474雨の日のお風呂、ぶつかったの誰?
「良いか、宿に帰ったら、そのまま風呂に直行するんだぞ。濡れたままベッドの方に行くんじゃないぞ」
「はいでしゅ!」
「はぁ、本当に分かっているのか?」
お宿まで帰る間も、ずっと雨がサワサワ降ってて、でも朝の時よりも大丈夫です。だって冒険でたくさん濡れて、雨用のお洋服の中のお洋服も濡れちゃってて、もうたくさん濡れてるから大丈夫。僕達は何か楽しくて、今みんなでスキップしてお宿に帰ってるんだよ。
だから僕達お父さんに大丈夫って言いました。そしたらお父さんが困ったお顔しました。
「それは大丈夫とは言わない」
何で? お父さんもお母さんも、みんな濡れちゃってるから、お父さん達も大丈夫でしょう?
「あなたもすぐにお風呂行って。アンソニー達も自分の部屋できちんと温まるのよ」
「分かってるよ」
「なぁ、兄貴。じゃんけんでどっちが先に入るか決めようぜ」
たまにある水たまりにジャンプして入りながら、お宿まで戻って来ました。依頼書は明日ギルドに持って行きます。
お宿に着いて中に入ったらお宿のおじさんが居て、ずいぶん濡れたなって。アシェルにお昼ご飯の事聞いてるから、早くお風呂に入って、あったまって、ご飯食べるお部屋に来いって言われました。
お昼ご飯何かな? とっても良い匂いがするよ。早くお風呂に入らなきゃ。お宿の階段を上ります。あれ? 何か体が重いような感じがする? 僕大きな階段はゆっくりじゃないと上れないけど、小さな階段はもう少し早く上れるのに。3段上って考えてたら、お父さんがどうしたんだって。
「うんと、からだがおもいでしゅ」
「ああ、私もそうだが、ユーキ達はかなり雨に濡れたからな。雨が洋服にしみこんで、洋服が重くなったから、重く感じるんだ」
今まではお外歩いてるだけだったから、気が付かなかったみたいです。それでね、僕達は子供の森でしか今は冒険できないけど、もし大人になって、とっても危ない森に行ったら、気を付けないといけないって言われました。
雨が降ってて、たくさんお洋服が濡れて、今みたいにお洋服が重くなったら危ないの。お洋服が重いと、いつもみたいに早く動けなくて、もしその時に魔獣さん達が襲ってきたら? 早く動けないから魔獣さんにやられちゃって、お怪我しちゃうかも。
だから本当の冒険、今日も冒険だけど、大人の森に冒険しに行けるようになったら、濡れないように気を付けないといけないんだって。
他にも気を付けないといけない事いっぱいあるけど、それは少しずつ教えてくれるって。冒険は覚える事いっぱいだね。
僕がノロノロ階段を上ってたら、途中でお父さんが抱っこしてくれました。お宿のおじさんが作ってくれたご飯が待ってるから、早く行くぞって。
それでお部屋に着いた僕達。みんなそれぞれのお部屋に入って、僕達はそのままお風呂のお部屋に。
「おふろに、とちゅげきでしゅ!!」
「「「わあぁぁぁ!!」」」
『『『わあぁぁぁ!!』』』
「あなた早く付いて行って!!」
「ああ!!」
お風呂のお部屋に入って、お洋服脱いでいきます。でも…。
「おお、おおおおお!?」
お洋服掴んで上に上げて、お洋服から抜けようとしたんだけど。いつもはもたもた、でもちゃんと脱げるのに今日は脱げなくて。前がぜんぜん見えないまま、よたよた、たぶん横に歩いちゃったよ。それで…。
「とまんないでしゅう!」
そのままタタタタタ。助けて!! そしたら隣でディル達みんなのお声が。
「わぁ、何だ!?」
「ちょっと何々!?」
『止まらないなのぉ!』
みんなどうしたの? 何で騒いでるの? 僕何も見えないよ! その時お父さんのお声が。
「何してるんだ!」
お父さん助けて! 前が見えないよ! すぐに誰かが僕の体を押さえてくれます。それでバサッ。洋服が脱げました。ふぅ、ビックリした。お目々をパチパチしたら、お父さんが僕の洋服持って立ってました。それから横を見たら、ディル達みんな転んでたんだ。
みんなどうしたの? さっき騒いでたけど?
「もう、ディル何でぶつかってきたの!」
「オレだって、後ろから何かがぶつかっつたんだぞ!」
『誰かディルの後ろ見てた人いない!?』
みんなが頭をフルフル。誰もディルの後ろ見てなかったって。そう言えば僕も何かがぶつかつたような? 誰が僕にぶつかったんだろう? だから僕もよろよろがタタタタタって動いちゃったんだ。
みんなで誰がぶつかったのって騒いでて、お父さんが早く体を洗いなさいって怒って、お風呂の中、とってもにぎやかに。そしたらドアの方から、お母さんの怒ってるお声が。
「あなた!! 何騒いでいるの! 早くユーキちゃんをお風呂に入れて!! もう、風邪ひいたらどうするのよ!」
「何で私が怒られないといけないんだ。ほらユーキ、体を洗ってしまいなさい。私が髪を洗ってやるから」
お母さんの怒ってるお声を聞いて、ディル達が急いで、入れ物の中に入れたお湯で順番に体を洗って、お風呂の中に入ります。僕も体をゴシゴシ。洗った後はお父さんに髪の毛洗ってもらってお風呂に入りました。
「良いか。今日はこれからご飯だから、お風呂の中で遊ぶのはなしだ。あったまったらすぐに出るぞ。お父さんもお母さんも、お風呂に入らないといけないからな」
みんなで1人ずつ10まで数えて行きます。それでみんなが数え終わったらお風呂終わり。体ポカポカ。お父さんはそのままお風呂に入るって。僕達はお風呂のお部屋から出て、マシロに乾かしてもらって、濡れてないさっぱりのお洋服着ました。
お父さんがお風呂終わって、お母さんがお風呂に入ってる時、お兄ちゃん達が迎えに来たよ。お兄ちゃん達もお洋服さっぱり。
お母さん早くお風呂から出て来てね。お腹空いたよ。今日のご飯なにかなぁ?




