538追いかけてくる霧
今日はこれからアンドレアスが来るんだよ。だからアメリアがお部屋の中を綺麗にお掃除中です。いつも綺麗だけどもっと綺麗にだって。この前アンドレアスが急に来た時も、今お掃除しているお客さんのお部屋でお話ししたけど。その時にアメリアがお部屋を確認したら、窓の所、少しだけ埃がついていたんだって。
アンドレスが帰ってからアメリア凄かったんだぁ。他のメイドさん達と一緒に、お部屋を大掃除。他のお部屋も大掃除。お家の中全部を大掃除しました。だからお家の中はピカピカ。
でもディルやホプリンやシュプちゃん達は、あんまり綺麗すぎて嫌だって。僕のお部屋とお遊びのお部屋で、おもちゃを散らかしちゃって。夜にアメリアと凄いケンカしちゃったんだ。お掃除も凄かったけど、ケンカも凄かったです。
「さぁ、お掃除は終わりです、私は次の用意をしてきますね」
アメリアがお部屋から出ていきます。アンドレアスいつ来るかな? お父さんが昨日、アンドレアスにもらった三角の石を使って。それから少ししてお父さんの持ってる三角の石が光りました。それでまたまた少ししてアンドレアスが来たんだ。でもちょっと忙しかったみたい。今日また来るって言って、すぐに帰っちゃいました。
帰る時、石が1回光ったらすぐに行く。2回光ったら少ししたら行く。3回光ったら次の日に行く。長くずっと光ったらすぐには来られないっていうサインだって、言って帰って行きました。
お昼まで待ってもアンドレアスは来なくて、その後もなかなかこないアンドレアス。僕達お昼寝の時間になっちゃいました。でもね、お昼寝が終わってもアンドレアスは来てなかったんだ。
ずっと待って、やっと来たアンドレアス、夜のご飯が終わってからでした。
「何かあったのか?」
「行方不明になっていた者が見つかったのだ」
「本当か。良かったじゃないか」
「ああ、だがまだ1人だからな。その者に話しを聞いていて遅くなった」
『記憶は』
「霧の中を歩いていたことだけは覚えていたが、その他の事は何も覚えていなかった。気づいたら畑の中に立っていたと」
お父さん達のお話が始まって、僕達はお部屋を出ました。これからアンドレアスにお茶を運ぶんだよ。お料理を作るお部屋に行って、この前みたいにアメリと一緒にお茶とお菓子を乗せた台を押して。それで途中まで来た時、僕はちょっとだけ窓の方を見ました。
もう夜だからあんまり良くお外が見えなくて、窓に僕やディル達が映ってます。僕が手を振ると、窓の僕が手を振って。ホプリンがおしっぽを振ると、窓のホプリンがしっぽを振って。面白い。
「ユーキ様、早く行かなくては。皆様お待ちですよ」
わわ、そうだ! お茶運んでる途中だよ。早く運ばないとお茶がぬるくなっちゃう。急いで前を向きます。でも、ちょっと変な感じがして、僕はもう1度だけ窓を見てみました。さっきみたいに僕達が窓に映っています。でもさっきと違うの。僕達がゆらゆら揺れてて、それからもやもやってなったんだ。
「マシロ、ゆらゆらでしゅう」
『!? 皆離れろ!! 霧だ!!』
マシロが僕のお洋服を咥えて窓から離れます。みんなも僕にくっ付いたり、マシロにくっ付いたり乗ったりして一緒に離れて。アメリアは台を横に寄せて離れました。
マシロが走り始めて、走りながら大きなお声で、アンドレアスとお話しをしているエシェット達を呼んだよ。
「ふわ、マシロ!? もやもやきり、ろうかもやもやでしゅ!」
マシロが横に曲がった時、後ろが見えました。そうしたら白いもやもやが廊下の中をもやもやしてるのが見えたの。それから僕達の方に来てたんだよ。
『どうした!!』
すぐにエシェット達が来てくれて、マシロが霧の事を言ったら、みんなが勢いよく廊下を曲がって行きました。僕達はそのままお部屋に行って。でもすぐにまた移動しろってルトブルが言いに来ました。なんかどんどんこのお部屋の方に、霧が来ちゃってるみたいです。廊下は危ないからモリオンの魔法で、僕のお部屋まで移動しました。
そうしたら今度はアンソニーお兄ちゃんが僕のお部屋に来て、また移動だって。今度は僕のお部屋の方に霧が来ちゃったんだ。またまた移動の僕達。今度はお父さんとお母さんのお部屋に行きました。
でもその後も、何回もお部屋を移動したんだよ。どのお部屋に行っても、僕達が行ったお部屋の方に来ちゃうんだ。
それでね霧が消えたのは、僕達が寝る時間よりもずっと後でした。
『どうだった?』
戻って来たエシェットにマシロが聞きます。
『はぁ、まだ調べている最中だ。だが今の様子からいって、厄介な物だということだけは分かったな』
『結界を張りっぱなしの方が良いか?』
『結界が効くかどうか。それと…』
マシロ達がお話しを始めます。僕もディル達とお話し。それでいつの間にか寝ちゃってた僕達。起きたらアンドレスは帰っちゃってました。もう霧のせいでアンドレアスと全然お話ができなかったし、バイバイもできなかったよ。
くそっ、途中で力が。もう少しだったのに。仕方ないまた力を溜めて行くしかない。が、それにはそれでまた力が必要のなる。別の者を連れて来なければ。早く、早くしなければ。また奴らがやって来る。




