352シュプちゃんとスライムさんの攻撃
「しゃようなら!」
「ユーキ君またな。きっと次会う時は、ルーベンもマイラも、きっとゆっくり遊べるはずだ」
今日はサルバドールさん達がお城やお家に帰る日です。誕生日のパーティーと次の日の誕生日パーティーの続きは終わり。なんか寂しいです。でもとっても楽しくて、寂しいより楽しいの方が多いの。
お庭に出て、最初にサルバドールさん達がお城に帰ります。くろにゃんに連れて行ってもらうから、すぐに帰れるよ。
僕がさようならして、お父さん達がさようならして、じぃじはお城までさよならしに行きます。
くろにゃんが影を広げて、みんなが影に沈んで行きます。シャーナがニコニコ僕にお手々振ってくれて、エシェットのことは凄く睨んでました。睨んだまま消えちゃったよ。
少ししてじぃじ達が帰って来て、次はザクスさん達です。先にクイントンさんとギャレットがお家に帰って、次にザクスさん。
「ユーキ、今度は俺の屋敷に遊びに来いよ。なかなか時間が取れないし、ユーキもなんだかんだで忙しいが、遊びに来るのが分かったら、部屋にいっぱいお菓子用意して待ってるからな」
「うん!!」
「ザクス、ユーキのためによく来てくれたな。ユーキもいい思い出ができた。ありがとう」
「何言ってるんだ。ユーキの誕生日だぞ。当たり前だろ。今度はアンソニーとジョシュアの時も祝いに来るつもりだぞ。そしてユーキと遊ぶ」
「お前は本当にユーキが大好きだな」
「お菓子好きとしては、ユーキとは仲良くしたいんだよ。それにユーキは可愛いしな」
ザクスさんにぶんぶんお手々振って、ザクスさんが影に消えて、すぐにくろにゃんが帰ってきました。
みんな帰っちゃった。あ~あ。でも…。
リュカが昨日までパーティーしてたお庭の所に行こうって、すぐにみんなで移動します。僕達の今からとっても忙しいです。これからシュプちゃん達の宿題みんなで見て、お酒攻撃に練習しなくちゃいけません。
お庭について、シュプちゃんとスライムさんが僕達の前に出ました。
『僕達は一緒に魔法使って攻撃するの考えたよ』
『ぷゆゆゆゆん!』
シュプちゃんが板が欲しいって言ったから、近くにあった板をマシロが持ってきてくれます。お父さん達に攻撃するみたいに板を攻撃して練習です。
最初にスライムさんがお水の玉を出して、2人の真ん中にそれを浮かべました。スライムさんは水の魔法ができるもんね。他の魔法はこれからやってみるって。
次にシュプちゃんが泥の玉を出して、それを浮かべたら、最初にスライムさんが作って浮かべてるお水の玉と一緒にしちゃったの。
少し玉が大きくなって、シュプちゃん達が見ててって。
玉がもう少し浮かんだら、ヒュンっ!! って板の方に飛んで行きます。玉がべしゃあァァァって板にぶつかって板は泥だらけです。すぐにみんなで板を見に行きました。
ちょんってみんなで泥を触って、指をはなしたら、びよ~んって泥が指にくっついてきました。みんなも一緒。でもディルとモリオンが大変、びよ~んって伸びた泥が体にくっついて、お羽にもくっついちゃって、地面に落ちちゃったの。急いでルトブルがお水で洗ってくれます。
「何だこの変な泥」
「僕ベタベタだよ!」
2回洗って、やっと泥が取れました。マシロに風の魔法で乾かしてもらって、ふぅ、いつものディル達です。良かったぁ。
シュプちゃん達が説明してくれました。
スライムさんがいつものサラサラのお水じゃなくて、ちょっとネバネバのお水の玉を作ったんだって。それからシュプちゃんも、ドロドロの泥の玉を作って、それを混ぜたから、玉はとってもドネバネバドロドロになりました。
だからそれに触っちゃうと、なかなか取れなくて大変です。
「うん! 凄いね!」
リュカ先生が拍手したから、僕達もみんなで拍手です。拍手したらさっき触った時についた泥が、両方のお手々にくっついちゃって大変です。僕達も2回お手々洗ってから、もう1回お話し合い。
マシロがあんまりネバネバはダメだって。お父さん達のお顔にくっついて、もしお目々の所についてお目々が見えなくなっちゃったら、お怪我するかもしれないから。
うん、みんなお怪我するのはダメダメ。
だからもう少しネバネバじゃない泥の玉を作れって。それから、もしぶつけるなら、お顔の目よりも下の所にぶつけろって言いました。
