表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/645

プロローグ

「あんたのせいで…、あんたのせいで!」

 僕の記憶はここで途切れました。


 次に気がついたのは、真っ白いお部屋の中。


「ここはどこ…?」


 真っ白いお部屋の中、僕はふわふわ宙に浮かんでました。おお、凄いね。僕飛んでる。このお部屋どうなってるんだろう。きょろきょろいろいろ見渡したけど、何にもないお部屋です。その時突然声が聞こえました。


「僕が、ここに呼んだんだよ。ここは、僕が君のために用意した部屋です。」


 ビクってしたよ。だって突然なんだもん。しかも声だけで、人の姿はありません。


「誰…?僕はどうしてここにいるの?」


「僕は君たちの世界でいう神様だよ。それでね僕、君に謝らなくちゃ。ごめんね、せっかく君の魂は、光り輝くことのできる魂だったのに、僕の加護がちゃんと働かなくてこんな事に…。」


 神様?神様って確か、みんなを見守ってくれる人だって、絵本に書いてあった。その神様が、姿は見えないけど、今ここに居て、僕をここに呼んだって言ってます。

 それでね、僕なんとなく気付いたんだ。どうしてか分からないけど。でも、一応神様って言ってる人に聞いてみたんだ。もしかしたらって思って。


「もう、お母さんの所に、戻れない?」


「…うん。」


 やっぱりそうなんだ。もうお母さんには会えない。あんまり一緒には居られなかったけど、それでも僕の好きなお母さん。


「僕ね、お母さんの言いつけ、頑張って守ったんだ。でもお母さん、笑ってくれなくて、いつも疲れた顔してて、僕、お母さんに何にもしてあげられなかった…。」


「そんなことはないよ。君は小さいながら、やれることはやったんだ。胸を張っていいんだよ。それに、今まで頑張ってきた君に、僕からプレゼントがあるんだ。」


「プレゼント?」


「そうだよ。受け取って貰えると、嬉しいんだけどな。」


 僕はそう言われて、少し考えました。

 今まで1度もプレゼント貰ったことなかった。お母さん、僕は役に立たないからプレゼントなんてないって。ずっとそうだったんだ。それにね、勝手にプレゼント貰うのもダメだって。もうお母さんには会えないけど、約束破ってプレゼント貰っても大丈夫なのかな?


 そう思ったけど、心の中では少しだけど、ワクワクな気持ちがあって…。僕、プレゼントもらってみたいな…。


「神様、僕、プレゼントもらっても、お母さん怒らないかな?」


「もちろん!なんてったって神様からの贈り物だからね!」


 お母さん怒らない?本当かな?でも神様が言うなら、本当なんだよね。だったら。


「ん~…。僕、プレゼント貰ってみたい!」


 僕の言葉を待ってたみたい。神様の元気の良い声が聞こえました。


「よし!決まり!じゃあ、説明するから、よく聞いてね。今まで頑張った君は、これから君が幸せになれる世界へ行くよ。今までと別の世界。そこで新しい生活を始めるんだ。もちろん君がとっても楽しく過ごせる世界だから安心してね。」


「別の世界?」


 どんな所に行くのかな?今まで僕が住んでた所みたいな所かな?それとも全然違う場所なのかな。神様楽しいって言ってるし、僕、楽しいならどんな所でもいいや。


「そう。その世界で、君がたくさん笑顔で居られるように、今度こそ必ず、僕の加護が君を守るから。」


「加護?」


「まだ君は気にしなくていいよ。それよりもまずは、別の世界を楽しんで。ああ、そうだ。新しい生活を始める君に、もう1つプレゼント。君はワンちゃんとネコちゃん、どっちが好きかな?」


 プレゼント、1つじゃなかった。2つも貰っちゃった。ワンちゃんかネコちゃん、僕にくれるって。別の世界で一緒に遊べるよって言われました。初めてのプレゼントが、2つも貰えるなんて、とっても嬉しい!それに僕、動物好きなんだ。いつも動物の本読んでたんだよ。

 うんとね。僕はワンちゃんがいいかな。近くのお家で飼ってたワンちゃん、僕大好きだったの。


「じゃあ、君にワンちゃんプレゼントだ。向こうの世界でワンちゃん待ってるからね。起きたらすぐ会えるよ。じゃあ、これから君を別の世界に送るからね。そうそう、大きくなったら、教会に遊びに来て。」


 大きくなったら?すぐじゃなくて良いのかな?


「うん。分かった!」


「いい返事だ!じゃあこれから君が生活する別の世界へ、出発!」

 神様の掛け声とともに、僕の記憶は途切れました。そして、記憶が途切れる瞬間、僕は神様の声を聞いたよ。


「あ!間違えた!」


 ………え?




「ああ~、また失敗しちゃったよ。まあ、近くだし大丈夫でしょう。」


「何が大丈夫だって?」


「げっ、ルーカス見てたのか。」


 いつのまにか、神様仲間のルーカスが、僕の後ろに立ってた。


「心配で来てみれば、お前は何をやっているんだ!彼らがあの子を発見出来なかったら、どうするつもりだ!」


 相変わらずの心配性だな。だいたいルーカスはいつも真面目すぎるよ。いつも僕のこと確認しに来ては、注意ばっかりしてくる。


「大丈夫だよ。彼もつけたしね。」


「はあ~、このことは、皆にも伝えるからな。」


「そんな~!」


「うるさい!全くお前と来たら…。」


 ブツブツ文句を言いながら、ルーカスは消えていった。ワザとやった訳じゃないのに、またみんなから文句言われるよ、面倒くさい。

 まあ、一応彼は新しい世界へ送ったし、取り敢えずは、第1段階クリアかな。僕は、彼がこれから送るだろう、新しい生活を思い浮かべて、ニヤニヤ笑っちゃった。


「高橋勇輝くん。別の世界で、今度こそ幸せに。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