40伝説のおじさんと仲良くなりましょう!
マシロがそっと伝説のおじさんに近づきます。
「おじさん、連れてきたよ。怪我見せて。治してあげるよ。」
「シルフィー、我は言ったはずだぞ。連れて来るなと。人間の力など必要ないと。それにこんな怪我、なんて事はない。」
「ふあああ、かっこいいでしゅ!おじしゃん、けがしたでしゅか?なおしましゅ。どこでしゅか?」
僕の目の前には今、お兄ちゃんが読んでくれた絵本に出てた、大きくてカッコイイ、ドラゴンおじさんが座っていました。お羽と背中の方は真っ黒で、お腹の方が青で、絵本で見たのと同じドラゴンおじさんです。
「シルフィー、おじしゃんどこけがしてましゅか?」
「ほらあそこ、羽の付け根の所、血が出ちゃってる。」
シルフィーに言われて、お羽の付け根を見ると、血がたくさん出てました。マシロにお羽の所に降ろしてもらおうとしたら、ドラゴンおじさんが近付くなって、怒ってきました。まったく、怪我してるのに何言ってるの。
「ダメでしゅよ。けがなおしゃないと、バイキンがはいって、もっとけがひどくなるでしゅ。」
「だから我は人間の力など借りぬ!大体我は…。」
もう、我がままなドラゴンおじさんです。シルフィーがドラゴンおじさんの言葉を途中で止めてました。
「おじさんダメ。怪我治す。治さないと僕泣いちゃうよ!それにユーキ僕の友達。友達困らすのダメ!」
「しかしだなシルフィー。我は人間のちか…。」
「おじしゃん、シルフィーなくのダメでしゅよ。ほらマシロ、おはねのところ、おりてくだしゃい。」
「お、おい。だからなわ…。」
「「ダメ!」」
「話を聞け!」
我がままおじさんはもう無視です。早くお怪我治さないといけないのに。カッコイイドラゴンおじさんじゃなくて、ダメおじさんです。
それに、おじさんが言う通り平気なら、もう1つのお羽は動いてるのに、怪我したお羽の方は動いてないの何で。本当は痛いんでしょう。
羽の所に降ろしてもらって、お怪我を見ます。
マシロがおじさんに、シルフィーはお前が心配なんだ、諦めろって言ってます。それに僕とシルフィーが一緒になったら、誰にも止められないって。どゆこと?僕達お怪我治してるだけだよ。
でもマシロの言葉に、おじさんはため息をして静かになったよ。今のうち今のうち。
「ディル、なおしぇましゅか?」
「ああ、大丈夫だ。まだたくさん魔力残ってるから、このくらいの怪我ならすぐ治せる。よしやるぞ!」
ディルが光って、怪我した所が緑色に光り始めました。最初は少し強い光りで、だんだん弱くなっていきます。でも前のシルフィーの時より、時間かかってるね。やっぱり怪我、酷かったんじゃないの?
「おじしゃん、けがなおりましゅよ。もうだいじょぶでしゅからね。」
「ふん…。」
おじさんは何も言わなかったけど、そのまま動かないでじっとしてくれてました。そして一瞬強く光ると、光が消えて、傷が綺麗に治っていました。
「おおー、きれいになおったでしゅ!おじしゃん、もういたくありましぇんか?」
「…ああ。大丈夫だ。…すまない。恩にきる。」
「おんにきる?なんでしゅか?なにかきるでしゅか?」
「は?」
「くっ、ははははははっ!!」
おじさんはびっくりしたみたいに、大きなお口を開けたまま。それまで黙っていたマシロが、突然笑い出しました。笑う事何かあった?マシロが説明してくれたよ。おんにきるって、ありがとうと同じなんだって。何だ、何か着るんじゃないんだ。ありがとうならそう言えばいいのに。
「はあ、なんか疲れる。警戒していた我が馬鹿みたいでは無いか。」
「あっそうだ。お土産あるでしゅ。はいっ、どじょでしゅ。」
僕は下に降ろしてもらって、おじさんの前にさっき採ってきた虹色の実を置きました。
「ユーキ、木の実採り行こう。ほら、あれ見える?あれ全部食べられる。あれならユーキすぐ採れる。」
「おなかしゅいたでしゅね。」
シルフィーが教えてくれたのは、ほんとに目の前の所。いろんな実がありました。あれなら僕でも簡単に採れるね。皆んなで実を採ります。
「おい、我はまだここにいて良いとは…、はあ、もう良い。好きなだけここにいるが良い。まったく。本当に話を聞かん者達だ。」
「諦めろ。主達はいつもこんな感じだ。」
「…お前は、あいつの契約魔獣なのか?」
「ああ…。」
後ろを見たら、マシロとおじさんが何か話してた。何話してるか聞こえないけど、きっと2人もお腹空いたって言ってるんだろうな。マシロは昨日から何も食べてないし、おじさんもお怪我して動けなかったはずだし。
よし!たくさん採って、皆んなで仲良く食べよう。
…たくさん採ろうと思ったんだけど、ダメでした。すぐ疲れちゃった。マシロが、木の実はまた集めれば良いから、先に1度食べなさいって。それで少し寝なさいって。疲れてるんだから無理はダメって、リュカにも言われたよ。
皆んなでおじさんの周りに集まって座って、木の実を食べます。シルフィーが美味しいって言ってたけど、ほんとに美味しかったよ。あのね、あのサイダーの実もあって、マシロが爪で、実の上の部分を切ってくれたよ。
「あのね、モグモグ、おじしゃんは、モグモグ、ずっとここいるでしゅか?モグモグ。」
「ユーキ、食べ物飲み込んでから話しなよ。お父さん達に怒られるよ。」
うう。何かリュカ、お母さんやアシェルみたい。
「主、ご飯食べてゆっくり寝てから話をすれば良い。主の疲れが無くなるまでは、ここでゆっくりする。」
「はーいでしゅ。モグモグ。」
しょうがない。たくさん聞きたいことあるけど、まずはご飯だね。木の実をたくさん食べて、サイダーたくさん飲んで。そしたら急に眠くなって来ちゃった。
「マシロ…、ベッド…。」
「ああ。」
マシロベッドに入って、僕は寝る準備完璧です。悪い人達ももう居ないし、ゆっくり寝ても大丈夫だよね。
早く元気になって、お父さん達の所に帰らなくちゃ。それにおじさんと、たくさんお話したいなあ。




