366絵本とおんなじ妖精さんの国
お遊びのお部屋から出て、休憩のお部屋に行って、アメリアが飲み物持ってきてくれて、僕はそのジュース飲んで、ふい~ってため息です。僕のお隣でキミル達もため息してます。
みんな消えなくて良かったね。他の妖精さん達は寝たまんまだけど…。
ディル達にもう具合悪くないか聞いたら、たまにちょっとボケっとしちゃうけど大丈夫だって。ほんとに大丈夫? 僕もっと魔力あげようか? だって魔力あげるとお元気になれるでしょう?
僕がディル達にそう言ってたら、お父さんがマシロ達に僕の魔力のこと聞きます。
「マシロにエシェット、チラッと話は聞いてたが、ユーキはかなりの魔力を使ったんだろう? 大丈夫なのか? 普通の人間だったらあれだけの魔力を使ったら、魔力が枯渇して具合が悪くなるんだが」
「ああ、それなら大丈夫だ。ユーキはまだ持っている魔力の半分も使っていない。それよりもまた魔力が溜まり始めていたからな。放出できてちょうど良かった」
お父さんもお母さんも、ハロルド達も驚いたお顔してました。大丈夫なの? 僕は分かんないけど大丈夫ならもう少しディル達に魔力あげたいな。
エシェットにそう言ったら、今は大丈夫だから良いって、ディル達とおんなじこと言いました。
「今は魔力を与えたばっかりだからな。ディル達の体が落ち着いたらまたあげると良い」
僕心配なの。だってまた透明になっちゃうかも。僕ドキドキです。
でもどうしてディル達は透明になっちゃったにかな? それにずっと寝てるし。
「マシロ、どちてみんなおきないでしゅか? ディルやリュカやルルちゃんはと、とうめいでしゅ」
マシロがエシェットの方みました。エシェットは頷いてから、僕達に大切なお話があるって言いました。僕はお父さんのお膝に座ってエシェットのお話聞きます。みんなはマシロに乗っかりました。
「ユーキ、それにディル達も。この前オリビアに絵本を読んでもらっただろう? 妖精の国や妖精の王様が出てくる絵本だ」
うん。お誕生日のプレゼントでもらった絵本。
「妖精の国は本当にあるんだ。そして妖精の王様もいる。我は昔、妖精の王に会った事があるのだ」
ふおお、ふおおおお!! 妖精の国ほんとにあるの!?
「よしぇいしゃんのくに、あるでしゅか!? どこあるでしゅか? ようしぇいしゃんいっぱいでしゅか? おしゃまカッコいいでしゅか?」
「え~、ほんと? ボクぜんぜん知らなかったよ」
「オレも!」
「ユーキ、みんなも落ち着きなさい! 話は始まったばっかりだ」
お父さんが足をバタバタしてる僕のお体抑えます。
エシェットが妖精の王様に会ったのは、とってもとっても昔で、マシロが生まれる前に会ったんだって。マシロ今何歳? ん? 妖精の王様とってもカッコよかったって。
でもエシェットは妖精の王様に会ったけど、妖精さんの国には行ったことありませんでした。王様はどこに国があるか教えてくれなかったみたい。エシェットが王様に会えたのは、王様がいろいろな場所を旅してたからなの。
妖精の王様はお酒が大好きで、エシェットもお酒が大好きだから、とっても仲良くなれました。それで王様はエシェットを妖精の国には連れて行けないけど、妖精の国のこと、いっぱい教えてくれたんだって。
妖精さんの国は、誰にも見つからない所にあって、それから特別な結界を張ってるから、人や獣人さんとかには絶対に見つけられないんだって。でも王様が入って良いと思った人は王様が特別な道を作ってくれて、その道から妖精さんの国に入ります。
それから妖精の国にはたくさん妖精さんが居ます。妖精さんだけじゃないの。魔獣さんもいます。妖精さん達と遊ぶのにお泊りしに来るんだって。
あっ、でもお怪我しちゃった魔獣達も来たりします。ディルみたいな妖精さんに治してもらうんだよ。治してもらった魔獣はありがとうで、妖精さんの国のお掃除したりします。
それから王様のお話も聞きました。
王様が居ないと妖精さん生まれてきません。王様の力が溢れると妖精さんが生まれるの。僕が魔力コップから溢れさせちゃうのと似てるってエシェットが。
あと、いろんな所に住んでる妖精さん達を元気にします。ディル達がいつも元気なのは王様が元気をくれてるからなんだって。王様が元気がないとディル達は元気がなくなっちゃいます。
元気がなくなる? ん? 今のディル達みたい? もしかして、王様ディル達に元気くれるの忘れちゃってるのかな?
