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瞳の神秘
私の目に映る景色は
あなたの目に映るそれと一体どれほど違うだろう
うつむいたままの目にはただ
アスファルトの色だけが残っていた
等身大の自分の目に映った景色は
いつもよりはるかに雄大に見えた
列車越しの景色より
飛行機越しの景色より
ずっとずっと雄大に見えた
大人になった私の目には
今日と同じく映るのかな
キリンの形をした雲も
今日と同じく残ってるかな
私のセピア色の眼球は
あなたの黒い瞳にはどう映るだろう
郷愁に囚われた目は
自分から見ると呆れるほど美しい
目、目、目の神秘
瞳が映す恋模様
私の目に映る罪悪感とあなたの目に映る地震
そうして揺れが収まった頃には
何を考えていたかも忘れて
私はひとり、ここにいる