241川の魔法で魔獣を静かに
「その笑いは…。ユーキさぁ、お父さんと一緒に下へ下りよう。」
お父さんが僕のこと抱っこしようとしました。僕お父さんの抱っこ好きだけど、今僕良いこと思いついたからちょっと待ってです。僕お父さんのお手てからしゅるって抜けて、マシロとエシェットの所に行きました。それで2人とお話しです。
「えとえと、ルトブルのみじゅのまほうで、まじゅうみんなしじゅかになる?」
「ああきっとな。」
「ぼくのみじゅのまほうもなるでしゅか?」
「そうだな。ユーキの魔法でも静かになるかもしれないな。」
ほら僕の水の魔法でも静かになるかもってエシェットが言いました。僕もっと笑っちゃいます。ふへへへへ。
お話し合いに入ってきたお父さんが僕にダメって言います。僕お父さんに魔法のことまだお話してないよね? 何で分かったのかな?
僕お父さんにザクスさんに魔法見せることや、お母さんが早く帰ってこれるって、一生懸命お話しました。マシロもエシェットもみんなうんうん頷いてくれます。
「マシロ。くろにゃん。お前達は止める係だろう。周りにはたくさん人が居るんだぞ。何かあったらどうする。」
「今も我らの結界がオリビア達を守っている。さらに強力なものを張れば大丈夫だろう。幸い今ここには我々しか居ない。主が魔法を使っても問題ないだろう。」
マシロ達とお父さんのお話し合いなかなか終わりません。僕みんながお話し合いしてるとき、モリオンに水の魔法石出してもらいました。くろにゃんとモリオン2人に魔力石持っててもらったんだ。
あのねくろにゃんとモリオン、2人ともおんなじ物いろいろ持ってもらってます。おもちゃも絵本もお菓子も魔力石も。くろにゃん時々エシェット達いろいろな所に連れていくから居なくなっちゃいます。そしたら荷物もくろにゃんが持っていっちゃうの。だからマシロがモリオンも同じ物持ってたら、くろにゃんが居なくなっても大丈夫だろうって。
だから今、お父さん達とお話し合いしててくろにゃん忙しいから、モリオンに魔力石出してもらったの。
「ちょっとちょっと待ってユーキ。まだ父さん達話してる途中だから。何で魔力石用意してるの。」
お兄ちゃん達がまだ用意ダメって言います。だってお話し合い終わったらすぐにできるように準備してた方がいいでしょう?
ウシさん魔獣がお兄ちゃん魔獣と近寄って来て何するのか聞いてきました。僕が魔法のことお話したら2人とも面白そうだから見てみたいって。
やっとやっとお父さん達のお話し合いが終わって、お外に居る騎士さんや冒険者さん達がみんな街の中に入ったら魔法使ってもいいって言いました。
「エシェットは街に皆が入ったら結界を絶対に張るんだぞ。絶対だ。」
みんなが街に入ったら、エシェットが見えなくなる結界を張って、絶対に街の人に僕の魔法見せちゃダメって。見せるのはザクスさんとクインさんとギャレットじいじだけにしなさいって言われました。
「何だ。そんなにユーキの魔法は凄いのか? よしユーキしっかり俺に見せてくれよ。」
「ザクスやめてくれ。はぁ私は心配だ。」
クインさんもギャレットじいじも魔法使えて凄いって言ってくれたよ。よし! 僕頑張るぞ、ふんっ!! ふんって力入れたらリュカ達が笑って僕のお鼻突きます。僕のお鼻のお穴膨らんで面白いって。シルフィーも真似してふんってしたら、シルフィーのお鼻の穴も膨らんでみんながもっと笑いました。もう、僕力入れて魔法頑張ろうとしてるのに邪魔はダメダメです。
お父さん達がみんなを呼びにいくまで僕達壁の上で待ってます。お兄ちゃん達は一緒だよ。待ってるときみんなでどんな水の魔法が良いかお話し合いです。僕自分で好きなお水の魔法出来ないけど、雨みたいにパラパラ降ってくるのや、ハロルド達追いかけるのや、ボールみたいなのがあります。
僕はボールみたいなのがいいです。それで僕がザクスさんにもらったデコボコボールみたいにいろんな所に飛んでいかないかな。シルフィーもボールでリュカとディルは雨。キミルとモリオンはハロルド達のです。ホプリンは全部がいいって。
僕達がお話し合いしてたら、エシェットが別のもあるぞって言いました。別の形の水の魔法があるみたいです。どんなのかな? 僕新しいのも見たいな。でもそれできるか分かんないもん。
「なに、失敗しても結局は水が魔獣達にかかるんだ。それなら練習したっていいだろう。ユーキ、家に川が流れてるだろう。あれを思い出すといい。魔法は自分が考えた形にすることができるんだ。オクタビオにはまだ教えてもらっていないが今日は特別だ。我が見ていてやるから川のことを考えてみろ。」
