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1別の世界

 ふと僕は目を覚ましました。目をこすり、辺りを見渡します。目の前には小さな池があって、周りは大きな木ばっかりです。


「ここが、あたらしいしぇかい?…ん?ありぇ、ことびゃが…。」


 体を見てみると…。体が小さくなってる!神様、僕、小さくなってるんだけど、どういうこと!

 立ち上がろうとして、足元がふらついて、倒れそうになっちゃった。何か今までみたいに、しっかり歩けない。体が小さくなったから?慣れたらもう少し、しっかり歩けるかな?あれ?だから神様、大きくなったらって言ったの?


 そんなふらふらな僕を何かが、支え、座り直させてくれました。支えた…?違う。誰かが僕の服を掴んで持ち上げて、座らせてくれたんだ。

 後ろを振り返るとそこには、とってもとっても大きな、1匹のワンちゃんがお座りしてたよ。

 ワンちゃん…。この子が神様の言っていた、ワンちゃんなのかな?ワンちゃん、どう見ても、普通のワンちゃんの、何十倍もあるんだけど。


「主、目が覚めて良かった。なかなか目を覚まさなかったから、心配したぞ。」


「………。」


「どうした主?」


「ワンちゃん、おはなしできうの?」


 ワンちゃん、僕と普通にお話ししてる。


「ああ、そういう事か。この世界では、我のように話が出来る生き物もいるんだ。」


 そうなんだ。なんか凄いね。動物とお話し出来るなんて。僕の持ってた絵本に動物とお話し出来て、一緒に旅するお話があったんだ。僕その本大好きだったから、今ワンちゃんとお話し出来て、とっても嬉しいよ!


「ワンちゃん、おなまえは?」


「我に名前はまだ無いんだ。主がつけてくれ。」


 さっきから主って言ってるけど、主って?僕がワンちゃんに、主って何か聞くと。


「そうか、説明しても難しいか…。飼い主とでも言っておくか。今は契約が先だ。」


 ワンちゃん、なんかブツブツ言ってる。何言ってるか分かんないよ。


「ワンちゃん?」


「ん?ああ。飼い主ってことだ。」


 飼い主。そうか、ワンちゃん僕がお世話するんだね。そう言ったら、ワンちゃん頷いたよ。


「そうだ。さあ、名前を。」


 うーん、どうしようかな?

 ワンちゃんはとっても大きくて、真っ白な雪みたいな綺麗なおけ毛だったよ。まっしろ、マッシロ、マシロ!


「ワンちゃん、おなまえ、マシロは?」


「マシロ、いい名前だ。これから我はマシロだ。主、これからよろしく頼む。我は何があろうと、主の側は離れない。どんな時も主の味方だ。」


 僕はマシロの飼い主になりました。でもね、僕はさっきの絵本のこと思い出して。

 その絵本では、今の僕みたいに小さい男の子が、やっぱりワンちゃんの飼い主なんだ。でも絵本の最後にね、お友達にもなるんだよ。

 飼い主だけどお友達。僕もそれがいいな。僕、お友達ほしい。今までお友達いなかったから。マシロ、お友達になってくれるかな?


「あのねマシロ、おねがいありゅでしゅ。」


「何だ?」


「ぼく、マシロとおともだち、いいでしゅか?」


 マシロは、目をパチパチ。ちょっと驚いたみたいな顔してました。そして。


「ああ良いぞ。主は我の飼い主で、そして友達だ。」

 良かった!僕に初めてのお友達が出来ました。初めての友達。嬉しいなあ。

 

 お友達出来て嬉しいけど、僕はこれから、どうすればいいのかな?ここは森の中みたいだけど、このままこの場所に居たらダメだよね。でもこの体じゃ、きっとそんなに歩けないし、どうしようかな、マシロと相談してみよう。


「ねー、マシロ。こりぇからぼく、どしたらいいでしゅか。」


「ああ、そう言えばあいつが場所を間違えたな…。」


 マシロが何か小声で言ったけど、聞こえませんでした。


「マシロ?」


「ああ、いや、何でもない。とりあえず人の居るところ、神様が会わせてくれるはずだった者達の所へ…!」


 突然、マシロが僕を庇うように立ち上がって、森の奥の方を見て、唸りはじめました。


「どしたの、マシロ?」


「我としたことが、こんな近くまで、存在に気づかないとは。主なるべく動かず、静かにしていろ。」


 そう言ったマシロの言葉の後に、森の奥から、とっても大きな鳥?の、動物が現れた。車が2つくらいの大きさです。


「マシロ、なに、あのどうぶちゅ?」


「動物ではない、魔獣だ。」


「まじゅう?」


「そうだ。奴め上位種か。気配をたっていたな。主、大丈夫だ。我が側に居る。」


「うん。ぼく、だいじょぶ。マシロいりゅから。」


 魔獣は、僕達の方をじっと見て、いつ僕達を襲おうか、考えてるみたい。マシロは、僕を守りながら、ウウ~って唸ってくれます。

 それでね僕、確かに魔獣見て、最初は怖かったんだけど、でも、マシロが側に居てくれると思ったら、全然怖くなくなったんだ。


「主、少しの間、目を閉じていてくれるか。終わったら声をかけるからな。」


「うん?いいよ。」


「すぐ終わらせる!」


 僕が目をつぶった瞬間、とても強い風が吹き抜けて、僕はその風のせいで、体が小さいからか、コロコロ転がっちゃって、マシロに言われたとおり、目はつぶったまま、マシロが声をかけてくれるのを待ちました。


 色々な音がしました。マシロの声、魔獣の鳴き声、風の音、本当に色々な音がしました。そして、急に音がしなくなって、静かになりました。


「主、もう大丈夫だ。」


 マシロの声で、僕はそっと目を開けました。すぐ目の前に、マシロは居ました。マシロの後ろの方を覗いてみると、さっきの魔獣が横になってて、全然動きません。


「マシロ、かった。」


「ああ、もう心配はいらない。それに、今の騒ぎで、もうすぐやって来る。」


「?」


 僕の新しい世界での生活は、初めからとても騒がしく始まりました。後で知ったけど、どうも、神様の所為だったみたい。

 でも、その事を知ったのは、とってもとっても後の事でした。


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