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ルーシアに飛ばされました  作者: 岡田祐介
第二章 異世界ルーシア
4/10

元魔王とヘブンイレブン

 グエェッ! コケェッ! ブルワァッ!

 嗚咽して苦しんでいるかのような鳥の鳴き声で目を覚ました。願わくば、目が覚めた場所が病院のベット上で、尚且つ隣に並ぶベットで松土真楠の連中が気を失っているのを願おう、もしそうなっていれば俺は連中の顔に落書きしたり悪逆非道の限りを高校や大学の方へ報告したりできるのだが……。


「起きた?」


 ん? 女の声? それもかなり若いぞ! ばっと起き上がって声の主を見ると、何とも美く長い黒髪の女の子だった。小学生くらいか? にしたって、可愛いな。どこの子だ。


「怪我はないみたいだよ……大丈夫?」


 呆けていた俺に女の子は心配そうに声をかけてくれる。まぁ、ボロボロの布きれを着ただけの彼女と自分たちが居る馬小屋的なとこを見る限り日本ではないのだろう。まぁ……可愛い女の子に会えたし。


「ああ、大丈夫。ありがとう……えっと、名前は?」

「あたしは魔王、魔王コゼット」


 魔王コゼット? 魔王ってのはあれか? 金持ちの貴族的な?


「俺は山下浩一、よろしく」

「……?」


 あれ? 何かコゼットが急に俺を警戒し始めたんだけど。


「ど、どうした?」

「どうしたって……怖くないの? 魔王だよ?」


 そりゃ魔王って響きはあれだけど


「変わった名前だなぁー、とは思うけど別に怖いとか思わないなぁ」

「へぇ……変な人」

「変って……そうだ。コゼット、ちょっと俺を助けてくれ」


 何と情けない。無一文武器無しの旅初心者の俺は、今スライムが現れてもボコボコにされるだけだろう。なれば、ここは情けなかろうと何だろうと、まともに会話が出来そうなルーシアの人間に助けを求めなければ!


「魔王に助けを求めるの?」

「ああ! 俺は金無し武器無しの旅初心者だ。俺は何か成さなきゃならないんだ。どうすればいい」

「どうすればいいって……何するか知らないし」


 まぁそうだよなぁ……何をしなきゃならんのかなんて自分でもわかってないんだから。


「とりあえず……ギルド?」

「ギルド? ギルドとかあるの?」

「う、うん。まずはギルドに登録すれば武器とある程度の資金がもらえるよ」


 そうか、何と便利な……よし!


「コゼット! ギルドまで案内してくれ、頼む!」

「だ、ダメ! お、お仕事あるから!」

「あ、ああ、そうか」


 何だ? 仕事があるって言った時のコゼット顔、警戒とかそういうのとは違う怯えたような……いや、今は自分の事だ。みすぼらしい格好も変えたいし


「ギルドは街の中だよな。ここから近い?」

「出たらすぐに……見えると思う」

「教えてくれてありがとうな」


 俺はそう言って立ち上がって馬小屋から出て、すぐそばに大豪邸があるのを見つける。恐らくはこの豪邸の主が馬小屋の所有者だろう。にしたって、何でコゼットはこんな馬小屋で寝泊まりしているのだろうか。

 

「行ってらっしゃい」


 またね、と付け加えてコゼットは街に向かう俺を見送ってくれた。落ち着いたらもう一度訪ねてみよう、忘れはしない……この世界に来て初めて助けてくれた恩人。





 まさに中世ヨーロッパな町並み「おぉ! すげぇ!」と町並みを楽しもうとしたのだが、街に入ってすぐに憲兵らしき男に睨まれ、露店が並ぶ人通りの多い通りに入ったかと思えば同じように憲兵に睨まれ、あげく戦車に乗っていた兵隊も俺を睨んでくる始末。

