481初めての指名依頼
ディル達が僕の周りで、いつもと違うって言います。お父さんはそのまま依頼書を読んでいって。
「5種類のキノコを集めて来て下さい。数は何個でも良いです。見つけた分だけ採って来てください。キノコの種類は…」
5種類のキノコを採って来る依頼。名前はちょっと難しくて、今すぐには覚えられなそう。なんかね長いお名前なんだ。しっかり絵を見て探さなくちゃ。
「採って来たら、宿に持って来てください。店主ジーニーが確認のハンコを依頼書に押します。それから依頼書をギルドに提出お願いします」
お父さんが依頼書読み終わりました。
「いい、ユーキちゃん。みんなも、今の依頼書には、何時もと違う事が書いてありました。何か分かるかしら」
お母さんに聞かれて、みんなで違うところを言っていきます。先ず最初のところでしょう、次は採って来た物はギルドに持って行かないこと、その次がおじさんが依頼書にハンコを押すこと。ハンコを貰ってからギルドに依頼書を持って行くこと。
「正解よ。みんなちゃんと分かって偉いわ。これはね、特別な依頼書なのよ」
えっと、おじさんが僕達にもって来た依頼書は、いつもの依頼書と違って特別なものなんだって。いつもはギルドのお兄さんやお姉さんが、街の人達からお話聞いて依頼書を作ります。それでお兄さん達が作った依頼書は、僕達や他の子達、誰でも依頼をすることができるの。でもおじさんの依頼書は僕達しか出来ない依頼書なんだって。
おじさんがギルドに行って、特別な依頼書を貰います。それにおじさんが、依頼を頼みたい冒険者さんのお名前を書いて、それから依頼も書いて、お兄さん達に確認してもらいます。
それでお兄さん達が、おじさんが依頼を頼みたい冒険者さんが、ちゃんとその依頼をできるか出来るか確認。お兄さん達が大丈夫って確認したらハンコを押して、おじさんは頼みたい冒険者さんに依頼書を渡せます。おじさんが渡せないときは、ギルドのお兄さん達が代わりに渡してくれるんだよ。
そういう依頼を指名依頼っていうって教えてもらいました。僕の名前が依頼書に書いてあったでしょう、それからディル達のことも。この依頼は、依頼書に名前が書いてある僕達しか出来ません。そういうのを指名って言うの。他の子ができない、特別な依頼書なんだ。
「ふおお! しめい! ぼくだけ!」
『ユーキ凄いね、特別な依頼できるなんて!』
『ユーキ凄いなのぉ! ピュイちゃん達も凄いなのぉ!』
初めての指名依頼。最後の依頼はおじさんの指名依頼をすることになりました。お母さんが採ったキノコを入れる袋を買いに行かないとねって。僕はお椅子から下りてみんなでおじさんの前に並びます。
「ぼく、キノコいっぱいがんばるでしゅ!」
『僕も!』
「ボクだって!」
そう言って、急いでお部屋に戻ります。だってこれからギルドに行って、それからキノコを入れる袋を買いに行って。袋を選ぶの時間かかるかもしれないから、早く行かなくちゃ。お出かけの準備するために、急いでお部屋に戻ったの。
「あ~あ。行っちゃった。僕が行って来るよ」
「俺も」
「頼んだぞ。それでキノコはどのくらいあれば足りそうですか」
「前回、夕飯にお出ししたとき、かなり好評で。できればあるだけ、最低でも大きめの袋1袋は必要かと」
「分かりました。出来るだけ多く採って来ます」
「いっぱい生えているキノコなので、坊ちゃん方でも、楽しくきのこ狩りができると思いますので、よろしくお願いします」
お部屋に戻った僕達。昨日の依頼書と、取って来た物を確認して、カバンに入れます。
「なぁなぁ。明日はこの依頼だけにするんだろ?」
ディルが聞いてきました。うん、だってキノコ5種類探すの、きっと大変だと思うんだ。えっといつもは、石を2種類探したり、お花を探したり。探す物は5つくらい。ね、探すキノコとおんなじ数でしょう。いつももちょっと大変だもんね。
「どのくらい見つかるかなぁ。袋買いに行くって言ってたけど、たくさん見つかったらマシロに持ってもらおう」
リュカがそう言って、僕達マシロの方を見ます。マシロはいつも大きいいカバンもってくれてて、でも明日はもっと大きな袋がいるかも。くろにゃん達に闇にしまってもらっても良いけど、せっかくの冒険。採ったキノコ見ながら帰ってきたいし。
ルルちゃん達がマシロの方に飛んで行って、袋が1つ2つ、これくらい大きな袋?って、マシロの背中の所、丸く飛んでみます。そしたらアンソニーお兄ちゃん達が、
「ちょっと、ちょっと、どれだけ採って来るつもりなの。袋の事はきっと、買い物に行ったときに母さんが教えてくれるから」
って。でもジョシュアお兄ちゃんは
「それくらい採って来ても良いと思うぞ」
って言いました。
「ジョシュア、またそんな事言って。変な事言ったり教えたりしたら、また母さんに怒られるよ」
ほら、ジョシュアお兄ちゃんも、大きい方が良いって。
お部屋の中でワイワイお話してたら、お父さんたちがお部屋に戻って来ました。それで袋のお話したら、お母さんにジョシュアお兄ちゃん怒られてたよ。それにお父さんがそんなに大きな袋いらないって。
「買い物するときに、お母さんが教えてあげるから、明日はそれにキノコを入れましょうね」
「ぼく、たくさんがいいでしゅ」
「大丈夫よ。たくさんキノコを入れてこれるちょうど良い袋を選ぶから。さぁ、先ずはギルドに行きましょう」
僕はスキップしながらギルドに行きました。




