251海で遊ぼう!!
「俺は今日街へ行ってくる」
「大丈夫なのですかお兄様」
「大丈夫だ。この水晶が有れば、魔力の多い人間を見つけるのは簡単だ」
「それを心配しているのではありません。無理やりに連れてきてはダメです。ちゃんとお話して連れてきてください、とそういう意味です」
「………分かっている」
「本当ですか?」
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僕は今玄関の前で、あっち行ったりこっちに戻ってきたり、行ったり来たりです。だって今日は海に行くんだもん。
「はやく、はやくでしゅう!」
「待て待て、海は無くなったりせん」
じぃじに肩車してもらって海に出発です。1番お店が多いお店通りを通って、街の壁の門を潜って、右の方に歩いていきます。街には門が2つあるんだって。森の方から来る人達が潜る門と、海から来る人達が潜る門です。海の門の方が大きい門で、森の方の門よりも5つくらい大きな門。大きい荷物や沢山荷物運ぶからなんだって。ゾウさん魔獣とかも通るしね。今日は海の方の門を潜りました。
潜ってすぐ、僕、とってもビックリです。
「ふおお! ふおおおおお!! おふね、おおきいおふね!!」
門潜ってすぐに大きなお船が沢山見えて、人も魔獣もいっぱいです。僕ビックリとお船が見れて嬉しくて、じぃじの頭ペシペシ叩いちゃいました。でもじぃじ全然平気みたいです。何にも言いませんでした。
どんどん歩いていくじぃじ。だんだんと人も魔獣も少なくなってきました。それにおおきいお船がなくなって、小さいお船ばっかりになっちゃったの。
「ユーキが遊ぶ場所に船があったら大変だろ。船は今度のせてやるからな。今日はじぃじ専用の海辺で遊ぶぞ」
じぃじ専用? 聞いたらじぃじの家族だけが遊べる場所なんだって。凄い凄い! 人も魔獣もお船も全部なくなって、着いたところは絵本で読んだことある海でした。ザバンザバン波の音がして、いろんな所に貝殻が落ちてます。じぃじの肩車から下ろしてもらって、僕波の方に走って行こうとしたら、お父さんが僕のこと捕まえました。まずはお着替えしてからだって。
お母さんが海で遊ぶ用のお洋服着せてくれます。ズボンだけ履きました。上は何にも着てません。ズボンは濡れてもすぐに乾くズボンなんだって。ふわって感じのズボンなの。後はお帽子と靴。
「いいユーキちゃん。砂のところはとっても熱いのよ。裸足で歩くと足怪我しちゃうわ。だから絶対靴脱いじゃダメよ。波の近くならいいけど、波から離れたら絶対に靴履くこと。それから帽子も絶対にとっちゃダメよ。暑くてもダメ。具合悪くなっちゃうからね。それから…」
お母さんのお約束いっぱい。僕早く波のところに行きたいよ。
「オリビア。ユーキ多分聞いてるようで聞いてないぞ。意識は海にいってるからな」
「はぁ、そうよね。仕方ないわね。その場で注意すればいいかしら」
「よしユーキ、一緒に海まで走るぞ!」
ジョシュアお兄ちゃんがお手て繋いでくれます。シルフィーとホプリンはマシロに乗っかって波のところまで移動です。ディル達は…、先に飛んで行っちゃいました。ここには僕達しか居ないから、隠れたり変身しなくても大丈夫だもんね。僕も急いでみんなの所に走って行きます。
波が来るすれすれの所で止まってお靴脱ぎます。おお冷たくない、ぬるいです。次の波が来たときちょっとだけ足つけてみました。ぴょっ!? お体がぶるってしました。もう1回足つけてみます。またまたぴょっ!? ってしました。今度はずっと波に足つけてみます。うん! もう慣れました。波のところバシャバシャ走ります。それからバシャンッ!! ってジャンプしました。ジャンプの後はお顔からバシャンッです。
「!? けほけほっ!!」
「ユーキ!?」
お兄ちゃんが僕のこと立たせてくれます。お口の中お水入っちゃった。それにお口の中変なの。とってもしょっぱいし、なんか、なんか変!
