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最後に告げた言葉
嘘で塗り固めたボールを
あなたに向けて投げてみた
形は丸くて綺麗だけど
中身はからっぽ
そんなボールを投げてみた
だってあなたの気を引きたくて
でもわたしってつまらない人間だから
中身あること全然できなくて
そしたらちゃんとしたボールを返してくれて
わたしはお返しにやっぱり中身のないボールしか渡せなかったけど
そんなやりとりが何度も続いて
だんだんわたしのボールは大きくなっていった
中身もまるでないわけじゃあなくなってきた
けど嘘が膨らんできてしまって
ほんとの心も嘘に見られてしまって
ごめんなさいって心で言いながら
キャッチボールを続けてた
あなたは変わらず中身のこもったボールを投げてくれる
でもそんな関係に終わりが来た
もう会えないってわかってしまったから
最後のキャッチボール
いつもと違って心の底からのごめんなさいをボールにして
そして、唐突に途切れた
あの日々のことをあなたは覚えていますか?
わたしはずっとずっと覚えているよ