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優しい家族と、たくさんのもふもふに囲まれて。〜異世界で幸せに暮らします〜  作者: ありぽん


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122お城に入りましょう。

 馬車が止まりました。僕は窓からお外見ます。何にも見えません。どうしていつも、僕の座ってるほうは、お家とかお城とか見えないの。反対側ばっかり。


「失礼します。」


 そう言って誰かがドアを開けました。ドアの前には1人の男の人が立っていました。お父さんよりも若い人です。


「案内をさせて頂く、エイムと申します。よろしくお願いいたします。早速ですが、お部屋に案内させて頂きます。荷物は後程、お部屋に運びますので。では。」


 皆んなで馬車を降ります。目の前に大きなお城がありました。


「きゃあああああ。おちろでしゅう!!」


 僕はお城見れて大興奮です。お父さんが帽子押さえてて走れないからジャンプです。


「すまないが少しだけ待ってもらっていいか。息子がちょっと落ち着くまででいいから。」


「はい。大丈夫ですよ。」


 エイムさんが僕と目を合わせてしゃがみました。それからニッコリ笑って、


「お名前は。」


「ユーキでしゅう!おちろ、かっこいいでしゅう!!」


「ユーキ君。初めまして。ユーキ君はお城見るの初めてですか?なら、これからもっと楽しいことがありますよ。これからお城の中に入ります。それから、今日からお城にお泊りするんですよ。」


 僕はちょっとだけ考えました。お城に入れる?お泊まりする?お父さんのお顔見て、皆んなのお顔見ます。じいじが近づいて来て、この前じいじが言ってた、もっと楽しいこと、お城にお泊まりのことだったって、教えてくれました。

 僕はまたまた、さっきより大興奮です。


「きゃああああ、おちろはいれるでしゅうううう!!おとまりでしゅううううう!!」


 ぴょんぴょん、ぴょんぴょんが止まりません。あんまりぴょんぴょんし過ぎて、帽子が喉にグイってなっちゃって、咳が出ちゃいました。


「ケホケホ。」


「あ~もう。」


 お父さんが抱っこしてくれて、背中ポンポンしてくれます。エイムさんが謝ってきました。何で?


「すみません。あまり喜んでいたので、もっと喜ばせてあげようと。興奮させ過ぎてしまいましたね。」


「いや。言ってくれて助かった。知ってるのと知らないのじゃ、違ってくるだろうしな。それに咳のおかげで少し落ち着いたみたいだ。さあ、案内を頼む。」


 落ち着いた僕を、お父さんがマシロに乗せました。マシロに乗って大人しくしてなさいって。お父さんは、途中で誰かに会って、挨拶しないといけないから、今抱っこ出来ないみたいです。僕の周りにディル達が集まります。バラバラはダメダメです。お城に入るからね。きちんと並ばないとね。だって、お城には偉い人がたくさんいるんでしょう。絵本に書いてあったもん。


 エイムさんが先頭で、お父さんじいじ、ばあばにお兄ちゃん達、最後が僕達と隣にお母さんです。いよいよお城の中に入ります。

 大きな大きなキラキラなドアを、そこに立っていた騎士さん2人が開けてくれました。何かドア開けるの、とっても大変そうでした。力いっぱいギュウウウって押してます。エシェットだったらすぐに開けられるかな?マシロも大丈夫そう。次に開けるときは手伝ってあげよう。

 ドアが開いて、いよいよ中に。


「ふわわ、ふわわわ。しゅごいでしゅう!キラキラでしゅう!」


「ほらユーキちゃん。我慢よ。もう少しだけ静かにね。」


 ドア入ってすぐの玄関ホールは、それだけでも、お家が何個も入っちゃうくらい広かったです。奥の階段もとっても大きな階段で、その階段がキラキラ光ってました。階段だけじゃなくて、みんなみんなキラキラです。窓もね、とっても大きいし、飾りがいっぱい。よく分かんない物も、たくさん飾ってありました。鍋の蓋みたいなのとか、人か魔獣か分かんない銅像みたいのとか。


「ユーキ、あれ見て。あの絵のお爺さん、凄いブスッとしてるよ。もっと笑えば良いのにね。」


「あっちにも何か変な物、置いてるぞ。あれ何に使うんだろうな。」


「あれは…、きっとおなべでしゅね。さっき、おなべのふたみたいのあったでしゅ。」


「…後ろから、笑っちゃいそうな話が聞こえてくるんだけど。」


「ディル達と話してるんだよな。鍋って何のことだ?どれ見てそんな話になってるんだ。」


 僕達のお部屋に行くのに、真ん中の大きな階段を上がって行くんだって。今はマシロに乗ってるから大丈夫だけど、自分で歩くときは頑張らなくちゃ。たくさんの階段上って、やっと僕達のお部屋に着きました。お父さんとお母さんと僕達は一緒のお部屋。お兄ちゃん2人のお部屋。じいじ達のお部屋です。

