39森の中の優しいおじさん?
だんだんお空が明るくなって来ました。
僕が目を覚ましたら、あの閉じ込められてたお家から、けっこう遠くに来ていて、マシロがもう大丈夫って言ってくれました。良かった。ちゃんと逃げられたんだね。皆んなお怪我もしてないよね。
今はシルフィーの案内で、シルフィーが言ってた、優しいおじさんのいる所へ向かっています。優しいおじさんって、こんな森の奥にいるんだね。買い物とか大変だろうな?僕は近くに買い物行くだけで大変。買い物終わる頃には疲れて抱っこです。
「シルフィー、おじしゃんいるの、まだでしゅか?」
「もう少し奥。森の奥、大きい湖があるよ。とっても大きいの。その周りで皆んなお休み出来るの。広いから、大きいおじさんでも大丈夫。僕達行っても、それでも余裕。人も来ないから安全。」
そんなに広い場所があるんだね。森の中すぎて、皆んな来ないんだって。
あれ、じゃあ、おじさんは何でこんな森の中に居るんだろう。それに大きいおじさんでも大丈夫って、そんなにおじさん大きいの?
「シルフィー、おじさんとはどんな人物なのだ?優しいと大きいは分かったのだが、ほかに何かないか?」
「うんとねえ、優しくて、大きくて…、カッコイイ!!」
うん。全然分からないね。でもシルフィーが悪いこと1つも言わないんだから、良い人に決まってるよ。お父さん達みたいな人だったらいいなあ。
「そうか、まあ良い。ゆっくり休める所を、シルフィーが知っていてよかった。」
「ご飯も食べられる。ユーキご飯一緒に食べよう。僕美味しい木の実知ってる。」
「ほんとでしゅか。ぼくきのみだいしゅきでしゅよ。みんなでおなかいっぱいたべるでしゅ!シルフィーありがとでしゅ。」
シルフィーはいろんな木の実の事、教えてくれました。この森にいた時はいつも湖で、おじさんと一緒にご飯食べてたんだって。
木の実には、美味しい物たくさんあるんだけど、食べちゃいけない物もあるから教えてくれるって。シルフィーはおじさんに教えてもらったって。
移動している最中も、たまに木の実を見つけて、教えてくれたよ。
その中で1番びっくりしたのは虹色の実。色鉛筆で色塗ったみたいな虹色の実。おじさんが好きなんだって。じゃあお土産だね。ささっと実をとって大きなポケットに入れます。もう皆んなポケットから出てるからたくさん入ったよ。
そんな事しながら木の下を走ったり、上を走ってたら、僕達の前の方に何か見えてきました。
「あそこだよ。おじさん元気かなあ。」
おじさんのいる湖が見えて来ました。上から見たけど、シルフィーが言ってた通り、とっても広い所だね。
「あそこがそうなのか?しかしあの気配は…。おいシルフィー、本当におじさんはお前に優しいんだな?」
マシロが湖の近く来たら、湖に行かないで突然立ち止まりました。何かジィーと見てるけど、何見てるんだろう。同じ所見てるはずなのに、僕には何にも見えないよ。シルフィーはしっぽをパタパタさせます。
「うん。優しいよ。早く行こ。」
「すまないがシルフィー。先におじさんの所に行って、我らが来た事を話して戻って来てくれないか。そして我らがそっちに行ってもいいか聞いてきてくれ。我らはここで待っている。」
「いいよ?友達連れて来たって言ってくる。おじさん僕に友達出来たから、喜んでくれるかな?」
シルフィーが洋服脱いで、パタパタ湖の方へ飛んで行きました。マシロどうしたのかな?僕優しいおじさん早く会ってみたいんだけど。あっそうか。初めましてだから、急に会いに行ったら優しいおじさんびっくりするかも知れないもんね。僕も知らない人がいきなり、僕のお部屋入ってきたらびっくりしちゃうもん。
「ねえマシロ、この気配って。」
「あれだよな。こんな所に居たんだな。優しいおじさんって言うから、オレ勝手に人間だと思ってた。」
「ああ、我もそう思い込んでいた。主と暮らしてたからな。考えればシルフィーは今まで1人で森に暮らしていたんだ。人間なはずがなかった。」
ん?皆んなの話しだと優しいおじさん、人じゃないみたいだよ。でもおじさんなんだよね?あれ?人じゃないおじさん?よく分かんなくなっちゃった。人じゃないなら何?マシロみたいな魔獣なの?
「ねえねえマシロ。どしたの?ここにいるの、だれでしゅか?」
「あ、ああ、あそこに居るのは、とてもとても珍しい生き物で、シルフィーみたいに伝説と呼ばれている生き物だ。」
伝説!ここに居るの!伝説って事は、お父さん達も見たことないよね!もしかして僕が初めてかも!
「でんしぇちゅでしゅか!しゅごいです!」
「あ~あ、目がキラキラだよ…。」
「これだときっと…。」
皆んなが嫌そうな顔で、こっちを見てるなんて知らない僕は、
「はやくいくでしゅよ!しゃあマシロ、いくでしゅ!」
僕はマシロの体を、パシパシ叩きました。シルフィーが言ってた。優しくて、大きくて、カッコイイって。どんなおじさんなんだろう。早く会いたい!
「やっぱり…。ユーキ、シルフィー待ってないとダメだよ。」
「主、今シルフィーが聞きに行ってくれている。もう少しだけ待つのだ。」
「ブー…。」
早く行きたいのに。でもしょうがない、がまんがまん。シルフィー早く戻ってきて。
僕はソワソワ、ソワソワ。湖の方を見たり、体を斜めにして木の間から見ようとしたり。そんな事してたらまた皆んなに注意されちゃった。大人しくしてなさいって。だって早く見たいんだもん。
「あ、あれシルフィーでしゅ!かえってきたでしゅ!」
「シルフィーなんか慌ててない?」
「ほんとだ。」
なんかいつものお羽の動きと違います。パタパタが、パタッパタッパタッてたくさん動いてます。どうしたのかな?あんなに早く飛ぶシルフィー初めて見たよ。
「皆んな、早く早く!」
「どうしたのだ。ちゃんと聞いてきてくれたか?」
「大丈夫だよ。それより早く!おじさん怪我しちゃってるんだ!ユーキ、ディル。治してあげて!」
シルフィーはマシロに飛び乗ると、早く早くって、お羽のパタパタで僕達を急がせます。
「たいへんでしゅ!マシロはやくでしゅ!」
「…本当に良いと言われたのか?はあ、しかたあるまい。怪我をしていると言うのだから、助けないわけにいかんか…。よし行くぞ。」
マシロが木の間を抜けて湖へ。木がなくなってそこには大きい湖と、とっても広い草原が。 そして僕達のいる方とは反対側の湖の端っこに、伝説のおじさん?がいました。
シルフィーが言ってた通り、とっても大きくて、カッコイイ伝説のおじさんです。




