第2話 成長(強制)する少年
ここから1人称視点
なんかカウントダウンし始めた・・・?
〔・・・7,6,5・・・〕
は?激痛とか言われても・・・
〔4,3秒前・・・〕
〔2、1、プログラム開始。〕
うぇ!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
その痛みはまるで十何年分もの痛みが一気に押し寄せてきたようだった。
―――その瞬間、僕は声も上げられずに気を失った。
―――数十分後
「・・・ん?ここ、は・・・、そうか、なんか声が聞こえてプログラム?とやらで激痛が全身に走ったんだっけ?」
「てか、ん?こ、えが出てる・・・?そういえばさっき年齢がどうたらって聞こえたってことは・・・」
僕は近くにあった水たまりを覗き込んだ。そこには見知らぬ中性的な―――おそらく男―――子供が映っていた。
「は・・・?だれ?男・・・だよな?いや、そうじゃないな、うん。」
「まず、確実に今は赤ちゃんではない。さっきまでは動けも声も出せなかったけど、水を見る限り・・・最低でも前の世界の中学生ほどにはなってるな。」
僕は現状を軽く整理した。
まず、僕は森琳藍。前世で死んでこの世界に「転生」したはずだ。で、謎の声が聞こえてプログラムによって身体を前世の死んだときと同じ、15歳ぐらいにさせられたってことか。そして今の顔は中性的・・・と。それに水たまりが薄汚いせいで分かりにくいけど黒髪赤目・・・。赤目って血管が透けてるんじゃなかったっけ・・・?でも視界には異常なし、その他五感も問題なし・・・と。
〔スキル:推察を得ました。続いて、スキル:五感強化を得ました。〕
お、またスキル?を獲得した。これは、流れから察するに現状把握と五感の確認をしたのが原因だよな・・・。このスキル?はそんな簡単に手に入るのか。・・・じゃ。
僕は近くの棒を手に取った。
―――数十秒後
〔スキル:数学を得ました。続いて、スキル:化学を得ました。続いて、スキル:異世界語を得ました。続いて、スキル:描画を得ました。続いて、スキル:棒術Lv1を得ました。〕
・・・。ただ計算式と構造式、日本語の俳句、円を描いただけなのに。僕が今持っているスキルは何がある?
〔スキル:メニューを得ました。〕
・・・・・・。なんか、視界にいろいろ出た。えーと、上のほうには
NAME:(森琳藍) Lv:1 HP:110/110 MP:30/30
状態:空腹 現在地:不明 所持金:0
ひとまずこれがすぐわかる情報か。NAMEは名前だけど・・・なんで()なんだ?まぁいいや。で下のほうには
スキル ステータス マップ メニュー
の4つか。これ、どうするんだ?
僕は視線を「スキル」にやった。
〔スキル一覧(獲得順):求メル者・耐寒・飢餓耐性・推察・五感強化・数学・化学・異世界語・描画・棒術Lv1・メニュー〕
ん?この「求メル者」ってなんだ?
〔ユニークスキル:求メル者 効果:求めるものを手に入れやすくなる。対象が曖昧もしくはよくわかっていない場合確率は下がる。また、対象が他の所有物、あまりに規模が大きいものは手に入らない。〕
なる、ほど。・・・これについて考えるのは後にしよう。まずは街に出よう。この街やこの世界のことがいち早く知りたい。幸い、ここは裏路地だから街に通じてるはずだ。
僕は耳を立て、人のいそうな方へと歩き出した。