102 忘れてたよお頭。あれ?洞窟どうしたの?
「もう、みんなのこと、いじめちゃめっでしゅよ!ぼく、ぷんぷんでしゅ。」
「…分かった。」
「ごめんしゃいでしゅよ。」
「…ごめんなさい。」
やっとエシェットが僕の言うこと聞いてくれました。ディル達も怒ってくれたからかな。でもこれで皆んなエシェットに虐められないよね。小さくなっちゃったエシェットの頭、なでなでしてあげました。今のエシェット僕と同じくらいの大きさです。怒られて小さくなっちゃったんだ。小さいエシェットにマシロが話かけました。
「それで、あいつはどうするのだ。我はあいつと、そうだなあいつの仲間は消しても良いと思うんだが。」
あいつ?誰。皆んなが見てる方見たら、何か固まってるお頭が居ました。あそこで何してるの?あれ、そう言えば僕、あの悪いお頭にここに連れてこられたんだった。僕、お頭のこと忘れてたよ。いつの間にかお父さんと一緒に居たから。そうだ!洞窟には小さい魔獣達が捕まってて。早く助けてあげなくちゃ!
「とうしゃん、マシロ、エシェット、どうくちゅにたくしゃん、ちいしゃなまじゅういましゅ。ちゅかまってるでしゅよ。たしゅけてくだしゅい。えっと、おかしらのうちろの…。???」
後ろの洞窟。そう言おうとして、僕考えちゃいました。僕の見た洞窟と何か違います。洞窟の周りの木とか岩とかないです。でも洞窟の入り口はあります。
「あーあ、考え込んじやった。」
「そりゃあ、あれだけ形変わってればな。」
「ユーキユーキ、あれねあのお頭と、仲間の悪い奴等が、攻撃して、いろんな所壊したんだよ。本当悪い奴等だよね。」
ふおお、あれ、お頭達が壊したの?皆んなお怪我してないかな。早く助けに行ってあげなくちゃ。僕がフンスッて、気合を入れてる後ろで、リュカがエシェットに何か言ってたけど、聞こえないからまあいいか。エシェット、あの悪い人達はやっつけて良いんだからね。
助けに行こうとしたら、マシロがちょっと待てって、捕まってる魔獣助けるのに、やる事があるんだって。
「エシェット、盗賊が居るのはあの林と、湖の所だけだろう。そこの連中を倒せば、あっちは勝手にどうにかするだろう。主が消えれば契約も無効だ。それをやってからの方が良いだろう。」
「ふむ。そうだな。よしユーキ。我は今から攻撃するが、悪い奴らだけ攻撃するから安心していいぞ。」
そう言ってまた大きくなるエシェット。それからまたあの白い光が溜まって、溜まってからどっかに飛んで行きました。
「よし、これで良い。」
「ちょっ、ちょっと待て!どのくらい破壊したんだ!」
お父さんがとっても慌ててます。皆んな忙しいね。怒ったり謝ったり慌てたり。エシェットはごく1部って。良く分からないけど、悪い人達やっつけたんでしょう。これで安心だね。あとは洞窟の魔獣助けて、お頭やっつけたら完璧です。
何かお疲れ顔のお父さんの抱っこから下ろしてもらって、マシロの背中に乗ります。洞窟の案内は任せて。
固まったまま動かないけど、ぎゃあぎゃあ言ってるお頭の横を通って、洞窟に入ります。黒ねこさんも呼んだんだけど、黒ねこさんも動けないみたい。お頭がそう言ったからダメなんだって。皆んな助けたら、すぐお友達になるから待ってて。
中に入って確認しながら歩いて行きます。洞窟の中は壊れてなくて良かったです。あの変なお部屋まで行って、マシロが入り口壊してくれて、皆んなが僕たちのところに駆け寄って来ました。
「ユーキ!!」
「みんな、だいじょぶでしゅか。みんなたしゅけにきてくれたでしゅ。」
「もう、おうちかえれりゅ?おとうしゃん、おかあしゃんにあえりゅ?」
「はいでしゅよ。もうかえれるでしゅよ。」
「わーい!やったー!!」
マシロとエシェットが、後で皆んな連れて行ってあげるから、大人しく待ってるように言いました。皆んなお返事して、洞窟から出て、洞窟から少し離れた所で待っててもらいました。
最初はね、お父さんがマシロと一緒に、危ないかも知れないから魔獣達と待ってろって言ったんだけど、お頭やっつけたら、黒ねこさん達とお友達になるんだもんね。だから、一緒にいるって言ったんだ。ずっとそう言ってたら、一緒にいても良いけど、少し離れてなさいって。だからお頭の所に戻って、皆んなが見える所で、アシェルと一緒に待ってました。
黒ねこさん、お名前ないって言ってたよね。待ってる間に黒ねこさんのお名前考えようっと。
<マシロ視点>
ユーキが殴られたのを見た時は、我も頭に血が上ったが、とりあえずエシェットも落ち着いて、何とかなりそうだ。エシェットが破壊した森や林を、リュカはしれっとこの男のせいにしたが、まあ、それで良いだろう。カシだからねって言っていたのは、気のせいにしておこう。
男の前に立ち、全員で男を睨む。男はエシェットの威嚇で動かなくなっているが、それでもぎゃあぎゃあ騒げているということは、それだけの力があるということだ。さすがに盗賊の親玉と言ったところか。
「さて、どうするか。」
「ふん、俺を殺すか。まあ、それが1番手取り早いからな。その猫もチビも自由になれる。」
確かにその通りだ。男を殺せば全てが解決だ。だが、そう簡単に殺してしまっては、ユーキにした事の罰を全然受けさせずに、楽にしてやるようなもの。それはダメだ。
「簡単に殺すとでも?」
エシェットがそう言えば、男もこう答える。
「それじゃあどうする?あのガキはこの猫達のことを、友達にするなどとほざいていたが、俺が契約破棄か死なない限り、あのガキの願いは叶わないぞ。まあ、俺は自分から契約破棄をするつもりはないがな。くくくくくっ。」
男は自分は殺されないとでも思っているのか、強気な声でこう言ってきた。何か良い方法はないものか。男を殺さずに罰を与え、契約も破棄させる方法が。
「まだあれが残っていたな。それにユーキなら。」
エシェットはそう言うと、ユーキを呼んだ。




