第4話 買い出しをする少年
―――ユグドラシル城下町商店街
「ねぇ、アオイさんは何歳?」
と、話しかけてきたアリシアちゃん。僕はおそらくの肉体年齢を答えた。
「へぇ~15歳か~私よりいっこ上だね!」
先ほど―――ヤック亭までは敬語交じりだったのにすっかりため口で話してくれている。ただ、僕の顔は少々引きつっていた。
「ねぇ、アリシアちゃん、その、後ろ向きで歩いてどうして人とぶつからないの・・・?」
そう、彼女は僕の方を向きながら、後ろ向きで歩いていて誰ともぶつかっていないのである。この子、すごい。
「んー?なんか、いっつも買い物行くから人とぶつからないようにがんばってるの!」
「そ、そっか・・・」
なぜだろう。すごく違和感だ。こんなかわいらしい子がもう社会に順応してる・・・!この世界の14歳はみんなこうなのか?
「あ!お店だよ!アオイさん!いこいこ!」
「あ!待って!」
やっぱり走っても人とぶつからない!?
「おじさーん!この野菜とこれとこれも、あ、この果物もくださーい!」
「はいよー!ってアリシアちゃんじゃねーか!相変わらず元気だな!で、そっちはお友達か?こらまたキレイなコだな~よっし、二人のかわいさに負けた!野菜はタダで持ってけ!」
「え、いいんですか?」
「おぅ、いいんだよベッピンさん!遠慮すんなって!」
「べ、ベッピンさん・・・」
「わー!おじさんありがとー!」
「おぅおぅ!またいらっしゃい!」
なんか息つく間もなく値引きと買い物がおわった!?あのコンビニの店長の田代さんですら一人当たり20秒ぐらいかかるのに・・・!(田代さんは毎日お世話になっていたコンビニの店長さん)
と、いうようなことがあと2,3軒あった。
「たっだいまー!」「ただいま戻りました・・・」
「おっ、おかえりー、買ったものは厨房に置いといてくれー!」
「はーい・・・」
「あの、アオイさん全部持ってもらってごめんね?すごい疲れてる・・・?」
「いや大丈夫だよ」
まぁ大丈夫ではないのだが。僕は荷物を置きながら思った。何より、アリシアちゃんの元気さに疲れた・・・なんて本人には言えないしね。
「いやー買い出しありがとう!二人とも。アオイ、あんたは休んできな。」
「あ~・・・すみませんがいいですか?」
「うん、休んできな!ていうか休みなさい!あんたすっごい顔してるよ!えっと二階の一番手前の部屋を使ってちょうだい」
「ありがとうございます・・・」
疲れ切っていた僕は、ふらふらと二階の部屋へ向かった。
―――ヤック亭二階 アオイの部屋
ふぅ・・・疲れた・・・。にしても転生初日からいろんなことがあったな・・・まぁそれは置いといてこれからどうするか、だ。
まず、この世界での第一目標は「愛情」を知ること。でも、この世界のお母さんは僕を捨てたんだよな。まぁきっと何か理由があったのだろうけど・・・前世はご飯こそ一緒に食べなかったけど捨てられてはいないし・・・まぁ次だ。
第二の目標、というほどではないが前世で読んだラノベにあった三つをやろう。
「無双」「ハーレム」「世界の平和」
正直最後だけ難易度がおかしいが、ま、頑張ろう。
目下の目当てはこのスキルやメニュー、この世界について知ること、だな。
さて、やりたいことも決まったしひと眠りしよう。やることがないときは寝る。これが世界の常識だ!
主人公は前世では暇なときは寝ていたそうです。異世界でも暇なときは寝ます。