174/400
ひとりきり
ラベルばかりを眺めていた
瓶の中身に興味はないの
綺麗な瓶の解説にだけ興味があった
だから中身はいらないの
みんなが瓶の中で必死に生きてるのを知っていた
でも瓶の中にあるっていうだけで興味はなくなるの
そうやって瓶を眺めてた
毎日毎日、飽きることなく
中の人間がどんどんラベルから外れていってるのを知らないで
いつまでもいつまでも眺めてた
中身なんてつまんない人間でしょって言いながら
そうしてるうちにだんだん眠くなってきたから眠る
誰にはばかることもなく
疲れたって言って
ラベルに囲まれて眠った
ここには彼女ただひとり
誰も気づかないままに自分で貼ったラベルで悦に浸る少女がいるだけだった