549本物、偽物、どっちのハロルド?
「マシロ、ここどこでしゅか? しってるもり?」
『いや、我も知らない森だ。と、まずこちらに進むぞ。皆我から離れずついてくるのだぞ』
『大丈夫だよ! 僕達またマシロの毛の中に入って移動するから』
『顔だけ出すなのぉ!』
『そうそう、僕達は毛の中だから大丈夫』
良いなぁ、みんな。マシロのお毛々に入れて。僕はマシロにしゃがんでもらって、背中に乗せてもらいます。それでおしっぽで支えてもらって。マシロがすぐ進み始めます。
ここは何処かな? 僕達今ね、森の中にいます。お目々開けたら森だったよ。マシロも知らない森だって。カージナルの街から遠い森なのかな? 前みたいに知らない森に連れてこられちゃった? さっき知らないお声だったよね。それでそのお声が何か色々言ってて、でも何言ってるか分かんなかったです。
お父さん達もこの森に来たのかな? なら早く探さなくちゃ。マシロなら匂いですぐに見つけられるよね。それかモリオンに魔法をしてもらって、早くお家に帰って。それでもしやっぱりお父さん達がいなかったら、ここへ戻ってきて探すの。どうかな?
僕はマシロに聞いてみました。そうしたらモリオンで移動するのは、やめた方が良いって。お家でモリオン達が移動しようとした時、変な場所に出ちゃったでしょう? だから今、何処にいるかは分からないけど移動して、またまた変な知らない場所に出て、その場所がもっとダメダメの場所だったら。だから今はダメだって。
それからお父さん達がここに居るか、マシロ分かりませんでした。お父さん達の匂い
がしなくて、気配もしないみたいです。もしかしたらここに来たのは僕達だけで、お父さんはお家にいるかもしれないの。
でも霧に包まれてた時、ハロルドの声はしたから、ハロルドは何処かにいるかもしれないって。
そうだ! ハロルド!! ハロルド叫んでたよね。なんか苦しそうな叫び声で。大丈夫かな? 何処かにいるのかな?
『少し様子を見てみよう。もしかしたら我ら以外にここへ来た者がいるかもしれない』
マシロが歩き始めました。森の中はちょっと暗くて、それから霧がふわふわ。木や花、草はあるけど、全然魔獣さんがいません。マシロに隠れてる?って聞いたら、魔獣さんも居るか分からないって。この森には誰も居ないのかな?
少し歩いた時でした。マシロが急に止まってお鼻をクンクン。どうしたのって聞いたら、森に来て初めて匂いがしたって。それからその匂いはハロルドの匂いかもしれないって言いました。
急いで匂いのした方に行きます。でも到着する前に止まったマシロ。それから僕を背中から下ろして、みんなで草むらに隠れました。
みんなで草むらの間から向こうを見てみます。そうしたら向こうにハロルドが居て、キョロキョロ何かを探していました。僕が急いで向こうに行こうとしたら、マシロに止められちゃったよ。
『さて、あれは本物のハロルドか』
『え~、あれ、偽物かもしれないの?』
『でもハロルドに見えるよ?』
『だが、このまま近づくのはな。何か確認できる物があれば良いのだが』
偽物ハロルド? 偽物さんが笑った時の変な笑い方してくれたら、すぐに分かるかも。でも笑ってもらうのはお外に出ないとダメで。う~ん。
みんなで考えます。マシロはさっさと攻撃して、それで本物かどうか考えるって。攻撃? あっ!!
「とちゅげきしゅるでしゅ!!」
『突撃?』
「えと、とちゅげきして、それから…」
ハロルドは最初、一生懸命に逃げて、それから最後はぐったりかニコニコで。それ見たら偽物ハロルドか分かるかも。変なニコニコだったら偽物。それかずっと元気だったり、攻撃してきたら偽物。だってハロルド達は僕達に絶対攻撃してこないもん。
『うん! それが良いかも』
『みんなで突撃!』
『ダメだ! 危ないだろう。そんな事はさせられん』
『でもマシロが攻撃したら、一瞬で倒しちゃうんじゃない? それじゃあ偽物かどうか分からないじゃん。それにそれで本物のハロルドだったら大変だよ』
『そうかもしれんが、主にそんな危険なまねはさせられん!』
マシロとみんなのお話し合いがなかなか終わりません。僕はその間、ハロルドを見てました。ん? あのハロルド。腕の所、お洋服が切れて、何か赤い物がお洋服についてます。もしかしてお怪我してるのかな? 大変、本物ハロルドがお怪我してるなら、ディルに早く治してもらわなくちゃ!
なかなか終わらないお話し合いの中に、僕はジャンプして入って、お話し合い止めました。
「たいへんでしゅ! ハロルド、おけがちてるかもかもでしゅ!!」
『本当か!?』
みんながまた草の中から向こうを見て、ハロルドを確認。マシロも確認して確かに怪我してるなって。ほら、早く治してあげなくちゃ!
『みんな突撃準備だよ!!』
『リュカ! 我はまだ良いとは言っていないぞ!』
『そんな事言って。さっきも話したけどさ、マシロが攻撃して、もっと怪我が酷くなったらどうするの。僕達の方が良いよ』
『いや、お前達の攻撃よりも、我が手加減した方が…』
『みんな並んで!!』
「じゅんびしゅるでしゅ!!」
みんな並んで、突撃の準備。
『もう止められないか。仕方ない、我がしっかり見極めてやる』
「みんないいでしゅか?」
『うん、良いよ!』
『こっちも!』
『ぷゆゆゆゆん!!』
『いくでしゅよ! とちゅできぃ~!!』




