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日常を鎖に
僕の日常は紐のように
簡単にちぎれてなくなった
誰がちぎったかもわからない
けれどちぎれたことだけははっきりしてる
だから僕はもう一回
糸をよって紐を作る
人間という糸をよって
日常という紐を作る
今度は縄のように簡単にはちぎれないように
そうして完成した日常に
僕は鎖を幻視した
この日常は綺麗な鎖だ
もう二度とちぎれることはないし
僕を捉えて離さない
そんな形をしている
きっと歪むこともなく
この先もずっと続くのだろうから
どうしてか感謝を捧げるべきところのはずなのに
この無上の日常に感謝すべきはずなのに
私の血で錆びていく鎖を眺めるたび
辛い想いが脳裏をかすめていく
ずっと続くはずだった鎖を壊したのは
日常を作り上げた自分自身だったと
彼は寂しそうにつぶやいた