 何だ、俺は街に入って一番力のありそうな軍隊に睨まれてるぞ……さて、ギルドは……ん? あれ? 俺は日本語しかまともに使えない筈なのに、英語に似たルーシアの言葉が読めてるぞ。三階建ての建物の武器屋、角の道具屋、そして街に入って二十分ほどして教会の隣にギルドはあった。


「えっと……ギルド・レニアス? まぁ何でもいいか」


 と、俺はギルドの建物に入り、武器を担いだギルドメンバーであろう連中がうろちょろしている中を進み、受付であろうお姉さんがいるカウンターに向かおうとしたのだが、六人掛けテーブルに座る女に呼び止められた。


「浩一ー!」


 いや待て、呼び止められた? 何で俺の名前知ってるんだあの女――――! あの女! 紫髪に白装束! エルとかいう俺をこの世界に飛ばした女! 


「お前!」


 多少大声を出してもこの喧噪の中では目立たないだろう。俺は女の向かいに腰掛け訊く。


「おいこの野郎! 俺を何て場所に飛ばしやがった! 盗賊ギルドに装備と持ち物奪われるわ魔物の戦闘に巻き込まれるわ、大変だったんだぞ!」

「見てましたから知ってますよ」

「見てたのなら助けろよ……!」

「いきなり助けたんじゃ使えない引きこもりのままじゃないですか。ま、酷い目に遭ってちょっとは肩慣らしになったんじゃないですか?」

「なるわけないだろ!」


 はぁ、ダメダメですね。とエル。ふざけやがって、この女。


「ってぇ! それどころじゃないんですってば!」

「それどころじゃないのはこっちだよ!」

「あなたの事情を訊いている場合ではないんです! 何で私が天界からルーシアに来たと思ってるんですか! あなたのせいでとんでもない事になってるんですよ!」

「何だよ俺のせいって……言ってみろ」


 おほん、エルはワザとらしく咳払いし口を開く。


「いいですか? あなたに渡した魔剣ゼロですが、盗賊ギルド、プリティナイフに奪われました。ゼロの力を知ったプリティナイフはその全戦力を以って最高の栄誉である魔王討伐に向かったんです。ですが、ゼロの全ての能力を解放できるのは、使いこなせる器に成り得るもので者でなければなりません。そしてプリティナイフのメンバーにはその器になり得る者はいません。まぁ、魔王軍との戦闘は魔王軍の圧勝、プリティナイフ壊滅状態。そして軍はギルド救出の為に戦車を派遣しましたが、魔王軍のバラッド将軍により壊滅。勢力図で勝っていた

軍は魔王軍に圧され、支配圏は人類、魔王側とで半々になり、あろう事かバラッド将軍はゼロを使いこなしているのです」


 えっと……俺のゼロが盗賊ギルドに奪われ、それが魔王軍に奪われた。そしてゼロは使いこなせるものでなければその力を発揮できないのだが、そのバラッド将軍はゼロを使いこなした。でもって、人類の勝っていた支配圏が人類、魔王側とで半々になった。 


「戦車隊とギルドを壊滅させたのは、バラッド将軍。バラッド将軍はゼロを使って、圧倒的な力を手にしたんです」

「そりゃヤバいな」

「そりゃヤバいなって……それだけですか!? あなたがゼロを奪われたから人類は撤退を余儀なくされているんですよ!?」

「お前が引きこもりに魔剣なんぞ渡すからだろうが! つか、何でそんな器がいるとか言ってた武器を俺に渡したんだよ!」

「普通に使っても高性能な魔法武器ですから与えたんですよ! 誰も飛ばした先で盗賊ギルドに奪われるなんて思ってませんでしたよ!」


 いつの間にかお互いに立ち上がっており、お互いにゼェゼェと息を切らす。


「そ、それに……この魔王軍の総大将である魔王は人間と魔王勢力との協調を望んでいたんですよ。ですが、人類殲滅を目的とするバラッド将軍にゼロが渡ってしまい、魔王勢力の魔物や幹部達はバラッド将軍に同調。魔王は必要ない、と判断され魔王勢力から追放され、魔王軍は完全に対人類へと舵を切ったんですよ」

