169/400
春
別れの音が鳴り響く
さよならっていう声だけが僕の耳に反響して
反響して反響して消えていかないんだ
そうして朝日は昇ってまた沈みゆく
いつもとまったく違う感触に
戸惑いはまったく隠せないけれど
そして
出会いの声が鳴り響く
当たり前の初めましての音が聞こえる
そんな声が耳の中で反響して
反響して反響して、小さく消える
別れを惜しむ僕の前にも朝日は昇り、また沈みゆく
また色の変わった日を見ながら
明日1日を夢想する
そしていつの間にか
さよならは僕の耳を去っていった