1話) 日常の終わり
ここは、どこだ?
今、俺は、どこにいるんだ?
見た感じ、洞窟らしき所に居る。
そして、右の手の甲に剣の周りに龍がとぐろを巻いているような紅く光る紋章が浮かんでいた。
「これは、いったいなんなんだ?……」
渚は紋章を左手で撫でながら一人考える。すると、
ドゴン!、ドゴン!、ドゴン!、
どこからか何かを殴るような音が響く
「一体どこから……なんなんだ一体……!」
嫌な予感がする。
目の前に光が指す。
何かが洞窟に入ってくる。
恐怖のあまり俺は目を閉じる。
何が起こるのか全く分からないまま。
、
、
、
俺はここでいつも目が覚める。
「ハッ……!」
ガバッと音がしそうなほどのスピードで起きる。
「また・・あの夢か。」
俺はいつからなのか、よくこの夢を見る。
どこかで見たような。
見たことないような。
渚が一人布団の上で考えていると、
「おにーちゃん!早く起きないと学校遅刻するよ~」
妹の朝緋が呼んでいる。
うちは母親が妹の朝緋を生んですぐ亡くなった。
俺はまだ小さかったから、母親をうっすらとしか覚えていない。
それでも、親父と、妹の3人で頑張って暮らしてる。
「おにーちゃん!起きるの遅すぎ!もう行くからね!」
そう言い放って朝緋は家を出た。
「俺もそろそろ準備しないとな……」
起き上がるのも億劫なほどの疲労感があるがベットからゆっくり起き上がり、部屋から出て階段を降りていく。
机の上に、朝緋の字で
(お弁当作ったから絶対持って行ってよ!)
と、書き置きがあった。
「さすが…ほんと良く出来た妹やわ。」
作りすぎたのか大量に置いてあった弁当の中身と思われるおかずをつまみながら、ふと時計を見る。
針は8時10分頃を指していた。
「て!時間やばっ!」
妹に感心してる場合じゃねぇ!
足早に準備し、弁当を忘れず鞄に入れて走って家を出る。
かくして、藤道 渚の一日が始まる。
渚は桜ヶ丘高校の生徒である。
普通科2年B組出席番号19番という普通の生徒
そして、桜ヶ丘高校は坂の上に建てられており、自転車でも、時間がかかる。
そこを渚は走って行く。
つまり、普通に遅刻ギリギリ又はセーフ。
「ホントに、ハァ、この坂、、ふざけんな、ハァ、遅刻、確定する」
━━ヤバい‼担任に課題増やされる……!
キーンコーン、カーンコーン
チャイムがなった。
滑り込む勢いで教室に入る。
渚は言う
「セーフ!」
教師が言った。
「アウト」
渚は泣きそうな顔で
「優しさ、ホシイ」
と、言う。
教師は、澄まし顔で断った。
そして、渚はある事件に気づく
課題をやっていない。
「やっばい……課題やり忘れた!」
ゆっくりとした足取りで背後に現る男の影。
「よっ!課題をやらずに遅刻した渚くん!」
そう言って近づくこの男は俺の悪友の石神 蒼真だ。
━━お前もしてないだろ。
「そんな怖い顔すんなよ。俺もやってないからさ!キラッ」
気付かぬうちに睨んでいたらしい。
てか、最後のキラって口で言うもんかよ……
ムカついた。蒼真の足を蹴った。華麗に躱された。
「俺に当てようとは百年早いわ!」
なんだこいつ……
「クッ、このサッカー部エースめ・・」
━━このやろう、許さん。
「君たち、朝からうるさい。ゆっくり本を読ませろ。」
「黙らないと、その口縫うぞ。」
本を読んでいた福原 南に怒られた。
南はこのクラスの委員長で、ルールに厳しい、そして、毒舌。コワイ。
「蒼真のせいだ!」
蒼真のせいにしてみる。
「いいや、渚!お前のせいだ!」
蒼真も俺のせいにしてくる。
「少しでも静かにできないの?あんたたち」
怖い顔で怒られた。
「すいません」
「すいません」
場所移動
「てか蒼真、お前俺に何の用?」
「用がなきゃ近づいちゃダメなんか?」
軽く笑っている。
「ダメ」
「まじか、まぁいいや」
「なんだかな最近、変な夢を見るようになってな」
そう言う蒼真はさっきと打って変わって少しだけ震えていた。
「なにがあった?」
慎重に聞いてみる。
「いつかさ、お前が話してくれた夢の話、あれにそっくりなんだよ。」
いつか俺が夢を見だした頃に一度だけ話したことがあった。
その時は二人で夢ってこえーって笑いあった。
「でも少しちがうところがあった」
「洞窟の中にいて、それで二の腕あたりに蛇のような紫色に光る紋章みたいなのが浮いてて……。そんな夢なんだが、お前の夢では、「手の甲に龍のような紋章みたいなの」なんだよな?」
そう聞いてきたから、朝の夢のことを思い出した。
「ああ、俺は手の甲に龍のような紋章だったよ。」
頭が少し痛んだ
「だからそれがわからなくて・・」