「つか、俺がルーシアに来てからそんなに日が経ってないだろ……」

「何言ってるんですか、ほら」


 エルがほら、と言って俺の着ている服を指差す。何か、ボロボロの旅衣装から薄汚れた黒のローブになってるんですけど。


「なにこれ? ボロボロの旅衣装は?」

「誰かが着替えさせてくれたんじゃないんですか? もうあなたがルーシアに来てから二か月ですよ」

「二ヵ月!? ウソだろ!!」


 バカ言うな、一週間も経ってないぞ。それに俺はまだ飯の一つも食ってないというのに。


「この世界であなたが活動するにあたって、身体能力の向上やらしましたし、加えて食事をとらなくても死なない身体にしたんですよ」

「そう言うの先に言えよ! ……そういや、追放された魔王って?」

「ああ、魔王コゼットの事ですか?」


 魔王コゼット? ……あれ? 聞き覚えがあるぞ? 


「あああああああああああああ! 魔王コゼットってあれだろ! 黒髪の女の子だろ!」

「……まさか! 会ったんですか!? 魔王に会ったんですか!」

「会ったわ! んでもって助けてくれたみたいでギルドの事教えてもらったわ!」

「何やってんですか! この引きこもり! あなたが成さなきゃならなかった事って言うのは魔王と話し合って人類との和解を求める事だったんですよ! もーッ! あなたのせいでゼロが魔王軍に渡るわ、こんな時に限って人目に触れた事のない魔王が現れるわ! やっぱりこんな引きこもり別の人間に転生させればよかったんだぁ!!


 なんて事言いやがるこの女! ってか、俺がやらなきゃならない事って魔王との和解だったのかよ……。


「なぁ、魔王との和解だろ? 何でわざわざ俺にやらせようってなったんだよ」

「知りませんよ。天界ルーシア支部の者から言われたんです。あのあなたが死んだ日に死んだ人間を適当に選んで、その人間をルーシアに送って魔王軍との和解をさせるようにと」


 何だよ天界ルーシア支部って、何? 日本支部とかそういうのもあるわけ? というか適当すぎるだろ天界!


「あぁ……ここであなたがルーシア支部からの依頼をこなせたら契約社員の私も正社員にランクアップだったのに……」


 何だよ契約社員って! どうなってんだよ天界!


「このままじゃ、このままルーシアで魔王軍が勢力を伸ばし続けたら……私は間違いなくクビ、またヘブンズワークで就職活動。……あぁ、折角魂選別のパートから契約社員になったのにぃ……カジノで作った借金がぁ、またお金借りなきゃ」

「借金してんのかよ、このダメ人間!」

「引きこもりにダメなんて言われたくありませんよ! それより、ルーシア支部からの依頼は魔王との和解から、新魔王軍と戦ってルーシアを平和にせよ、に変わりました。あなたの仕事ですよ?」


 いやいやいやいや、ふざけんな、お前の借金やら正社員やらの為にそんな事してたまるか。


「俺にチート武器渡したり、身体能力を上げたりできるなら天界のお前らがそれを色んな奴にやって、懇切丁寧に戦闘指導なりすれば魔王軍にだって勝てるだろ」

「何言ってるんですか……。現在天界は不況で大変なんですよ? おかげで各支部社員大量リストラ、加えて社員給料大幅カット! だから現場勤務の殆どを派遣や契約社員に変えて、おかげで仕事の質が落ちて……」


 どんだけブラック企業なんだよ。訊きたくねぇよそんな事!