「けほけほ、けほけほ!」
「ユーキ大丈夫か。ほら、ブクブクペッだ!」
お父さんが僕の口に何かくっつけました。コップみたいです。僕お口の中が変でけほけほお咳してるだけじゃなくて、お目めもとっても痛くて開けられません。
お口の中にお水が入ってきました。ブクブクペッしてもう1回ブクブクペッ。お口の中に少しあった変なのなくなりました。
それからお父さんがお顔洗いなさいって。でも上手に洗えません。洗ってもお目め痛いの治らないし。お父さんがお顔上に向けなさいって言ったから上向いたら、お父さんが僕のお目め開けたの。うう痛いのにぃ~。僕がヤダって言ったら、お目め痛いの治らないぞって。ふええ…。お父さんがお目めにお水入れました。それでパチパチします。
痛いけど我慢我慢。
「およ?」
両方のお目めそれやったら痛いの治りました。ふぅ。ビックリしたし痛かったし変な味したし。海のお水怖いね。
「いきなり飛び込むからビックリしたぞ。まったく、ユーキは海初めてなんだから気をつけないとダメだろう。慣れれば目を開けても大丈夫だが、ユーキにはまだ早い。いいか気をつけて遊ぶんだぞ。それに海の水はとっても塩辛いんだ。それも気をつけなさい」
お母さんが遊ぶ前に注意したでしょって。えぇ~!? いつ? いっぱいお約束したとき? 嬉しくてワクワクドキドキしてたのに、お母さんに怒られてしょぼんです。アンソニーお兄ちゃんが僕のこと抱っこしてくれます。
「気をつけて遊べば良いんだから、そんなしょぼんとしてないで、もう少し深い所まで行ってみよう。僕が抱っこしててあげるから」
お兄ちゃんに抱っこしてもらったまま、どんどん深い所に入っていきます。海のお水は透明でとっても綺麗です。
「おしゃかなしゃん!!」
お兄ちゃんの足のところ、お魚さんが泳ぐのが見えました。今は小さいお魚さんばっかりで泳いでるの可愛いけど、もっともっと深い所に行くと、おっかない僕達のこと食べちゃうお魚さん魔獣がいるんだって。僕それ聞いてお船は大丈夫なのか聞きました。だってお魚さん魔獣が攻撃してお船に穴が空いちゃったら大変です。
お船には物を売る人や、お家に帰る人や来る人、それからお魚さん獲ったり、街の騎士さん達みたいに、海の安全を守ってる人達が居ます。でもその他に船を守る人達がお船には乗ってるんだって。
冒険者さんが守る人だったり騎士さんが守る人だったり、でも魔法が上手にできる人が多いです。あとねリズばぁばみたいに弓が上手な人も多いの。お船の上で戦うときは、その方が戦い易いんだって。でも剣で戦う人もいて、その人達のおかげでみんな安全にお船に乗って移動できます。
僕達はくろにゃんやモリオンがいるから、すぐに移動できちゃうから安全だねってお兄ちゃんに言ったら、お兄ちゃん困ったお顔して笑ってました。
砂の所に戻ったらルトブルが、カメさんルトブルに変身してくれました。お兄ちゃんに乗っけてもらって、ルトブルが海に入りました。お兄ちゃんが僕のこと支えてくれながらルトブルが海を泳いでくれます。
「ふおおおお!」
「面白いね。ユーキ僕これ好き。ルトブルありがとう」
『ふわふわしてるね。それにユラユラ』
みんなニコニコです。ルトブルのお腹のところ見たら、とっても小さいお魚さんが集まってました。お魚さんも暑いの嫌なのかな? ルトブルのお腹の下なら太陽さんから隠れられるもんね。
たくさんルトブルに乗せてもらったあとは、今度はお砂で遊びます。さらさらのお砂の所は熱いからちょっと海のお水で濡れてるお砂の所で遊びます。じぃじがスコップ持ってお砂で何か作り始めました。じぃじお洋服濡れちゃうよ。そう言ったらパパパッて上のお洋服だけ脱いで、また作り始めました。上のお洋服じゃないよ。ズボンのことなのに。でも…、じぃじの体、やっぱりお父さんよりもアシェルよりも大きいねぇ。
最初に大きなお砂のお山作ったじぃじ。今度はお山のお砂をスコップでカリカリ、ザリザリ削ります。お山作ったんじゃないの? どんどん削っていくじぃじ。
「おお…おおおおお!?」
「へぇ~凄いね」
「オレ細長い山にするのかと思ったぞ!」
じぃじが砂のお山削って作ったのお砂のお城でした。ボルフィスのお城みたい。なんで作れるの。凄い凄い! みんなで頭の上で拍手です。
じぃじがニコニコお顔でまた別の物作り始めました。次は何かなぁ。今度は横に長いお山作ってそれをガリガリ。
「ふおおおおお!! マシロでしゅう!」
じぃじ今度はお砂のマシロ作りました。なんで、なんで作れるの? 僕、ルドガーじぃじからお山の作り方教えてもらって、たくさん練習しました。やっとちょっと大きなお山が作れるようになったのに、じぃじはいろんな物作っちゃいます。僕達ずっと拍手しちゃいました。じぃじのお顔、ずっとニコニコだったよ。
たくさん遊んでお昼になったから遊ぶのは終わり。お店通りでお昼のご飯食べたらまた戻ってきて遊びます。戻ってきたら何して遊ぼうかなぁ。