「はいでしゅ!」
「ちょ、ちょっと、勝手に話進めないで。いつもの魔法でいいんじゃない? ユーキだって少しは慣れてるはずだし。ね、ユーキいつものにしよう。」
「ふへへへ、かわのまほう、たのちみでしゅう。うまくできるかなぁ。」
「あ~あ、これはもうダメなやつだな。エシェット、後で父さんに絶対叱られるぞ。俺達知らないからな。」
たくさん待って、やっとお父さん達が壁の階段上ってくるのが見えました。僕はエシェットに抱っこしてもらって魔獣達がよく見えるようにしてくれました。あと、今日はエシェットが魔力を溜めるお手伝いしてくれます。お父さん達が上ってきてもう用意してるのかって笑いました。それからもう魔法やってもいいって。僕は魔力さんによろしくお願いしますします。
「あ~とうさん。笑ってる場合じゃないよ。」
「は? 何だ、今度は何をしたんだ!」
「したって言うか、これからやるって言うか…。」
「ま、待てユーキ! ちょっと待て!」
うんと魔力はコップにちょっとだけ…。僕が魔力溜めようとしたらエシェットが今日はコップにいっぱいで良いって言いました。そう? じゃあ今日はコップにいっぱい魔力溜めよう。コップにいっぱいだから失敗しないはず…。あっ、う~んちょっとだけ出ちゃった。でもちょっとだけだよ。この前魔法使った時よりも溢れてません。エシェットに聞いたら大丈夫って。だから水の魔力石に魔力流しました。
どんどん魔力石に魔力が入っていって全部入りました。石が光って水がいつもみたいに上にどんどん上がっていきます。大きな大きな水のボールができました。エシェットがお水抑えててくれるから川のことを考えろって。川、川。お家に流れてる川。
「ふむ。初めてだが上手くいったようだ。ユーキ見てみろ。」
エシェットに言われて僕水のボールの方見ました。僕考えてて水のボール見てませんでした。
水のボールはもうボールじゃなくて平べったくなってます。それでチョロチョロ魔獣達の方にお水が落ちてました。
「ユーキ上手くできたぞ。よし我は抑えるのをやめる。行くぞ!」
エシェットが足をパタンってしたらお水が全部ダアァァァァって落ちていって、それからザババババッ!! って魔獣達の方に流れました。壁の周りに居た暴れてた魔獣達がお水で流されます。それでエシェットとルトブルが張った結界にどんどんぶつかって、どんどん魔獣の上に魔獣が乗っかって、大きなお山ができました。
「ふおおおおお! しゅごいでしゅ!! かわのまほうおもちろいでしゅう!」
僕達みんなで拍手です。お水に流されてお山になった魔獣達はみんな暴れなくなって、それからお山にならなかった魔獣達も、そのお山見てみんな静かになりました。マシロが立ち上がって僕のお顔すりすりしてくれます。
「主うまくいったぞ。皆主の魔法のおかげで静かになった。もう街を壊したりしない。」
って。それ聞いて僕達もう1回拍手です。あっ、ザクスさん僕の魔法ちゃんと見てくれたかな? 僕の魔法かっこ良かった? 僕ザクスさんの方見ました。そしてらザクスさんもクインさんもギャレットじいじも、お父さん達もウシさん魔獣達もみんな動いてませんでした。ボケってお顔して壁のお外見てます。
僕お父さんのことツンツンします。お兄ちゃん達のも。
「とうしゃん、どちたでしゅか? まじゅうみんなしじゅかになったでしゅよ。」
僕がそう言ったらお父さんがビクってして、僕見てエシェット見てそれから叫びました。
「何だこれは!!」
そのあとお父さんずっとエシェットのこと怒ってました。それから僕にもう川の魔法はダメって言ったの。え~、僕とっても面白かったのに…。ディル達も少しだけブーブーです。
お父さんがエシェットのこと怒ってるとき、ザクスさん僕のこと凄いって褒めてくれました。それからありがとうしてくれました。えへへへへ。でもザクスさんももう川の魔法はダメって。川の魔法は暴れてない魔獣とか他の小さな魔獣や妖精さん虫さんとか、悪いことしてない子達も流しちゃうかもしれないからって。そっか。リュカ達みたいに小さいとお怪我しちゃうかも…。うん。それはヤダから川の魔法やめよう。マシロ達がいいよって言ったらにしよってみんなでお約束しました。
「それもちょっと違うんだが…。まぁとりあえずはそれでいいか。なぁウイリアム。」
「ザクスすまない。上手く話してくれて。さて、魔獣達は静かになったものの、これからどうするか…」
お父さんがそう言ったら、下から僕のこと呼ぶ声がしました。とっても大きな声だから壁の上に居るのに聞こえたの。




