558まだまだ変な事がいっぱいの森
『奴等を見たのか!?』
「いや、私は見ていないのだが、お前達を奴が、霧の精霊が迎えに行く前に、チラッと話しを聞いてな。奴の精霊の石が、何者かに奪われようとしているらしい」
『精霊の石を?』
「ああ、突然襲ってきたそうだ。今は奴の結界と、さらに新しく急いで張った結界で、何とか守っているらしいのだが。それもいつまで持つかと。それとこの辺り一体も、奴等に何かされたらしい」
「アンドレアス、わるいひとたち、いるでしゅか!?」
『ここにアイツら居るの!?』
『またあの変な石使ってるの?』
『主、それに皆も、静かにしていろと言っただろう』
「そうだぞ、ユーキもみんなも、約束だろう?」
「お前達がいつも通りで良かった。まだ分からん、詳しい話しはこれからだからな」
もしかしたらここに、妖精の国をボロボロにして、妖精さん達や、妖精の王様の事を苦しめた、あの悪い黒服達がいるかもしれないの。僕達の事もいっぱいいじめた黒服達だよ。
まだアンドレアスは霧の精霊お兄さんから、お話しをちゃんと聞いていないけど、でもそうかもしれないんだって。
わわわ、大変!! 早くお家に帰って、エシェット達に来てもらわなくちゃ!! 僕はマシロのお首の所をパシパシ叩いちゃいます。リュカ達もモリオンに、もう力使えない? どうにかお家に帰って、エシェット達を呼んでこようよってお話ししてます。
『はぁ、だから静かにしろと言っているだろう』
マシロに怒られて、みんながお口を押さえました。それからモリオンがいつもみたいに、魔法を使おうとしたんだけど、でもやっぱりできませんでした。アンドレアスもやはりダメかって。
そういえばアンドレアスは僕のお家からここまで来たんだよね。ここはお家から近い森なのかな? だったらエシェット達と一緒に来てくれれば良かったのに。あっ!!
僕それで思い出しました。大事な事まだ聞いてない!! わわ、聞きたい事いっぱい! お口を押さえていたけど、僕はすぐにアンドレアスに聞いてみます。
「アンドレアス!!」
『だから主、静かに…』
「みんなおけが、してないでしゅか!? とうしゃんも、かあしゃんも、にいしゃんも、エシェットたちも、みんなでしゅ!!」
『そうだった!! アンドレアス、みんな無事?』
『くろにゃんとか、みんな途中で別れちゃったもんね』
「ああ、皆無事だぞ。怪我をしている者はいない」
良かったぁ、みんなお怪我してないって。お怪我してたらダメダメだもんね、すぐにお家に帰ってディルに治してもらわないといけないもん。
『そういえば、お前は街からそのままここへ来たのか? いまいち感覚が戻らなくて、この森が街に近い街なのか、それとも他の森なのか分からんのだ。』
マシロが聞いたらアンドレアスは、アンドレアスのお家の近くからこの森に来たって。
僕達がこの変な森に来ちゃってから、少しの間アンドレアスは、僕のお家に居ました。少しの間僕達を探してくれたの。その間に街の霧は全部消えたんだって。
その後アンドレアスは、自分のお家の霧も消えたかもって思って、すぐにお家に帰りました。
そうしたらアンドレアスのお家の霧は消えていたけど、ちょっとだけ離れた所にある森に、霧がいっぱい出ていたの。全部霧で見えないくらいいっぱいの霧だよ。
すぐに調べに行ったアンドレアス。そしたらね、そのいっぱいの霧の中に、僕達がいる気がしたんだって。
だからすぐにアンドレアスは、エシェット達を呼びにまたお家まで来てくれたの。それですぐにエシェット達も霧を調べて、何となく僕達がいるかもって、すぐに霧の中へ入ろうとしたんだけど。
でも森の入り口まで行ったら、見えない結界にぶつかって、森に入れませんでした。エシェット達が全員で攻撃しても、アンドレアスが攻撃しても、全部見えない結界に弾かれちゃって。
いっぱい攻撃したエシェット達。急に結界の中に、僕達だけの気配じゃなくて、他の人達の気配を感じて、その人達の気配はとっても嫌な気配でした。もしかしたら、その人達が結界を張ったのかもしれないって思ったエシェット達は、すぐに色々な所を攻撃して、結界を消そうとしたんだけど。でもやっぱりダメで。
そうしたら、いきなり結界の中からお声が聞こえました。霧の精霊お兄さんがエシェット達に話しかけてきたんだよ。結界を解くから中に入れって。でもこの結界は霧の精霊お兄さんが張った結界じゃないから、無理やりこじ開けるから、1人しか中へ入れられないって言われちゃったんだ。
急いで入る人を決めろって言われて、最初エシェットが入ろうとしました。でもエシェットが途中でとまって、アンドレアスに入れって言ったの。
エシェットはこの森に来たのが初めてでした。アンドレアスも来た事はなかったけど、でも森はアンドレアスのお家がある森と、とっても似ている森で。あのねよく分かんないんだけど、雰囲気とか森の力が似ているんだって。
だから慣れているアンドレアスが中に入った方が動きやすい、僕達を探しやすいんじゃないじゃって、それでアンドレアスが入る事になりました。
『すまん、力を保ってお前達を中へ入れるには、1人分しか力を使えんのだ』
そういった霧の精霊お兄さん。すぐに結界にヒビが入って、1人だけ通れる隙間が。急いでアンドレアスが中へ入ると、結界はすぐに元に戻っちゃいました。そのあとは霧の精霊お兄さんに、さっきの場所の近くまで連れて来てもらったんだ。
でも僕達が魔獣さんに襲われちゃったから、途中でアンドレアスを置いて、お兄さんだけ先にきてくれたんだよ。
「だから詳しい話しは、これからなんだ」
『そうか』
『おい、そろそろ着くぞ…。まずい!!』
霧の精霊お兄さんが大きなお声を出しました。




