476キリッとお顔のフィオレート?
フィオレートがお窓から入ってきて、ずっとブツブツ言ってて、お昼ご飯までもう少し。僕達がお話終わって、あとちょっとでアース達帰っちゃうから、遊ぼうと思ったのに、急にフィオレートがズササッて、僕達の間に入って来ました。
「力が強いとはいえ、まさか変身まで出来るとは。この前話せなかった話を聞かせて…!!」
フィオレートがお話し始めた瞬間、お母さんがフィオレートのことをバシッて叩きました。
「お兄様、ユーキちゃん達が遊ぼうとしているのに、邪魔をしないでください! お兄様が話を始めれば、絶対に止まらなくなるのですから!」
そのままお母さんはフィオレートを引っ張りながら、お部屋の端っこの方に。僕達はそのままアシェルがお昼ご飯って呼びに来てくれるまで、アース達と遊びました。その間隅っこの方で、フィオレートずっと怒られてたよ。
アース達にバイバイするから、みんなで玄関に。その時少しだけフィオレートがアース達を呼んで、お話始めたんだ。フィオレート、またお母さんに怒られちゃうよ? でも…。
フィオレートちょっと怖いお顔してました。怖いお顔して、キリッとしたお顔もしてて。それでね、お話始めてすぐ、アース達もキリッとしたお顔になったんだ。どうしたのかな? 何のお話してるんだろう?
お母さんがフィオレートのお話は止まらないって言ってたから、もしかしててこれからずっとお話?って思ってたら、すぐにお話止めたフィオレート。最後にアース達が頷いて、僕達の方に戻って来ました。その時はニコニコのアース達に戻ってたよ。
「じゃあなユーキ。今度の冒険の時には、ちゃんと会えるからな」
「グリフォンに戦い方習うんだって? じゃあオレ達も教えてやろう。楽しみにしていろよ」
「うん!!」
アース達がバイバイして街の中を歩いて行きます。僕達もブンブンお手を振って。アース達が見えなくなったらお昼ご飯。食べ終わって少しお休みしたら、みんなで昨日の依頼書のお花と石を持ってギルドに行きました。
明日はまた冒険。今度はアース達に森で会えるし、モス達にも会える。それから攻撃の仕方も教えてもらって、楽しみがいっぱい! 早く明日にならないかなぁ。
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「それでお兄様、アース達が帰るとき、何をお話されていたのですか?」
アース達が帰り、その後はギルドに行き、宿に戻って来ると。ディルに治してもらったとはいえ、昨日の疲れもあるだろうからと、ユーキはその後は外に出さず、部屋でゆっくりさせた。そして夜、何時もよりも早くベッドに入らせ、私とオリビアは、ユーキ達を起こさないように、アシェル達にユーキ達を任せ、フィオレートお義兄さんの部屋へと移動した。昼、アース達と別れる前、アース達と話していたあの時の様子。それのことについて聞くためだ。
椅子に座るとすぐに話始めるオリビア。
「お兄様があんなに真剣な顔をなさるなんて、いつ以来かしら? もしかして、今回仕事がひと段落着いたから遊びに来たと言ったけれど、実は今も何かしているんじゃ?」
「ふふ。さすが私の妹ですね。ああ、でもひと段落は付いているんですよ。前回の仕事に関しては」
「でも、その休暇中に調べなければいけない、何かがあるのでしょう?」
「そうですね…」
お義兄さんは、オリビアを見つめながらニコニコしていたが、目を閉じ次に目を開けたときには、アース達と話していた時のように真剣な表情に変わり。
「獣人の国で近々、内乱が起きるかもしれません」
「!!」
「内乱ですって!?」
それは思ってもいない事だった。獣人の国で内乱? あの国で戦争などの争いがあったのはいつだ? 他の国では昔も今も、大きな物から小さなものまで、内乱は時々起きている。私達の所はここ何十年とそういったものはないが。だが獣人の国は…。
この世界の国の中に、ガーディロー国という国がある。ガーディロー国は獣人だけが住んでいる国だ。代々同じ一族の獣人が国を治めていて、私が知る限り内乱が起こったのは、もう何百年も前のこと。国同士の戦争はあったものの、それ以外は平和な国として存在している。
勿論国交として、人との交流はあるが、もし彼らの国に滞在するときは、王族の許可を貰い、国の中にそういった、交流のための人々が暮らす街を用意してあるので、人はその街に滞在することに。
ただ、普通に交流する分には、何も支障はなく、獣人達も親しみやすい者達が多く、今まで問題なく、人と交流してきた。もともと彼らは争いを好まないのだ。それが内乱だなんて。
「お兄様、それは本当なのですか?」
「私も確信があるわけではないよ。ただ、不穏な空気が流れていることは確かです」
「今の国王は、今までの国王の中で1番民に愛されている国王だと聞く。そんな国王が納めている国が内乱だなんて。もしそれが本当なら、周りの国にも影響が出る」
「ただ、これは私がおかしいと思っているだけで、実は私の勘違いと言う事もある」
「お兄様が勘違いをされたことがありましたか?」
「ふむ、1度もなかったはずですね」
「お兄様…」
オリビアがため息をつく。
「どちらにしても、すぐに何かあるというわけではないよ。ユーキがこの冒険を思いっきり楽しむことには、何も支障はない」
その後お義兄さんは、はっきりとまだ確信が出来ていないから、これ以上の話は無駄と、それで終わってしまい、さっさと何処かへ行こうとし。慌ててアース達のことを聞けば、何かあれば情報をくれとお願いしたと。そのまま出ていってしまった。本当か?
はぁ、何てことだ。今の話が本当だったら、世界中にどれだけの影響を及ぼすのか。




