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死の国に降り注ぐ雪は昔となんら変わりなく
体が溶けて崩れてく音
ぐじゅぐじゅになった肉が腐り落ちる感触
そして、届かないからと諦めたあの眩く白い夢
私に普通の体があって
子供の頃から楽しそうに遊んでるような
私が少し病弱で
楽しそうに遊んでるみんなを眺めてるような
私がいつも微笑みながら
みんなの笑顔に癒されるような
私がひっそり隠れながら
見えない悪意に逃げ惑うような
眩いのに手が届かないよ
あの白に
あの白に
伸びきった手から次第に力だ抜けて
だらりと垂れるよ
だらりと
か細い光に引き込まれる
残酷に…残酷に!
届かない夢から覚めて
私はただこの病室にいる
腐りきった肉が剥がれ落ちていく感触
そして今にも折れそうなか弱い骨が露わになる音
私はもう遠くには行けないから
真っ白な夢は雪となって世界に落ちてゆく
さよならの四文字が雪化粧の中に溶けていくよ