それからお洋服はダメ。アメリアやメイドさん達がいつも綺麗にお洗濯してくれてるのに、泥で汚したらアメリアとっても怒るよ。
僕達のこと見てたアシェルが、べつの板を何枚か持ってきてくれて、太いペンを出してサササって、板に何か書き始めました。
僕はアシェルのお隣に行って、何書いてるか見ます。
「ハロルド!」
アシェルが描いたのはハロルドの絵でした。この前のお誕生日に描いてくれた絵みたいに、ハロルドにそっくりです。それにお酒飲みすぎて、具合が悪い時のハロルドにそっくりなの。
「練習するのであれば、この絵で練習を」
僕達アシェルに拍手です。
アシェルが他の板にも絵を描いてくれてる間に、リュカ先生がシュプちゃん達にお勉強です。
あんまりドロドロはいけないから、もう少しスライムさんがお水を増やして、シュプちゃんの泥を少なくします。それをアシェルが描いてくれた絵のハロルドのお顔にビチャッて当てて、さっきはべっとりだったけど、今度はダラダラ下に垂れちゃいました。リュカ先生がこれじゃダメって。
次はもう少しお水を少なくして泥を多くして、また絵に投げます。さっきよりもダラダラしなかったけど、まだちょっとダラダラ。
今度は泥だけ多くして、そしたらまたベトベトに。う~ん難しい。シュプちゃん達もう~んってしてます。
アシェルが板を5個用意してくれました。今使ってたハロルド板はお顔が見えなくなっちゃったから、次の板に変えます。
それから何回も何回も練習して、最後の板になった時、ちょうど良いくらいの泥がハロルドの絵にくっつきました。シュプちゃん達投げるのも上手になって、今ハロルド板にはおでことほっぺとお鼻に泥がくっついてます。
アシェルがお手々でその泥を触って取ると、ちょっとだけお顔に泥が残って、その残った泥はお水で洗ったらすぐに綺麗になりました。
「ちょうどよろしいくらいの泥ですね。もう1回やってみてください」
アシェルも先生になっちゃいました。シュプちゃん達がもう1回泥を投げます。今度もちゃんとおでことかにくっついたよ。それからちゃんと綺麗に取れます。
「同じ事ができるならもう大丈夫そうですね」
「シュプ達合格だよ! 今度からボク達とお酒攻撃できるよう!」
みんなで拍手したり跳ねたり。
「はやくおしゃけこうげき、ちたいねぇ」
「う~ん、でも昨日したばっかりだからなぁ」
「ユーキ、ハロルド意地悪したら、突撃できる。その時やる」
『そうだね。僕達のおやつ取るもんね』
お父さん達の昨日お酒たくさん飲んだばっかりだから、少しの間お酒ダメってお母さんに言われました。だからお酒攻撃は出来ないけど、きっと意地悪突撃はできるから、その時シュプちゃんも一緒にねって。
おやつの時間になって、みんながお庭に集まりました。お天気が良いから今日もお外でおやつです。
僕のお隣でリュカ達がニヤニヤ。僕もニヤニヤ。みんなでニヤニヤ。お父さんが変なお顔して僕達のこと見てます。ハロルド達も。
早くハロルドお菓子取らないかなぁ。いつもは嫌だけど今日は新しい突撃だからとっても良いよ?
ハロルド達がコソコソお話です。
「おい、何か様子がおかしくないか?」
「僕もそう思うよ。ハロルド、今日はやめといた方が良いんじゃない?」
「いや、いつも通りの方が良いだろう。変に警戒して、余計な事されても困るしな」
コソコソが終わって少しして、ハロルドがディルのお菓子を取りました。僕はお椅子の上に立って叫びます。
「とちゅげきぃ!!」
「「「わあぁぁぁぁぁ!!」」」
『『『わあぁぁぁぁぁ!!』』』
「な、何だ!? わあぁぁぁ!?」
「おい何で俺達まで!」
「何? 泥!?」
ディル達はハロルドだけじゃなくてタイドス達にも攻撃します。だって3人一緒だもんね。
練習した時と同じ、綺麗にお顔に泥がつきました。それからその泥にキミルがわたぼこと、ピュイちゃんがお羽つけたんだ。面白そうって。
急いでハロルド達がお顔洗いに行っちゃいました。
「見事成功ですね」
アシェルがニッコリ笑ったから、僕達お手々あげてやったぁ! します。それからお父さんがはぁ~って、大きなため息しました。
シュプちゃん達の新しい攻撃、上手にできて良かったね。




