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3騎士団

「私はこの森から少し行ったところにある、カージナルという街で騎士団長をしているウイリアムだ。あと、後ろにいる4人は、順番に私の方から、オリバー、リアム、ノア、マシューだ。オリバーは副団長で、いつも私より偉そうにしている。書類作業は私よりも確実に上だ。」


 それ、そんなに自信持って言っていいのかな?


「当たり前です。あなたに書類仕事など、任せられません!」


 副団長さんも自信たっぷりだ。何だろう、団長さん、もう少し書類のお仕事頑張ろう。団長さんなんだもん。ね。


「君の名前は?」


「えっと、ぼくのなまえは、勇輝でしゅ。」


「ユーキか。ユーキは何でこの場所に居るか分かるか?」


 団長さんは、ゆっくり質問してくれます。でも、なんでこの場所に居るかは、僕も分かんない。だって、この場所は、神様がプレゼントしてくれた場所だし。神様のことはやっぱり知らない人って言っとこう。


「うーんとねえ、しらないひとに、ここまでおくってもりゃったの。マシロもぼくに、ぷりぇじぇんと、してくれたでしゅ。」


「知らない人?フェンリルをプレゼント?何か他に分かることあるか?」


「えっと、しあわしぇになりなしゃい、いってくりぇまちた!」


 だよね。そう言ってくれたよね。最後に間違えたって聞こえたけど、ちゃんとマシロの居る所に送ってくれたよ。


「…そうか。ちょっと待っててくれるか?」


「はいでしゅ!」


 団長さんは、一度ぼくから離れると、他の人たちと何か話し始めました。僕はその間、マシロのシッポのもふもふをもふもふして待ってたよ。戻ってきた団長さんに、今度はマシロのこと聞かれました。


「もう一つ聞きたいんだが、そのフェンリルは、君の契約魔獣なのか?」


「けいやく、まじゅう?」


 何のことだろう、マシロは僕のお友達だけど、その事かな?


「マシロはぼくの、おともだちでしゅよ。」


「友達…。」


 僕がそう言ったら、マシロが話に入って来ました。


「主はまだ、契約魔獣のことは知らん。我が側にいたいために、名前をつけて貰った。」


 マシロは契約魔獣のこと知ってるみたい。じゃあこの事は、マシロがお話した方が良いよね。マシロにおまかせです。


「マシロと呼んでも。」


「許す。」


「確かに、契約は結んでいるんだな?こちらはユーキを、保護しようと思っているんだが、保護していいんだよな?」


「ああ、頼む。我だけでは、限界があるのでな。」


 保護ってなに?って聞いたら、これから僕を、街に一緒に連れて行ってくれるんだって。良かった。じゃあ、街へ行ったら、マシロが言ったみたいに、家族になれるのかな。


「そうか。そうなると、魔獣には契約の印が必要なんだが、何でもいいんだが、首輪とか、腕輪とか、何か印になるような物を、付けてもらいたい。」


「ふむ…。」


「ぼく、なんにももってないでしゅ。マシロ、いっしょらめ?」


 話を聞いていた僕は、マシロと離れなくちゃダメなのかなって思って、涙が出そうになっちゃった。そんな僕をみて、団長さんが慌ててます。


「いや、大丈夫だ、確か野営地に置いてある道具箱に、首輪が入っていたような…。まあ、腕になら付けられるだろう。」


 僕はマシロのしっぽにしがみつきました。せっかく友達になれたのに、離ればなれなんて絶対ダメ。僕の大切な友達だもんね。

 その時、ぐ~と僕のお腹が鳴りました。そう言えば、何も食べてない…、お腹減ったなあ。


「クックックッ、随分元気なお腹だな。悪い悪い、お腹減ってるよな。じゃあ、とりあえず俺たちの野営地まで移動しよう。」


 そう言うと団長さんは、ヒョイと僕を抱きあげると、さっさと歩き始めました。


「わああああ、たか~い!」


 今まで僕、誰かに抱っこされたこと、なかったと思うんだ。だからちょっとドキドキです。楽しいなあ、嬉しいなあ、僕がキャッキャって、喜んでたら、今度は団長さん、肩車してくれました。


「ふへへ、たのしい~!」


「そうか。良かったな。」


 ハハハと笑って、団長さんはスタスタ森の中を歩いて行きます。

 同じような景色が続くのに、よく迷わないね。僕きっと迷子になっちゃう。何て思いながらキョロキョロしてたら、突然木がなくなって、テントが3つ置いてある場所に着きました。


「ここが、俺たちの野営地だ。ちょうど夕飯作るとこだったんだ。少しここで待っててくれ。」


 そう言うと団長さんは、僕を丸太の上に座らせて、自分はテントの中に入って行って、その他の団員さんも、自分たちの仕事を始めました。

 色々なものが初めて見るもので、ただ座っているだけなのに、とっても楽しいです。

 マシロは僕の後ろに伏せして、僕が丸太から転がらないように、しっぽで支えてくれてます。少しして団長さんが、手に何かを持って、こっちに近付いて来ました。


「あったあった、これだ。魔獣用の首輪。やっぱりマシロには小さいな。腕でスレスレか…。取り敢えず付けてみてくれ…っていうか、俺がつけるか、ユーキじゃあ無理だな。そんな小さい手じゃな。」


「はいでしゅ!おねがいしましゅ。マシロいいでしゅか?」


「腕だな。よし付けろ。」


 団長さんが、マシロの腕に首輪…、じゃなくて、腕輪を付けてくれました。サイズも何とか大丈夫みたい。


「大丈夫そうだな。よし、ユーキ、これで街でもマシロと一緒に居られるぞ。」


「ありあと、ごじゃます。マシロ、いっしょ、よかったねえ。」


「ああ、これで一緒に居られるな。」


 マシロのしっぽが、ゆらゆら揺れてて、これは嬉しいからなんだって教えてくれました。僕も嬉しいよマシロ。僕もにっこりです。


「くそ、ほんと可愛いな。」


 団長が、ボソッと何か言いました。


「だんちょうしゃん、なんでしゅか?」


「いや、何でもない。さあ、あと少しでご飯だぞ。ユーキじゃどのくらい食べられるか分からないが、楽しみにしていろ。ノアのご飯はなかなか美味しいんだ。」


 団長さんはその後、もう少しやる事があるからって、テントに戻って行っちゃいました。僕はマシロをもふもふしながら、まだかなぁ、まだかなぁって、ご飯が出来るのワクワクしながら待っていました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 数ページ読んだだけで既に泣きそうになってます。ユーキには本当に幸せになって欲しい。
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