僕がエシェットのお顔じぃ~って見たら、エシェットが頷きました。
「もしかしたら妖精王に何かあったのかもしれん。こんなに急激な変化はおかしい。いつもと様子が違いすぎる」
時々ディル達はお昼寝たくさんする時があるの。いつもは僕よりも早く起きるけど、僕とおんなじくらい寝ちゃう時があって、それは妖精の王様がお酒飲みすぎて具合が悪くなっちゃってる時なの。
…なんかお父さんやハロルド達みたい。僕はお父さんとハロルド達見ます。ディル達もみんな見てました。
「何で私達を見るんだ?」
「あなた、いつものあなた達の姿そのものじゃない。きっと妖精王と会うことができたら、全員まとめてユーキちゃん達のお酒攻撃にあうでしょうね」
エシェットがその時の王様と妖精さん達、ちょうど見てました。エシェットお酒を飲んだ次の日は、王様は頭が痛い痛いって。それで近くに居た妖精さん見たら、妖精さん達がぐったりしてたって。やっぱりお酒はダメダメです。
「だが、その時とはあまりにも違いすぎる。二日酔いだけでここまで酷くはならない。おそらく本人に何かあったか、妖精の国で何かがあったか」
「本当に何かあったのかな? 今までで1番お酒飲んじゃったとかじゃないよね。それだったらボク絶対許さないよ。ユーキに心配かけて、僕達に迷惑かけて。お酒が原因だったら妖精の国を絶対見つけて、お仕置きするからね」
リュカがマシロのお毛々ぐいぐい引っ張りながら、とっても怖いお顔して怒ってます。お隣にいたディルもルルちゃんも。マシロが止めろって怒ったから、今度はくろにゃんの所に行って、くろにゃんのお毛々をぐいぐい引っ張りました。キミルやホプリン達も一緒に引っ張ります。くろにゃんが逃げて僕とお父さんのお膝の下に隠れました。
「お前達、話の途中だぞ!」
マシロがもっと怒ったから、静かになって元の場所に戻りました。
「エシェットの話が本当ならば、かなり不味い状況だということだな。家に来ている妖精達もどうにか助けてやらないといけない」
「助けると言ってもあなた、はっきりした原因が分からないのよ。確かめるすべがないわ。エシェットでさえ妖精の国がどこにあるのか分からないのよ。私達が見つけられる可能性はほとんどないし」
「だがどうにかしなければ」
「「!!」」
お父さん達がお話してたら、マシロとエシェットがバッて立ち上がりました。それから急いで窓の所に行ってお外見ます。それからお部屋に結界を張りました。
「どうした!?」
「家に入り込まれた。直接家に現れたから、取りあえずこの部屋に結界を張った。ルトブルも気づき結界を張ったぞ。いいか、この部屋から出るなよ」
マシロが僕の方に歩いてきて、僕はマシロにくっついて、お父さんは剣を持って僕の前に立ちました。ハロルド達もドアの前に立ったり窓の所に立ったり。
マシロがエシェットとお話します。
「この気配、なぜここに居る?」
「分かるか?」
「会ったことはないからな、何となくだが」
「2人とも、誰が入ってきたか分かっているの?」
「本来なら、こんな人間が暮らす場所に現れない人物だ。間違っていなければな」
誰が来たの?