「お前の見た夢と俺の見た夢」
「違うのは・・手に浮かぶ紋章の模様と、色、浮き上がる場所なんだよな」
うん、と肯定する。
「なんで状況は同じなのに違うんだ?」
キーンコーン カーンコーン
「予鈴がなっちまったな・・」
「放課後にでも考えようぜ!」
と蒼真は言って、教室に戻っていった。
「俺も急がなきゃな。」
あまり、考えたくはないが……これがなにかの呪いとかなら……俺たちは……
そしてあっという間に時は進み放課後。
「てかさ・・ほんとに夢が同じなんてことがあるんだな」
そう言って下駄箱に歩いてく蒼真。
「そんなの俺も驚きだっつの。」
考えてもわからない。
「お互いに驚きだな」
よく分からなくなる。
「だな」
・・・・・・・・・・・・・
「あのさあ」
蒼真が声を出す
「なんだ?蒼真?」
蒼真は考えるようにゆっくり言葉を吐き出す。
「あれがさ、夢じゃなくて、さ 現実だったら…。」
・・・・・・・・・・・・・
「ん?なにあれ?」
蒼真が目の前の校舎の壁を指差しながら言う。
俺も気になって見てみる。
壁にワープホールみたいなのがあった。
よく見ないとわからないほど小さい。
「なんだ?これ?」
蒼真が言う。
「ワープホール的ななにかか……」
俺が言う。
「ワープ……ホール……」
「見た感じそうとしか見えなくね?」
「いや、まぁなんかグルグル回転してるし、なんか吸い込んでる感じあるけど……」
蒼真は不思議そうに指を近付けていく。
「つついて死ぬなよ……」
「あれ?」
さっきまで目の前にいた相馬が居なくなっている。
「え、」
瞬きひとつする間に蒼真が消えた。
「蒼真っ!?」
どこにも居ない、
まさかと思ってワープホールのある壁を見てみる。
まさか……この中に……?
「怖い……けど!」
「行くしかない……!」
指をゆっくりワープホールへと近づけていく。
目の前が急に真っ暗になった。
蒼真の呼ぶ声が遠くで聞こえる。
「おき・・!起・ろっ・・渚!」
バッと効果音がつきそうなほど、素早く起き上がった。
目の前に蒼真がいた。
よくわからん植物と俺の頭がぶつかった。
「痛っ!」
普通に痛い。
ジンジンする痛みだわ、これ。
「てかさ、ここ、どこ?何がどうなってんの?あのワープホールみたいなのに触ったらいきなり目の前が暗くなって・・・」
「蒼真さ俺よりも先に起きてたなら何か知らない?」
蒼真に聞いてみる。
「俺もよくはわかんないけど、一応ここって俺らの世界じゃない…よね?」
「だってそこらへんに見たこともない植物がいっぱい生えてるし、、ここ見た感じ森だし」
「てか、俺が起きたのお前のほんのちょっと前ってだけだぜ?」
「後、ここに来てそんなに時間はたってないと思う、夕方ぐらいだし」
とのことらしい。
で、俺はというと現実ではありえないほど大きな葉の上で横になっていた。
「まあ、簡単にまとめると、この世界に来てまだそんなに時間は経ってないと思うってことと
ここは私達の知る世界ではなくて、今、森?みたいなところにいるってことか~」
「要約するなら、まあそんな感じだろうな」
「まあ、でもまずはこの森から抜け出さなきゃな」
「でも、もうすぐ暗くなるだろ?むやみに動いたらよくわからん物に食われちまうかもしれねえじゃん」
「ウ〜ン、それもそうなんだけどよ…」
悩むなあ・・どっちにしたらいいんだろ。
ゴーン!ゴーン!ゴーン!ゴーン!
「なんだ!?鐘の音?どういうことだ?」
どこからこんな音が?
「わかんねえ事考えても仕方ないな」
「まあ一応まだ暗くなるまで時間はありそうだし。脱出を図るか」
蒼真が提案する。笑顔でニコニコしながら。
多分、蒼真の奴この状況がとても楽しいんだと思う。
脱出ゲームしてるみたいな感じなんだろうな。
「そうしよう」
俺も早くここから出たかったしその提案に乗った。
かくして、俺たちの森脱出が始まりましたとさ。
「…てか、俺たち男二人でなにしてんだ?」
「それは言わないお約束。」
あとがきでふ
はじめまして?
こんにちは?こんばんは?どっちでもいいか。
と、この度は「魔道具置き場の管理人」をご覧いただきありがとうございます。
で、今回は1話を投稿させていただきます!
随時変更していきます。すいません。話が変わるかも知れませんが、ホントにすいません
1話の内容は見ての通りです。
・・・・・・・はい
日常です。なにもない。そんな日常。
嘘です、異世界に行く日常はありません
あれ?おかしいな?目から汗が。
さてさて、今回はこのくらいで終わりますか。
ではまた次のお話でお会いしましょう。