな事を考えているうちに、僕は団長さんの腕の中で寝ちゃいました。


      *********


「うん、うん。なかなか楽しんでくれてるようで良かった。」


「お前がちゃんと予定通りの場所に送っていれば、魔獣には襲われて無かったはずだぞ。」


 またルーカスの、お小言が始まりそう。ああ、ヤダヤダ。


「まあまあ良いじゃん。本人は楽しそうなんだし。結果オーライって事で。」


「はあー、全く、‥しかし。」


「うん。あの魔獣、突然沸いて出たよね。もともとあそこにはいない魔獣だよ。」


「やっぱり俺たちにも分からない所で、何かが起き始めてるのか…。そんな所に、あの子を送るなんて。」


 それは悪かったと思ってるよ。だから謝ったじゃん。みんなにも、あの後怒られたし。アレで終わりにしといてよ。


「あの子の魂は、汚れなき魂だよ。あのままじゃ光り輝く事は出来ない。あの子には幸せになってもらわなくちゃ。未来の僕たちだからね。そのためにも、今度こそちゃんと僕たちの加護で、守ってあげなくちゃ。」


「失敗するなよ。」


「分かってるよ。今度こそ失敗しないよ。今度こそ…。」


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