引きこもり
楽しい時間が長いほど
夢見る時間が長いほど
現実に墜落したときの痛みに
私は耐えることができないのだ
「だから楽しい時間を遠ざけた。いつかは現実に向き合うのだから、逃げ出す時間は無意味だと決めつけた。」
けれどわかっていた
楽しい時間を忘れてから
少しずつ感情が消えていくから
わかっていた
このままではいけないことは
「だからさ、現実だけを見据えるんじゃなくて、夢も見ようよ。そうじゃないと人生、寂しいよ。」
人生が寂しい
初めて言われた
けれどすんなりとその言葉は入ってきて
あぁ、確かに寂しい人生だなと
そう思ったのを覚えている
「だから夢を見ることにしたんだ。醒めない夢。いつまでも続く夢。そんな夢を見ることにしたんだ。」
夢の中では笑っていられる
夢から醒めると痛いけれど
夢から醒めなければ問題はない
「そうして彼は夢の中に閉じこもりましたとさ。おしまい。」
そう、私は夢の住人
なんでもできる夢に閉じこもった
とても寂しい夢の住人
「だからみんなはこんな人間になっちゃダメだよ。」
ここで語っても価値がないことは知ってるから
所詮は自己満足に過ぎないのだけれど
「私との約束だよ。」
…やくそくだよ…