「大変なんですよ? ルーシアはまだ化学が発展して無い上に魔物なんかもいるんですからほったらかしに出来ませんし……そんな世界を維持するのも天界の役目。維持には大変労力と金が要りますし、普通なら超強い天界の者を送って現場勤務してもらうんですが、危険手当残業手当出ない上、福利厚生はしっかりしてないからって誰もやりたがらないんです。そこで、天界は給料を払わなくていい死人に目を付けたんです」

「バカか天界は!! そんだけ大袈裟なら金の事心配してないでしっかりやれよ!!」

「下っ端の私に言わないでくださいよ! それより、しっかりやってくださいよ!? 私の今後の正社員人生と借金から解放してもらう為にも!」

「何で俺がお前の為に戦わなきゃならんのだ!」

「何言ってるんですか! ここで成功させなきゃあなたは日本に帰れなくなるんですよ! それに、あなたは死のうと思っても急速治癒&不死身、天の加護を受けてますから。役目を果たさない限りずーっとここに居る事になりますよ!? 人類が負けた後は魔王に捕まって死なないからってずーっと拷問を受けますよ!? 死にたくても死ねない体ですからずーっと地獄の苦しみを味わうんですよ!?」


 ふざけやがってぇ! マジでふざけやがってぇ! クソ! 

 とりあえず一旦落ち着こう。そうかそうか、盗賊にボコボコにされても傷が無かったのは急速治癒の加護があったからなんですね?


「ああ、そうだ……。その天の加護とかも金掛かってるわけ?」

「みたいですよ。ルーシア支部は加護と武器、身体能力向上、そしてルーシアへの召喚の為に日本支部から多額の借金をしたみたいですし」

「日本支部からは? つか、他の支部から応援とかないわけ?」

「言ったじゃないですか。不況で大変で、従業員の質が落ちてきてるんです。天界業務のお仕事は教育に長い時間と結構な金がかかりますし、どこの支部もてんてこまいなんですよ」

「もし新魔王軍がルーシアを制圧したら天界にはどんな影響が出るわけ?」

「人の死後を世話してこその天界ですから、世界の覇権が魔王側に移って人間が居なくなった時点で天界の存在意義は無くなります。そして普段は地上から干渉出来ない天界ですが、防壁となっている結界が、天界の存在意義がなくなる事で弱体化して、間違いなく魔王側勢力は天界へと昇り、天界で戦争を始めるでしょう。その影響は、巡り巡って日本支部にも、それどころか各支部へと広がります。ですが、天界にはゼロを持つ新魔王軍と戦える力はありません。展開が機能しなくなった後は、色々な国、世界へと魔物は侵攻し、すべてが終わってしまいます」


 えぇー! ちょっと待って、想像以上に深刻なんだけど! 天界使えなさすぎだろ。つか、この俺にとって最高のお助けキャラは天界の筈なのに、いきなり使えない宣言かよ。


「人類衰退はイコール天界弱体化、はっきり言います。急速治癒と不死身の加護がある以上、新魔王軍と戦えるのはあなただけです。戦わないという選択肢もありますが、今の話を聞いてもそれを選びますか?」


 選んだのは自分だが、何だクソ。やらなきゃ魔王が人類駆逐して色々な世界、国が魔物に攻められる? それはもちろん日本もだろう。思い出せ、日本での思い出を。

 ―――日本での思い出……両親は高学歴、弟は超優秀。俺はと言えばアニメとか漫画とかゲームとかにのめり込んで、気が付けば学校以外では家に引きこもって、学校に行けば


「うっわww山下の奴萌えの下敷き使ってるぜー!www」

「うわぁ、マジキモイんだけど」

「え? 話しかけられて仲良くなったって勘違いしちゃった感じ? ウケルwww」

「てか何そのモジャモジャの頭、ちょーキモイんですけどwww」


 ちょっと待ってぇ……もうちょっといい思い出欲しいんだけど。やべぇ、気が付いたら友達皆俺から離れて行ったからいい思い出があった筈なのに嫌な思い出に上書きされてるぅ!

