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別れ道
ぽつり、つぶやいた
さよなら
言葉が反響する
反響して反響して、消えた
そうして僕はひとりになる
いつもと同じ帰り道のこと
少し寂しいから飴玉を舐めて紛らわす
いつもと同じ景色の中で
飴玉の味だけが変わっていく
こんな日々が続くと思っていた
いつまでもいつまでも続けばいいと思っていた
そうして一年が経って二年が経って
いつもと同じさよならと
いつもと同じ飴玉と
ずっと続くと思っていたのに
もう別れの日が来てしまっていた
さよなら
ぽつり、つぶやいた言葉は反響して反響して消えてゆかない
でも、いつもと同じ飴玉はいつも通りに甘かった