34リュカの報告
「リュカ外に出て、もしテレパシーが使えるようなら、妖精達に連絡を取ってみてくれ。」
「良いけど、街がどのくらい離れてるか分からないから、テレパシー届くか分からないよ。ボク遠くまで使ったことないんだ。」
「やってみて駄目だったら、近くにいる妖精にここが何処か、聞いてみてくれ。」
「分かった!」
そしていよいよ、リュカが外へ。あのお話し合いからすぐ、男の人達がお部屋へ近づいてきました。マシロが黒服の人が居ないのを確認。
「じゃあ、ボクはドアの前に居るね。次にあいつらがこの部屋に来る時、戻って来るからね。」
そう言うと、リュカのキラキラが消えました。そしてドアの所でドアが開くのを待ちます。
バンッ!と勢い良くドアが開きました。
リュカが見つからないように、さっとお部屋から出て行きました。誰も気付いてないよ。良かった成功だね。リュカ気を付けてね。
男の人達は、リュカが居ないことに気付いたけど、リュカが言った通りに言ったら、納得してさっさと出て行っちゃった。マシロが、簡単に信じるなんて馬鹿なのかって、びっくりした顔して呆れてた。
ドキドキしながらリュカを待ちます。
リュカ大丈夫かな。ちゃんと戻って来れるかな。
そしてどのくらい経ったか分からないけど、足音が聞こえてきました。
ドキドキがもっとドキドキです。そしてドアが開きました。
1番後ろの女の人の足の所、リュカがそっとお部屋に入りました。良かった。帰って来てくれた。怪我とかしてない?
皆が出て行って、ボクはリュカに近づきます。
「リュカよかったでしゅ、おけがしてましぇんか?」
「大丈夫だよ。ちゃんと外見てきたからね。バッチリだよ!」
リュカはお外で見てきたことと、近くにいる妖精さんに聞いた話を、細かくマシロに説明しました。
まずテレパシーを使ったけど、やっぱり街の妖精さんには届かなくて、近くの妖精さんにテレパシー使って話聞いたら、ここは人間が「黒い森」って呼んでる森の、とっても奥なんだって教えてくれたみたい。
リュカが確認しに木の上から見たけど、どっち見ても木ばっかりだったって。
「黒い森?そんな所に居たのか。」
マシロはこの森のこと知ってた。前に1度だけ通った事があるんだって。
「主、ここはカージナルから3日ほど離れた場所の森の中だ。もし逃げられれば、ずっと走り続ければ2日くらいか。帰る事ができそうだ。」
マシロの言葉に僕はしょぼんです。
「ぼく、たくしゃん、のれましぇん…。」
僕はまだたくさんマシロには乗れないから、きっと逃げられてもすぐ捕まっちゃう…。
「大丈夫だ。我がしっぽで支えれば、長い間乗っていられる。」
「たくしゃん、のれましゅか?」
「ああ、安心しろ。」
「はいでしゅ!」
マシロがしっぽで支えてくれるって。良かった、それなら大丈夫そう。ここから出られたらお家に帰れそうです。
それとこのお家はそんなに大きくないけど、いっぱいお部屋があって、でも魔力が使えないお部屋は二つしか無いんだって。もう1つのお部屋は、このお部屋の近くだって。
「そのおへや、だれもいましぇんか?」
「つい最近まで居たみたいだけど、魔獣の匂いが残ってたからね。でも今は居ないよ。あと、やっぱり見張ってるのあの4人だけみたい。しかもバカ。」
「どうしてだ?」
リュカ、だいぶあの人達のこと、バカにしてるみたいだけどなんで?
「だってさ、ドアの前で見張ってる人間以外、好き勝手やってるんだ。」
リュカがお外から戻って、男の人達の様子見たら、皆自分のしたい事してたんだって。
男の人はお酒を飲んではお金数え、それを繰り返してるんだって。女の人の1人は、顔にお絵かきしてたって。それってお化粧かな?もう1人は、キラキラした石見て、ニコニコ笑ってたって。
「ワザと物音立てたのに、ちょっと音の方見ただけで、すぐ自分のやりたい事やるんだよ。見張りとしてどうなの。それにさあ、ドアの前の見張りなんて、居眠りしてるんだ。ほんとバカ。」
なんかリュカ怖くない?
「大体見張りっていうのは、相手を見張ってこその見張りなんだよ。それをしないなんて何考えてるのさ。そう思わないマシロ!」
「あ、ああ、そうだな。リュカ、我はそろそろ逃げ出す計画を立てたいのだが…。」
「ボクも考える。あんなバカな人間に捕まってるなんて、許せないよ!」
…。リュカどうしたの?
ディルがこっそり教えてくれました。リュカがね1番嫌いなもの、バカな人間。人間だけじゃなくて、妖精でも魔獣でも、役に立たないバカが嫌いなんだって。…ふーん。僕もしっかりしないとリュカに怒られちゃうね…。気をつけよう。
皆で作戦会議です。
男の人達は相変わらず、部屋には来るけど、最初よりも来るのが少なくなったよ。リュカが、
「あいつらの事だから、様子見に来るの面倒くさいんでしょう。」
だって。今も見に来てさっさと居なくなったよ。
ここに来たのは朝だったけど、今お昼かな?夕方かな?ちょっと疲れちゃったな…。お腹空いてきちゃった…。
「ふゆう…。」
「主、疲れたなら少し寝るといい。奴らも今来たばかりだ、すぐに来ないだろう。今のうちに休んで、もし動く事になった時の為に、体力をとっておけ。」
「はいでしゅ…。マシロ、みんな、おなかしゅいたね…。」
僕はマシロベッドに寝ました。マシロがしっぽで包んでくれます。
お父さん達どうしたかな…。早くお家帰りたいな…。
「眠ったか…。もって2日か3日か…。早くここから逃げ出さねば。」
「でもどうする。この部屋から出なくちゃ魔法、使えないんだろ。」
「マシロならあいつら、簡単に殺せるでしょう?噛み殺せない?」
「ダメだ、奴らに何か結界が張ってある。あれは魔力を使って攻撃しなければいけないものだ。下手にここで殺す事は出来ん。主まで巻き込みかねん。何とか外に出られれば…。もちろん逃げるのはあの黒服がいない時だ。人数が増えすぎるからな。それと、我々がここへ連れて来られた時の闇魔法。見たことがある。」
あの魔法は強力なものだ。そして魔法を使った人間は、必ず使う対象を見えている状態で使わなければならない。近くに犯人が居た筈だ。
最初からこの部屋にいたあの4人は、犯人ではないだろう。まああのバカ共にあの魔法は使えんだろうがな。見張りさえもちゃんと出来んようなバカ共だ。あの黒服の方に使える人間がいるはずだ。黒服が居ないうちに、何とか逃げ出せれば、後はこっちのものだ。
「早くしなければ。ユーキの体力が心配だ。逃げ出したらまずはゆっくり出来て、ご飯が食べられる場所を探さなくては。体力回復が優先だ。街へ戻るのはそれからだ。」
「あのね、マシロ。僕知ってる。」
ユーキと一緒に寝ているシルフィーが話しかけて来た。
「何を知っているんだ?」
「この森の奥、僕のこと心配してくれるおじさんいる。ご飯もくれる。そこは安全。」
「外に出たら案内できるか!?」
「任せて!」
シルフィーのおかげで、外に出た後も何とかなりそうだ。後はこの部屋から出るだけだ。待っていてくれ主。必ず主を守り、家へ連れて帰る!




