489アース達のお願い(オリビア視点)
「それじゃあ、ちょっと行って来るわね」
ご飯を食べた後、また少しだけ街で遊んで、お宿に戻ってきた僕達。そしたら帰って来たばっかりなのに、お母さんがまたお出かけするって。お母さん、帰って来る前もお買い物してたんだよ。それなのにもしかして買う物忘れちゃった?
お母さんがまた行くなら僕も行きたいけど、でもお母さんのお買い物長いし。
そう思って、お母さんにお買い物すぐに終わるって聞いたら、お母さんお買い物じゃないって。これから誰かに会いに行くみたいです。
「だれにあうの?」
「お仕事に行くのよ。ちょっと頼まれたのよ。でもすぐに終わる仕事だから、すぐに帰ってくるわ」
お母さん、これからお仕事なの? 本当にすぐに終わる? だってもうすぐおやつの時間で、それが終わったらすぐに夕方。大変なお仕事だったら、お宿のおじさんの美味しいキノコのお料理食べる時間に、帰って来れないかもしれません。
僕心配でお母さんにそう言いました。そしたら夕方までには帰って来れる、とっても楽ちんなお仕事なんだって。だから心配しないで待っててって、お宿から出て行っちゃいました。
本当? ちゃんと帰って来てね。じゃないとエシェットに食べられちゃうかも。そしたら僕がお母さんのご飯、守って待ってるからね。
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「待たせたわね」
「俺達もさっき来たところだ」
私の前には今、アースとストーン、それから今回ユーキちゃんと仲良くなった、モグラの魔獣が。勿論人の姿に変身しているし、モグラは彼らの契約魔獣だと思われているでしょうから、彼らが街に居ても、何も違和感がないわ。
そんな2人と1匹を連れて、私はある場所に。この街には小さいけれど、広場があって、そこには机も椅子も用意してあるから、これからの事を考えて、その広場に向ったの。
「それでどんな風にしたいのかしら」
私は持って来たカバンから、数種類の包装紙と、やっぱり数種類のリボンを机の上に広げて、彼らにそれを見せたわ。彼らは真剣なまなざしでそれを見て、決まった人からそれを取って。すぐにそれぞれ気に入ったものを取って、必要のない選ばなかった物は、カバンにしまったわ。
「それじゃあ、持って来た物を見せてくれる?」
「モス達からも預かって来たんだ。すまないなこんな事頼んで。しかし俺達はやった事がなくてな」
「気にしないで、あなた達とユーキちゃんに喜んでもらうためだもの」
最初にアースが、モス達から預かって来た物を机に出しました。私はそれを見て、それにあった包装紙とリボンをカバンから出して、彼らの前でお手本を見せることに。そして私が作ったものを見せると。
「凄い綺麗だな。こんな事が出来るのか」
「俺達はやると言っても、葉っぱに包むくらいだからな」
『リボン可愛いね!』
「こいつも可愛いと言っているぞ」
「そう? 喜んでもらって良かったわ。さぁ、教えてあげるから。簡単だからあなた達でも大丈夫よ」
そう、私が仕事と言って出て来たのは、彼らに会うため。昨日冒険から帰る前に、ユーキちゃんに知られないように、私の所に来たアース。今日、この前みたいにユーキちゃんに知られないように街に来て、一緒に食事がしたいって。私はそれをすぐに了承したのだけれど。だって、ユーキちゃんはまた、とっても喜ぶでしょうし。
でも彼には私に頼みたい事が他にもあるって。アースはユーキちゃんにプレゼントを渡したいって言ってきたの。時々街に来るアース達。私達人間が物を渡すときに、プレゼント用に包んでいたのが気になって、それを自分にもできないか聞いて来たのよ。
だから私は今日、夕飯前に彼に会って、プレゼントを包む手伝いをしてあげる予定だったわ。
そうしたら昨日の夜中、アースが宿まで来て、ストーン達も包みたいって。モグラまで参加するって言ってきたわ。だからみんなにも包み方を教える約束をして、今ここへ来たのよ。
本当はアースだけだったら、ご飯前に宿で隠れて教えるつもりだったのだけれど、人数が増えてしまったから、ゆっくり教えられるように、広場を選んだわ。
「いい? まずはこうして」
最初にユーキちゃんへ渡すプレゼントを包むことから教えて。彼らも初めてのことだから、包装紙が破れても良いように、替えはたくさん持ってきたわ。ユーキちゃんがプレゼントを用意するときと同じ感じかしら。
私が考えていた通り、何枚も包装紙を使う彼ら。でも初めてにしては、かなり出来ている方だと思ったわ。
それで、何とか自分達の納得する物が出来た彼らは、首を回したり、肩を叩いたり。モグラのその姿を見て思わず、ふー疲れたと、ユーキちゃんが私達のまねをしている姿を思い出してしまったわ。あのまねをするユーキちゃん、とっても可愛いのよね。
包むのが終わったら、簡単なリボン結びを教えて、彼らがリボンを作っているうちに、私はリボンをもっと可愛く見せるために、ユーキちゃんが好きなふわふわのリボンを個数分作って。
それを彼らが作ったリボンと組み合わせて、包に付けて。これで可愛いいプレゼントの出来上がり。
「俺達がこれを作ったのか」
「オリビア、ありがとう」
『ありがとう!! ユーキ喜んでくれるかなぁ』
「こいつもありがとうと言っているぞ」
彼らの嬉しそうな顔がみれてよかったわ。さぁ、私はそろそろ帰らないと。
「時間を間違わないでね。私はこれで帰るから」
「ああ、必ず時間通りに。今日は本当にありがとう」
「良いのよ。気にしないで」
私は宿に帰りながら、これからのユーキちゃんのことを考えるわ。きっと彼らが来てくれて、とっても喜ぶでしょうね、そしてプレゼントを貰ってまた喜んで。ユーキちゃんの2回目の冒険が、楽しいまま終われそうで良かったわ。