 

 お部屋の中に入って、また興奮です。お部屋もとっても広くてキラキラ。僕のお部屋が4つくらい入っちゃいます。そして何と、マシロ達のベッドもありました。マシロとくろにゃんには大きなクッションで、シルフィーには可愛い花の絵が描いてあるクッションが入ってるカゴで、ディルとリュカとキミルには、小さな小さなお父さんの手のひらくらいの、ふわふわなクッションが用意してありました。エシェットには、僕達のお隣に、ちゃんとベッドが置いてあります。


「お昼をお持ちします。その時に、今日の予定をお知らせします。皆様の分は、こちらのお部屋にご用意致しますか?」


「ああ、そうしてくれ。」


 エイムさんがお部屋から出て行く時、このお部屋は騒いでも大丈夫なお部屋だから、たくさん遊んで良いですよって。それからお部屋に後で、おもちゃ持って来てくれるって。やったあああ!!

 エイムさんがお部屋を出て行ってすぐ、皆んながお部屋に集まりました。それから使用人さんが机と椅子と、お昼ごはんを運んできました。ちゃんとマシロ達の分も用意してくれたよ。

 お城見れるって喜んでたのに、中に入れて、お泊まりできるなんて、僕とっても楽しいよ。


(ウイリアム視点)

 お城を見た時のユーキの興奮は予想していたが、それ以上だったか。あまりの興奮に帽子が喉を締めて、咳までしていた。

 城の中に入り、移動しはじめてすぐ、後ろから声が聞こえてきた。オリビアに静かにするように言われて、多分小さな声で話しているつもりなんだろう。いつもより小さい声だが、それでも興奮しているせいで、先頭にいる私にまで、全部声が聞こえてきた。多分ディル達と話しているのだろう。


「あれは…、きっとおなべでしゅね。さっき、おなべのふたみたいのあったでしゅ。」


 思わず笑いそうになってしまった。笑いを堪えていたら、前を行くエイムがこちらを見て、苦笑いしていた。


「あれの事ですね。世界一とも言われる、陶芸家の作品ですが、確かに子供が見たら、鍋ですね。それに鍋の蓋は、きっと1番手前にあった、盾の事ですね。鍋と蓋。面白いですね。」


「すみません。」


「別に良いと思いますよ。内緒の話ですが、今の話聞いてそう思いましたから。」


 子供は素直な感想を言うからな。仕方ないんだが。まさか鍋と蓋だとは。

 それから部屋に移動して、お昼を用意してもらった。食べている時にエイムから、これからの予定を聞いた。


 夕方までに謁見の準備をし、謁見では今回のルオンの話がメインで話される。それからルオンの脅威を止めたと言う事で、小さいパーティーが開かれるらしい。その後に、個人的な国王との話合いの場が設けられている。ユーキの話はそっちでだろう。全てが終わるのは、だいぶ遅い時間になるだろう。ユーキは起きていられるだろうか?


 昼食を食べ終わり、これから夕方までに用意をしなければ。着替えや、持ち物の確認に、後はアレの保管をどうするかだが。私が考えているとちょうど、エイムがその話に触れてきた。


「アレはどこにお持ちですか。こちらでお預かりし、謁見の時に運び入れましょう。」


「そうだな。悪いが預かる場所まで連れて行ってくれるか。くろにゃんついて来てくれ。オリビア達は夕方までに用意を。まあ、私もすぐに戻ってくるから、大丈夫だとは思うが。少し休憩したら始めてくれ。」


 そう言うと、くろにゃんと共に、ある部屋へ移動した。そこには何人か男がいた。どうも彼らがアレを用意するらしい。くろにゃんにアレを出してもらう。くろにゃんが影からアレを出してきた。


「本当に、本当にルオンを退治できたのですね。ありがとうございます。」


 エイムが私にお辞儀をしてきた。

 それから私は、謁見に必要な物が、ルオンに関して他に何かないか聞き、確認し終わると部屋に戻った。部屋に戻ると、オリビアがユーキを抱っこして、ポンポン背中を叩いていた。昼寝をさせようとしているらしいが、ユーキの目はらんらんだ。それでも少し経つと、すうすうと寝息をたて始めた。これで少しでも夜起きていてくれれば良いが。

 どんな話合いになるだろうか。少し不安があるが、父さんをリチャード国王を信じて、話合いをするしかない。ユーキのこれからのために。

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― 新着の感想 ―
[一言] >>世界一とも言われる、陶芸家の作品ですが、確かに子供が見たら、鍋ですね。 世界一の陶芸家「土鍋やで」
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