 やっべぇ、学校の連中助けなくていいんじゃね? 教師も「社会に大切なのは同調する事だから、な? 先生、お前をからかってる連中に山下をバカにするの止めろー、とか言っちゃうと、な? わかるだろ、な?」とか。

 な? じゃねぇよ! こっちが相談したわけでもないのにいきなり職員室に呼び出して「お前がからかわれてるのは知ってるけど、先生お前の力になれないから」宣言しやがって、おかげで他の教職員の目が痛いどころか現国のノート提出に来てたクラスメイトがその内容クラスで言い広めてより一層からかわれる様になったんだぞ! しかもそうなった原因のクセして「ははは、程々にしとけよー」って……ふざけてんのか!


「ちょ、ちょっと大丈夫ですか? 何か、顔ヤバいんですけど」


 エルに言われてハッとする。クソみたいな事を思い出していたからきっと人様に見せられない顔になっていたのだろう。まぁ学校の連中はどうでもいいとしても、俺に優しくしてくれたご近所様と家族は守りたい。

 だったらやってやる。


「エル、やってやる。新魔王軍と戦ってやる」

「よくぞ言ってくれました!」

「おう! 任せとけ、だから資金と装備一式くれ」

「分かりました!」


 そう言って受付まで走ったエルはどうもギルドへの登録を済ませたらしく、金の入った小袋とゼロと比べて安そうな刀と、良い物とは言えない旅衣装を持って戻って来た。


「これを、ギルドで貰える資金三千ウィルに安物の刀、防御力無しの旅衣装です!」

「え、もっと良い物無いの?」

「もう天界に割ける財力はありませんし、とりあえずこの初期装備から始めて、強くなってくださいね!」


 くそ、チート武器手に入れたと思ったのに初期装備になっちまった。


「あ、そうだ。エル、この世界さスキルとかステータスとかは? ほら、レベルアップしたら炎系のスキルが使えるようになりましたー、とかって何か無いの? そういうカードとか」

「はぁっ!? バカじゃないんですか? 何ゲームと勘違いしてるんで―――いひゃい! いひゃいれふッ!!」


 はぁっ!? のあたりがかなりムカついたので思い切り頬の辺りを抓り、引っ張る。


「もう……というか、死なないし傷もすぐ治るんですからスキルも何もいらないじゃないですか」

「折角だし、カッコいい技使いたかったし……」

「バカじゃないんですか?」

「うるさいな……ああ、そう言えば魔王コゼットはどうすればいい?」

「そうですね……新魔王軍の情報も持っているかもしれないですし、手元に置いておいて損は無いかと。居場所は分かっているんですか?」

「ああ」

「でしたら、ギルドでの活動の前に魔王を捕まえてきてください」

「分かった。お前は?」

「今日給料日ですので、スロットしてきます」


 こんだけピンチな状態なのに何スロットしに行こうとしてるんだよ!


「ま、それじゃたまに顔見せにくるんで。頑張ってくださいね! あ、そうだコレ」


 そう言ってエルは持ってきた小袋、衣類、刀をテーブルに置き何か袋に入った物を取り出す。


「あああああああ! これはコンビニのおにぎり!」

「お土産です」

「嬉しいけど、これ持ってこれるならライフルとかショットガンとか」

「洋画知識じゃ実銃の扱いは出来ませんよ。銃には手入れが必要ですし、マガジンをセットしただけじゃ撃てませんし。ちゃんと構えられます? 映画みたいに連射したって素人じゃまともに的に当てられませんよ?」

「わ、分かったって……おにぎりは? 持ってきても良かったのか?」

「職場で配られたやつですから、いいんじゃないですか?」


 職場でコンビニのおにぎりが配られるって……よく見るとこのおにぎりヘブンイレブンってなってる。


「まぁありがとなエル」

「いいえ。無理をしなければならない場面もあるかと思いますが、どうかあなたに天界からの加護があらん事を……」


 もう加護は付いてますけど、まぁいい。エルと別れた俺は便所に行き旅衣装に着替え、銭の入った小袋をポケットにいれると刀を固定するベルトを着け、左腰に刀を装着。

 さ、やっとファンタジー世界でまともなスタートがきれたんだ。

 まずは元魔王コゼットを味方に引き入れる!


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