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試作詩作  作者: 時雨良明
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記憶に残った、最後の音

学校に行くのが怖かった

だって、みんなと足並み揃えなきゃいけないから

家にいるのが怖かった

だって、家族に責められるのがわかっていたから

眠っているのが怖かった

だって、夢の中でも自分に責められるってわかっていたから

生きていくのが怖かった

だって、生きていたっていいことがないのはもうわかってしまったから


きっかけはわからない

ただ日常にヒビが入って

砕け散る寸前までたわんだガラスの音が聞こえた

景色はもう昔と変わっていて

もう昔には戻れないことだけがはっきりしていた


それでも日常を取り繕うとしたのに

足が動かない

体が動かない

それを誰もわかってくれなくて

みんなが僕を責めるんだ


その時、日常に至る歯車が欠けたことを感じた

いくら僕が回そうとしても

かけらもみんなには伝わらない


それからは日常に属するものがうまく回らないのを実感した

学校でも家でも自分はうまく回らない

いや、ある意味ではうまく回ってる

滑稽な道化らしく回ってる


だからもう生きていくのが怖いんだ

道化としてしか生きられないから

道化としてしか回らないから

体は誰かの娯楽の人形

それを認めたくない心が今も少しだけ残ってる


それも もう 磨耗して 消えた


日常を見せるディスプレイが壊れた音がした


それが彼の最後に聞いた音

音、だった

僕の心を乗せて、届け。

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